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夢主設定 双子


神宮楓
かみみやふう

年齢:16歳
誕生日:1223
出身:中国の日本人自治区出身
身長:165cm
体重:45kg

好きなもの 杏仁豆腐 テディベア ユウ 教団の家族 哀
嫌いなもの アクマ いんげん ティキ 蓮の花 長官


ティエドール元帥の愛弟子にして、神田の恋人。
ヘブラスカに「白き救済者」と預言された。幼い頃、親から育児放棄され兄の代用品として扱われた事で兄に強く依存していた。
哀がノアとして覚醒した時、周りのアクマ達を集めてしまい、住んでいた村全体が焼け野原になり、楓も屋敷の柱の下敷きになって死んだはずだった。
しかしティエの持っていたイノセンスの欠片が楓の体内に寄生し、そのまま教団に連れ帰られた。
神田とはそこで出会った。
ティエドールを父のように慕って居る。
神田を死ぬほど愛してる。
華鳥はのちに教団が入手したイノセンスの適合者だと判った。
楓に真に適合したのは華鳥の方。

イノセンス

華鳥 装備型
扇のイノセンス。
接近型

第2解放
封魔の奥義『封月』
華鳥の特殊系。
目に見えないあらゆるものを断ち切り、封じる。

臨界点突破
『神月』
大型の風魔手裏剣。
その刃は強靭なレベル3の体でもいともたやすく切り裂いてしまう。
あとの詳細はまだ不明。

piece of heart 寄生型
楓の心臓の代用として寄生してるイノセンス
色々形を変えられる。

プリズミックスター
→楓の周囲、半径5M以内の悪魔のウィルスを徐々に浄化する。
エンゼルウィング
→超高速飛行形態
サイレントキューブ
→沈黙の檻 圧縮させたエネルギーの檻にアクマを閉じ込め、分子レベルまで分解し、破壊する。
シャイニングスター
→輝く無数の粒子を撒き散らし、アクマを浄化させる。

臨界点突破

→楓の身体にイノセンスが纏いつく(神の道化みたく)
外観は羽衣。




神宮哀
かみみやあい

年齢:16歳
誕生日:1223
出身:中国の日本人自治区出身
身長:165cm
体重:45kg

メモリー:哀しみ
ノア名:ラメント lament
能力:傀儡・洗脳・受胎
戦闘能力:中

好きなもの イチゴのパフェ ノアの家族 楓 伯爵に貰ったウサギのぬいぐるみ
嫌いなもの 辛いもの 苦いもの


幼い頃に死んだはずの楓の双子の兄。
抹消された15番目の哀しみのノア。
能力は洗脳系で、フルートを使用。
超高音波で相手の脳に直接作用する。

哀しみのノアの特徴は身体が脆く、弱い。
15番目に直接戦う力はない。
受胎は15番目のみに与えられた特殊能力。
命と引き換えにイノセンスから強力なダークマターを産み出す力。
逆は出来ない為エクソシスト側からすれば驚異的な存在。

楓を小さな頃から溺愛し、ノアになってもそれは変わらない。
イノセンスの破棄を呼び掛け、二人で暮らしたがってる。

性格はおっとりしていて落ち着きがある。
人の感情に鋭い反応を見せる。
意外に切れ者。
ノアの家族からは可愛がられている。
ノアの家族が大好きで、特に伯爵には依存してる面も大きい。
普段は伯爵が作った黒い傘のゴーレム黒レロと一緒に行動している。
ティキとは恋人同士。

夢主設定 ヴィオレ

ヴィオレ・シープ
愛称 ヴィー(主にノアから)・チビ(元帥から)
外見8歳(実年齢15歳)
フランス出身
121cm(152cm)
6kg(イノセンスの影響か軽い)
赤い眼、癖のある白髪

趣味 土いじり、お茶会、味わうこと
好きなもの お花、笑顔、教わること、温かいもの、まるいもの
憧れ 家族、自分を必要とされること、愛し愛されること
嫌いなもの 悲しいこと、独りぼっち、おクスリ

