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夫婦 生い立ちとその後



レイリめも


クライン家は初代騎兵隊隊長の直系の家系で由緒正しい貴祖の家柄。
昔は多くの騎士を輩出したが今は没落してきている。
レイリはクライン家の母と婿養子の父との間に生まれ、愛情を持って育てられた。
レイリが物心ついた頃には、家は借金にまみれ、優しかった父は暴力的になりレイリを虐待し始める。
母親はいつもレイリを庇っていたが、幼いレイリは優しかった父親の豹変に耐えれず、心を壊し、別人格を産み出す。
レイリによって産み出された別人格、イリアは日々の暴力からレイリを守っていたがある日父の暴力からイリアを庇い母が死亡、怒り狂ったイリアが父親と屋敷に仕えていた使用人を皆殺しにし、家に火を放つ。
そこからレイリの記憶は始まる。
気がつけば辺りは火の海、見慣れた人たちの変わり果てた姿に精神を病む。
奇跡的に助けられたレイリはルーシェス(もしくはノエルの師匠)に拾われる。
この時レイリは9歳。
その後ノエルに預けられ、弟子になり一般教養から兵法、薬学等を学ぶ。
その後ノエルの推薦で騎兵隊隊長に。
この時レイリ16歳。

補則めも
レイリは誰も信じてなかった。
ノエルはすぐには手を差しのべない。
差しのべる手はここにあるからお前が掴め主義。
隣に座って寄り掛かるくらいは甘やかしてくれているし、それなりに気に入ってる。
レイリは先生大好き。
シュノに関しては第一印象は最悪、むしろ最初はお互い馬が会わなかったので喧嘩ばかりしていた。




シュノめも


生まれつき魔憑きで、母親に幽閉されて育つ。
ある日母が自分を殺そうとしたのを身を守るため返り討ちにして妹も殺した。
その後騎兵隊の地下にある魔憑き研究所で実験台にされていたが、誰かが自分を呼んでいる気がして、突発的に檻を破壊して逃げ出す。
騎兵隊に入るまでは謎。

騎兵隊に入った理由
騎兵隊=魔物を殺す=人外を殺す=自分を殺してくれると考えて。
入隊したのはその実力を見定めるため。
レイリにちょっかいだしたのはただ単にレイリが隊長だったから。
最初はお互い険悪というか、興味すらなかった。


補則めも
シュノの両親が騎兵隊出身だったため、入隊は母親を殺したあと思い付いたかも。



風邪の日のそれぞれの過ごし方




「クラウド…朝だぞ。」
「………」
隣のベットで眠るクラウドは布団にくるまったまま、モゾモゾと顔を出した。
「頭が…ガンガンする…」
「なんだ?風邪引いたのか?」
ザックスは苦笑しながら額に手を当てた。
「熱あるな、頭痛いだけか?」
「あと…吐きそうだ…」
「取り合えず…薬のまないと、良くならないからな。
エアリスに頼んでお粥かなんか作って貰ってきてやるよ。」
クラウドはジーっと恨めしそうにザックスを見上げた。
「何だよ、何拗ねてんだ?」
「アンタは…何時もそうやって…俺を子供扱いする…。」
そんな拗ねた姿も可愛いだけなんだが…と、思った所で急にドアが開いた。
「ん?」
ザックスが振り返ると、サイファーがレオンを姫抱きにして入ってきた。
腕には引っ掻きキズが幾つもついてて、暴れられたんだろうなぁと思ってると、その視線に気付いたサイファーが舌打ちしてレオンをベットに投げた。
「った…運ぶなら最後まで丁寧に運べよ。」
悪態をつきながらも、レオンはベットに潜ってごそごそと部屋着に着替え始めた。
「病人が文句垂れるな。」
「何だ、レオンも風邪引いたのか?」
「レオンも…って、もしかして…」
「あぁ、クラウドも風邪だ。」
「チッ…風邪流行りすぎじゃねえか。」
あからさまな溜め息に、これは相当機嫌が悪いなと、瞬時に悟った。
「流行ってるのか?」
「ああ、昨夜ゼクスがぶっ倒れて部屋に運ばれたのを皮切りに、チビ共と…あと今朝がた隊長も倒れたって話だ。」
「隊長も?」
「みたいだぜ、詳しくはしらんがな。」
サイファーはレオンに体温計を投げて、自分のベットに腰かけた。
暫く恨めしそうにサイファーを睨んでいたレオンも、しぶしぶ体温計を受け取った。
似た者同士だなぁと、自分の隣で布団にくるまる愛しい人をみつめた。
「……何だよ…。」
熱に浮かされながら、ぼんやりと見上げてくるクラウドの頬にそっと触れた。
「病人は寝てろよ。」
「……そうする。」
クラウドは、そのままモゾモゾと布団のなかに潜って目を閉じた。
向かいではサイファーがレオンに薬を飲ませようとして抵抗されているらしかった。
「大人しくしろ!!」
「誰もアンタにそんなこと頼んでない!!」
喧嘩するほど仲がいいのか、ザックスはあえて見ない振りで食堂に向かうことにした。




