鞍馬の狸親父が、とんでもない火種を放り込んで帰りよった。
良く言えば小草若くんにそれなりの期待をしていたのだと思う。それを裏切られたのだから、悪口雑言。最後にえらい火種を放り込むだけ放り込んで、さっさと帰ってまいよった…。
私もねぇ、年齢とか順番とかからいったら、草原兄さんが継ぐのが一番ええ思います。けど草原兄さんはあがり症の上、「華が無い」(と、前に四草くんが言うてたな)。そういう理由で(?)本人も固辞する。
鞍馬会長がみんなに投げんと草原兄さんを指名してたら、兄さんは受けたのやろうか?
鞍馬会長が投げた後、草原兄さんつらそうやった。
草々くんは小草若くんに継がせたい。師匠の実子、息子だから。
しかし、これはほとんど感情論。成り行き上、それこそ小草若くんをないがしろにしてきた負い目もあるのかも知れない。
確かに芸風で言えば草々くんの襲名がええのかも知れないが、そうすれば草々くんはますます小草若くんに負い目を感じることになるし、師匠に申し訳がたたんやろう。
四草くんは…口ではあんなドライなこと言うてるけど、そやない思う。
草々くんがあかんと言うより、草々くんには継がせとうない。小草若くんのことをやっぱり考えてとるんやないやろか?
草原兄さんなら納得言うてるもん。
草々くんの激しい思い込みの想いと、四草くんの冷静だけどツボをついた想いとを比べたら、私は四草くんに軍配上げます。
四草くんの冷たい物言いのウラには小草若くんの思いや辛さ、努力を誰よりも知る者の愛情があると思う。
それはある意味、猪突猛進な草々くんの愛情より深いのやないやろうか?
小草若くんは確かに落語は下手や。努力してることをよう知っとる四草くんさえ言い切る。
けど冷静な四草くんにさえ熱い感情がある。それが草々くん襲名を認めないっちゅう思いだ。
メチャクチャ冷静になれば、草々くんかも知れんけど、小草若くんのことを思うと許せない、認められない。
小草若くんを追い詰めた一因の人でもあるから。その件に関しては割と草々くん無自覚だからよけい腹立つんやと思う。
熱く励ますばかりで、小草若くんの気持ちをちゃんと知ろうとしない草々くんに腹立ててるんやと思う。
草若師匠はどない思うとるやろ?
かつて、小浜のお母ちゃんに語ってたことを思い出す。
「小草若らしい明るい落語をやってほしい」
ここに師匠のこの気持ちを知る者はいない。
今日は座敷だけて、話済んでもうた。