イノセンス
◆喜色ノ悲願花(リコリス) 寄生型
背中の彼岸花が絡んだ十字架の模様がイノセンスの本体
発動すると翼になる
装備型と同時発動は出来ない

・第一形態
背中の翼で飛んだり、羽根を飛ばして遠距離攻撃が可能
羽根で表面を覆う事で寄生型のイノセンスを補修する事が出来る

・第二形態
翼の大きさや枚数を変形させたり自由が利くようになる(最大で三対六翼)
二刀流の武器として羽根を伸ばしたり槍のように鋭くさせたり

・臨界点突破 【眠り姫】
翼が散って羽根が舞い、白いヴェールを被った状態になり自動防御
ヴェールを膜に使って自分や他人の見せ掛けを変え、光彩をいじって隠す事が出来る
(幻影で)本来の15歳の姿に見える
攻撃方法としては周囲を舞う羽根を飛ばして敵を切り裂く、ヴェールで切り裂く等
糸状に伸ばしたヴェールでイノセンスの補修、破損した武器イノセンスの形を留める事も


◆哀色ノ紫陽花(オルタンシア) 装備型
鎖のついた首輪が媒体
発動すると輪っか(チャクラム)になる
リコリスから派生しているイノセンスで、壊されても元に戻る
寄生型と同時発動は出来ない

・第一解放
チャクラム 壱輪、弐輪の数だけ輪っかを大きくして飛ばしたり手に持って攻撃(最大で6個同時に出せる)
鎖付きの輪を飛ばして捕縛も可能

・第二解放
かかと部分に火車が付き、宙を浮いて滑るように移動でき、蹴りが炎属性のダメージ
両手首にも火車が付き、細長くしてチェンソーの様な回転斬撃を出せる

・臨界点突破 【白雪姫】
輪が集まり鏡になる
自身へのダメージを反射、カウンター
AKUMAやその場にいる人間を鏡で写し取り、具現化
(幻影で)本来の15歳の姿に見える


アルビノで銀髪に赤い眼。

気味が悪いと教会に捨てられ、ルベリエのAKUMA研究の副産物で生まれた誘引鳥"カナリア"。
第二エクソシストの技術を転用したダークマター実験で生き残った。
ヴィオレはとくに愛して欲しいという願いがダークマターと共鳴するのか、存在自体がアクマを誘引。
アクマやノアにはスミレの花のような甘い香りがし、特に声が引き寄せる。
ルベリエに引き渡しをされる日に千年公による虐殺がされ、気まぐれから拾われた。

逆らったら殺されるという本能的恐怖と愛して欲しいという願いから、ノアの機微に鋭くなる。
人の心の機微にも敏感になって"いい子"にしなければ、と無意識に行動するようになる。

6歳まで実験素体として、そこからノア(哀の)の庇護下で数年、哀と一緒に暮らしていた。
8歳頃の引っ越し中にエクソシストがAKUMA討伐にやってきてノアから離される。
回収された後はルベリエの指揮の下、拷問を受けて記憶が混濁。
生存率を上げるために"鴉"候補と一緒に訓練、12歳でリコリスに適合、アクマを誘引するのでソカロ元帥預かり。


任地以外で声を出す事を禁じられているので、無口。
話そうとしたり何かをしようとする時、下唇を噛む癖がある。
嬉しいと笑うより泣きそうな顔をする。
笑顔を浮かべる事は滅多に無い。
人に触られると震えるけど、嫌いじゃなくてむしろ嬉しい。
考え方が必要とされるかされないかの両極端で、色々とつたない。
勉強や教わることは好きなので、人の後をついて回る。
真に適合してるのはリコリス、オルタンシアはリコリスから派生したイノセンス。
ヴィオレがノアについて行こうとするとキュッと絞まる。

教団へ戻ったときは鍛錬以外は温室で土いじりか資料室で読書。
話すよりも読み書きの方が得意で、以外と速読。
温室内の植物は使用許可を貰っているため、そこから栄養補助のために丹薬も作っている。
半年に一回かそれ以上で教団へ戻り、様々な検査と身体測定をする。

リナリーのようなミニスカートに黒タイツとブーツ。
背中の肩甲骨が大きく空いた上着。
フードは作る側の趣味で耳が変化。(ネコだったりウサギだったり)
肩下げのポーチにメモ帳、ペン、丹薬が入ってる。
丹薬は非常に青臭く、苦く、ヴィオレも丸の中で唯一好きじゃないモノだけど常用している。

カナリア 2

眩しい光が目に飛び込んで来たことで、私は突然に覚醒した。
目を開けると知らない景色、家の中?で身体に白い布がかけられてる。

「起きましたカ?」

横からの声に目を向けたら、帽子に笑顔の太った男性が居て。
そういえば、私はこの人に"拾われた"んだと思い出した。
誰かの側に居るように言われた気がしたんだけど、記憶は曖昧。

