多分、宗介は普段から留守がちな父親に
「男の子だから、父さんが留守の時はリサを守ってな」とか言われていたんだろうなぁ。
ダンナが帰ってこないことを拗ねてる母親をなだめられる5歳児はそういない。
そう考えると、浜辺で救ったポニョを
「僕が守ってあげる」と言ったのは、凄く自然な言葉なのだと思う。
自分が救った、自分より小さい者を護るというのは、宗介の思考回路からすれば、ごく当たり前のことだったのだろうと思う。
たとえポニョが♂でも♀でも変わりはなかったろう。
そこへもってきて
「宗介、好き!」なんて言われりゃもうイチコロだ。
不思議なモノをあるがままに受け入れられるかどうか多分ギリギリの年頃。
「護る」と誓った相手に「好き!」なんて言われりゃ、そりゃもー受け入れるっきゃないって!
だからポニョを海に取り返された時の宗介の落胆は凄い。
ソフトクリームの味もどれだけ分かってたか…
だからこそポニョが人間の女の子になって戻ってきたときは大コーフン!嵐にも関わらずはしゃぐのは、そこは5歳児だら…
緑色のバケツがイイ仕事をしてる。
その後も初めての経験に大コーフンしてるポニョを実に甲斐甲斐しく世話してる。
これが多分、宗介の本領発揮ってトコだろう。
「ひまわり園へ行ってくる」と言うリサに、「ついて行く!」と泣く宗介をパンフは「5歳児らしい母親と離れる不安」と書いてあったが、腐母の感想はちょっと違う。
不安は不安だろうが腐母が感じたのは「リサを危険な所へ独りで行かせる不安」だったんじゃないかと解釈してた。
だって宗介にとってリサは母親であると同時に「護るべき者」だったんじゃないかと思ってるから。
だからリサから他に守るべきモノ(ポニョと家の灯り)を与えられたから、納得して家に残る決心がついたのだろうと思ってる。
宗介が一番5歳児らしい不安な顔を見せたのは、無人のリサカーを見つけた時だと思う。
不安で涙を溢れさせ、でも口を真一文字に結んで震える宗介は抱きしめたいくらい5歳児らしかった。
あと5歳児らしいと思ったのはポンポン船の冒険。
あの見ようによっては不安な風景を5歳児の好奇心はワクワクな風景に変えている。
不安を抱えながらトンネルに入る二人。だんだん魔法が解けて、ついには魚に戻り眠ってしまうポニョ。
多分ここらあたりが宗介の不安の最高潮だったのではないか?
そこへ現れた、リサさえも警戒した変なおじさん。
この時のフジモトは本当に何の悪気もなかったんだけどね。怪しさでソンしてるよ。
それはともかく、一番無防備な状態のポニョを抱えてるんだから、そりゃ逃げるよ。今度こそ守る為に(男だねぇ)
グラン・マンマーレの問いにも宗介は迷いがない。
そりゃそーだ!ポニョの全ての形態を知ってるんだし、だいたい告白をされて受けたのは魚の形態の時だ。
「宗介の好きはLOVEか?LIKEか?」と問題にしてた評論があったが、関係ないでしょう?
宗介がポニョのことをリサと同じに「護るべき者」としたときから、それは愛でしょう。
強いていえば「一人の女の子として」か「妹のように」愛してるのかだと思うが、あれだけポニョが積極的なら大丈夫でしょう。
そうして、これ以上の野暮は言っちゃいけませんよ。