「おはよウございまス
「……おはよう、ございます」

言われた言葉を繰り返して、今が朝なんだと考えつく。
白い布をよけたら木の板があって、私が横になってた場所が床だって分かった。
男性の居る方を改めて見ると、レースが掛かってるベッドが置いてある。

「それは?」
「我が輩の家族が寝ていまス。……彼は今傷ついていテ、眠って居るのデス」

いきなり目から滝のように涙を流す男性を見て、かなり驚いた。
本当にだばーと流れている。

「……あ、あの」

何て声をかければ良いのか分からない。
だいじょうぶ、なんて私には判断出来ないし。
悲しいの、なんて涙を流してるんだからわかりきってる。
でも拾って貰ったんだから、何か役に立ちたい。

「私、その子の側に、いてもいい?」
「……えエ、子守歌でも歌ってあげて下さイ」

笑顔のまま、滝のような涙を引っ込めて男性は頷く。
けれどその声が柔らかく響いたから、眠っている人がきっと大事なんだって思った。
多分、その音に混じる気持ちが優しさなんだろうと思う。
私が知らない、けれどずっと欲しいもの、憧れてるもの。
男性が望むように出来たら、私にも欠片でもくれるだろうか。
眠っている人が起きたら要らなくなるかも知れないけど、それまで居場所をくれるのなら。
精一杯頑張ろうと決めて、それからちょっとだけ困ってしまった。

「あの……こもりうた、って、なぁに?」

ウタ、って言うからには声を出すんだろうけれど。
私が知っているのはサンビカだけ。
痛くて辛くて苦しくても、それを歌うことが義務だったから。
怖いおクスリを呑むときは、必ず歌いなさいって言われていたから。
男性は丸い身体に細長い顔を大きく捻って、首を傾げてから大きく笑う。

「でハ、一緒に歌いましょウ

さんはい、と拍子を付けて一音一音、紡ぐように声を出した。
それを真似して、音を辿っていく。
人と一緒に歌うことは初めてだったから、難しくて。
でも、胸が苦しくなるごとに、温かくて不思議な気分になっていった。





それから暫く経つ頃には、私も少しずつ変化になれていった。
まず驚いたのはご飯。
朝、昼、夕と三回も出てくる事。
食べると色んな味があって、見た目も色んな物が出てくる。
レースの中で眠る人にはご飯はいらないらしくて、私だけ食べるのが勿体なかった。
次に驚いたのは、毎日シャワーを浴びること。
今までは、一週間に一度、井戸の水を頭から被っていたから。
温かいお水と不思議な泡でゴシゴシすると、お水がどんどん黒くなってそのうち変わらなくなった。
汚いままで居るのは駄目だって言われて、眠る人のためなんだって分かった。
それから、部屋の片隅に私の寝床を作って貰った。
固い床の上で同じ子達とくっついて寝てたから、私だけの寝床に嬉しくて。
柔らかくて細い木で編まれた丸いベッドに、ふかふかのクッション。
眠る人の側に居るために作られた、私の居場所。
眠る人はご飯もシャワーもいらないけど、眠っている間は寂しいかも知れないから。
起きたら分かるけど、いつ起きるかは分からないから、"家族"は一緒に居られない。
その間、私は声を届ければ良いらしい。
綺麗な声で歌が聞こえれば、寂しくはないだろうって。

「そして 坊や は 眠りに ついた」

だから、私はずっと歌った。
教えて貰った子守歌を。

「息衝く 灰の中 の 炎」

ご飯を食べるときと、シャワーで離れるとき。
眠気に倒れる以外はずっと。
サンビカを歌っていたお陰か、私の声はどれだけ疲れても掠れることもない。

「ひとつ ふたつ と」

部屋には他に人も居ないから、話す事もなく遮られる事も無く。
苦しいおクスリを呑まなくても良いから、ずっと子守歌だけを口ずさむ。

「浮かぶ ふくらみ 愛しい 横顔」

そうやって、ベッドの横の床に座って私が子守歌を歌っていたとき、

「うわ、マジで歌ってる……」

知らない人が部屋に入ってきた。
低い声に黒髪の、縦長い……多分、男の人。
ここに来るって言う事は、"家族"の誰かなのかも知れない。
一瞬だけ私を横目に見たその人は、すぐにレースへ手を掛けてベッドの中へと顔を寄せた。
"家族"が一緒に居るなら、私はいらないから子守歌をやめて寝床に座って息を潜める。
身体を小さく折り畳んで、膝を両手で抱えて出来る限り縮こまった。
前の場所では司祭様が様子を見に来ると、たまに邪魔だと言って殴られる事があったから。
どれが邪魔になるか分からないから、小さく小さく、居ないフリをする。

「なあ、おい」

だからそれが、私を呼んでいるんだって分かるのに、かなりの間が空いてしまった。
眠る人に話しかけるには、大きい声だとは思ったのに。
暫く経ってから顔を上げたら、男の人がこっちを見ていて目を丸くしてしまった。
はあ、と小さく息を吐いて、私を指で示してくる。

「お前さあ、ずっと同じ歌だと哀が退屈すんだろ」
「……あの人は、子守歌がいい、って」

最初に会ったきり、姿を見てない男性を思い浮かべながら口にした。
答え以外は言っていないけど、久しぶりに人と話すとどきどきする。
あの人?と首を傾げてから、男の人は頷いて聞き慣れない言葉を出した。

「千年公が言ったのか」
「せんねんこー」
「そそ。帽子被って耳が長くて、大きかったろ?」

手を横に広げて、それがあの大きな身体の事だって分かった。
せんねんこー、っていうんだ。
私が呼んで良いとは思わなかったけど、覚えておくために何度も頷く。

「せっかく好い声してんなら、何か本でも読んだ方が哀も喜ぶだろ」

あい。
さっきも聞いた、不思議な単語。
もしかして、眠る人の名前なのかな。
どうして思い付かなかったんだろう、普通は誰かを名前で呼ぶのに。

「あい、……は、その人?」
「は? そうだけど……何だよ千年公、名前も教えてなかったのか」

チッ、って空気を叩く音が聞こえて、肩が跳ねる。
眉を寄せた男の人に、殴られると思って身体を硬くした。
そうすると、少しでも痛いのがマシになる気がしたから。
司祭様は今の音をさせると、邪魔だって大きな手を振ってきたから、自然と身体がそうなった。
けれど男の人は手を頭にやるとガシガシ髪の毛を掻いて、顔から力を抜いてみせる。
今までに無い反応に、思わず男の人をまじまじと見てしまった。

「ティキ」
「え?」
「ティキ・ミック、オレの名前な。お前は?」

聞かれて、私にも名前があるのか不思議に思った。
誰かには名前があるけど、私もそうだとは思わなかったから。
何て答えれば正解なのか分からなくて、瞬きを繰り返す。

「あれ、お前名無し? しまったな、千年公何も言ってなかったぞ……」
「名無し、私の名前?」
「は? いやぁ待て、クソッ!」
「くそがなま――」
「――違ぇ!! あー、名付けなんてガラじゃねぇぞ……とりあえず……シープ」
「"羊"?」
「生け贄と言えばヤギだろうが……お前、もこもこだろ」

もこもこ、と言われて顔に掛かる髪の毛を握る。
確かにくるくる、ふわふわ、毛糸みたいな髪の毛かも知れない。
ティキって言った男の人ももしゃもしゃの髪の毛だけど、それより長いから、もこもこに見えるのかも。

「もこもこだから、とりあえずシープな。で……面倒だな…………」

その後はぶつぶつと小さな音で聞き取れなかったけれど、ティキが私を見る事は無かった。
私は初めて私のモノが出来て、嬉しくて。
ティキが居なくなってまた眠る人と二人だけになった部屋で、こっそりレースのカーテンを覗き見た。
目を閉じて眠る、長い茶色の髪をした可愛い女の子。
声を掛けてみたいけど、本当はこうやって覗くのも駄目かも知れない。
だからゆっくりゆっくり、レースのカーテンを元に戻しながら女の子、あいを盗み見る。

あい、あい。初めまして、私はシープ、シープだよ。

早くそんな風に声を掛けたい、そう思いながらゆっくり眠れますようにってお祈りをした。

カナリア 1

これは、私の知らないアノ子のお話。
私が私になるより、ずっとずっと前のお話。

「Hostias et preces Tibi, (賛美の生け贄と祈りを)」

司祭様の声が聞こえる。
小さな体の私たちは、手の平を結んでお祈りのポーズを掲げてた。

「Domine, laudis offerimus. (主よ、あなたに私たちは捧げます)」

おかあさんとおとうさんに気味が悪いって言われて、私は教会において行かれた。
多分、捨てられた。
悲しかったけど、ここには同じような子が沢山居たから寂しくはない。

「Tu suscipe pro animabus illis, (彼らの魂のためにお受け取りください)」

司祭様の声が聞こえる。
今日は私たちを迎えてくれる人が居るんだよって言われた。
いつもムスッとした顔の司祭様が笑っていて、少し気持ちが悪かったけど我慢する。
くれぐれもごキゲンをソコねないようにって言われたから。
もう捨てられたくなかったから。

「quarum hodie memoriam facimus. (今日、私たちが追悼するその魂のために)」

難しい事は分からなかったけど、静かにしなさいと言われたら静かにした。
大人しくしてなさいと言われたら、大人しくした。
我慢しなさいと言われたら、すごく痛くて苦しくても耐えた。
お行儀良くと言われたら、せいいっぱい丁寧にした。
そうしたら褒められて、必要としてくれるかも知れないって思ったから。
いい子にしていたら、今度は愛してもらえるかなって考えたから。
同じような子が沢山居たけど、同じような子しか居ないから、みんな愛に飢えていた。

「Fac eas, Domine, de morte transire ad vitam, (主よ、彼らの魂を死から生へとお移しください)」

どうかお願い、私たちを捨てないで。
私たちを愛して下さい。

「quam olim Abrahæ promisisti (かつてあなたがアブラハムとその子孫に)」

ああ、なのに、

「et semini ejus. (約束したように。)」

司祭様は私たちを捨てた。
ノアっていう人達に私たちを売った。
そして私たちは殺される。
同じような子達が集められた礼拝堂は、赤く染まった。
変なフーセンみたいな丸いモノが何かを撃って、みんなバラバラにこなごなに崩れて。
泣いている子も、逃げようとした子も、命乞いをした子も、司祭様も、全部同じに崩れていく。

「悲しむ人が居ないなら、せめてディナーになって頂きマショウ

お腹を太らせた帽子の男が言う。
私は泣くことも逃げることも命乞いも出来なかった。
ただ、捨てられたことに絶望して動けなくて。

「貴方は泣かないのですカ?」

帽子の男はニッコリと笑みに裂けた口で言う。
私はそれを見上げながら、何かを言った方が良いんだろうと考え、

「あ――……」

でも、言葉が出てこなかった。
泣く力も首を振る力も無くて、何もかもどうでも良くなって、でもただ愛して欲しくて。
なんて醜いんだろう。
恐怖や生きたいっていう希望も無くて、捨てられたままで終わるならせめて愛して欲しいなんて。

「綺麗な声ですネ、我が輩の可愛いAKUMAちゃんにそっくりの声でス 良い事を思いつきましタ!」

くるーりとその場で一回転した帽子の男は、急に傘を広げて片足で立った。
私はそれをぼんやりと眺める。

「貴方はここで殺さずに、我が家にご招待致しマショウ

きっと気に入りますヨ?と言って差し出された手が、まるで拾ってくれるかのように見えて。
それが地獄のような状況を生み出した悪魔のソレだと分かっていても、縋りたくなった。
愛してくれるなら相手が何だって良いなんて、ひどく醜くて汚いエゴ。
震える手を伸ばせば、ソレは確かに握り返してくれる。
温かい手の平に、泣きそうになった。





その日、エクソシストの中央庁が密かに運営していた"研究所"が壊滅した。
長官であるルベリエが極秘に研究、開発をしていた新たな手勢、金糸雀計画が中止となる。
アクマは対外的には人間との違いは無く、襲われるまで見つけ出す事が困難であったことから考えられた手法だった。
鉱山に入る労働者が危険を察知する手段として、空気の変化に機敏な鳥を使うように。
実務的な手足の鴉とは違い、囮として誘き出す事を主目的にされたそれ。
毒を嗅ぎ分け、末声を歌うカナリア。
ようやく作り上げたそれは、アクマの襲撃で全てが消え去った。
幾重もの結界や堅牢な城壁すら、跡形も無く。

「長官、やはり全滅のようです」

見渡す限りの廃墟を前に、幾人かのフードの人間が探索した結果に分かった事。
ルール違反は許さない。
敵であるアクマの主、千年公が強要する事柄。
これは、ノアとイノセンスとの戦いである。
ノアは手勢としてアクマを、イノセンスはエクソシストを。
それ以外は邪魔なものであり、舞台装置であり、一切許容しない。
大切な人に会いたいという欲を糧に無限に増えるアクマ達と、大切な人を守りたいという欲に犠牲になるエクソシスト達。

「全く、忌々しいものです」

硬い表情を一切動かさずに部下からの報告を受け、長官と呼ばれた男は背を向けて歩き出した。
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