「大丈夫?」
心配そうな声にぼんやりとしかいが広がる。
体が鉛のように重かった。
徐々に意識がはっきりすると、最愛の妹の顔が目に入り、ゼクスはようやく意識を回復させた。
「私は…」
そう、昨夜はたしか…と記憶をたどる。
昨夜、ゼクスはシュノと次の遠征について話をしていた。
なんとなく、体がだるいとは思っていた。
しかしながら、まさか風邪だとは梅雨にも思わず、そのまま意識を失った。
「あ、ゼクス。起きたの?」
ちょうど、レシュオムがお粥をもって入ってきた。
「ビックリしたんだよ、ゼクスが倒れたって聞いて…タウなんか一晩中寝ないで看病してたんだからね?」
「そうですか…ありがとう、タウ。」
ゼクスが微笑みながらタウフェスの頭を優しく撫でた。
「ううん、私はお兄ちゃんが心配だったの。」
にこっと笑ってタオルを変えてくれる冷たい末妹の手をぎゅっと握った。
「後で、シュノさんにもお礼言っておかないとだめだよ?」
「そうですね…今日は遠征の日程を積める予定でしたし…。」
「違うよ、シュノさんが倒れたゼクスをここまで運んでくれたんだよ。
でも、今日はきっと忙しくて無理だろうけど。」
「どうかしたんですか?」
苦笑するレシュオムに、ゼクスは不思議そうに首をかしげた。
「それがね、騎兵隊で風邪が流行っちゃって…
新入りの子達やクラウド達も風邪で倒れちゃって…隊がめちゃくちゃなの。」
そこまで、言い終わるとレシュオムは罰の悪そうに顔を背けて小さな声でいった。
「それでの…隊長が、今朝がた倒れたの。
今隊は大変でしょ?シュノさん、隊長の代わりに仕事割ふらなくちゃ行けなくなって…」
側に居られないから機嫌が悪いと。
何となく理由を理解したゼクスは、久しぶりにベットに横になりながらレシュオムの作ったお粥に手を伸ばした。
「ゼクス、あーんして?」
それを悟ったタウフェスが、れんげを取り上げて、にっこり笑いながらお粥を口許に差し出した。
ゼクスは多少照れながらも、お粥を口に運び、タウフェスとレシュオムは顔を会わせて嬉しそうに笑った。
今日は風邪を引いていることだし、妹たちの好意を素直に受けとるのも良いかもしれないと、つかの間の幸せを噛み締めていた。



朝、目が覚めると見慣れた金色が居ないことに気付く。
隣で寝ていたであろう場所は既に冷たくなっていることから、結構な時間が経っていることを物語っていた。
シュノは大きく欠伸をしながらもそもそとベットにから起き上がる。
レイリの部屋の隣の温室から水を巻く音がして、ああ…日課の水やりかと思い、温室に近付いて扉を開けた。
ガラスで覆われたレイリの庭は丁寧に手入れされていて、今日も花たちが活き活きと咲き誇っている。
が、肝心の温室の主の姿が見えない。
水の音はするものの、レイリの姿はない。
水を出しっぱなしにしてどこかに向かったのかとも考えたが、几帳面なレイリの性格上それはあり得ない。
嫌な予感に、広くない温室を歩き回っていると、奥の花壇の手前でグッタリと倒れているレイリを見つけた。
「レイリ!!」
ホースの先から溢れる水がレイリの寝間着を濡らし、体温を奪っていた。
「……シュノ?」
レイリの意識が徐々に戻ると、ぎゅっときつく抱き締める。
「何やってんだよ、お前はバカか!!」
「花に……水を…」
「……バカか…しかも熱あんじゃねぇか。」
「ね…つ…?通りで…体が…重いと思った…」
へらへらと緩んだ笑みを浮かべながらも、立ち上がろうとするレイリを、シュノは抱き上げてソファーに座らせた。
「まず体ふけよ。」
バスタオルを投げつけ、レイリがボタンはをはずして湿った寝間着を脱いでいる間、代えの寝間着を引っ張り出す。
上質な生地だろう寝間着は水分を吸って重くなっていた。
レイリの着替えが終わると、ベットに運んで熱を測る。
「……39度もあるじゃねぇか…」
シュノは呆れて何も言えなかった。
「……気が付かなかったんだ、仕方ないだろ。」
レイリが拗ねたようにシュノに背中を向けた。
「何でもいいけど、今日はお前はベットから一歩も出るな!!判ったな!?」
「判ったよ、大人しくしてる。」
「薬のめよ、ちゃんと。」
「子供じゃないんだから…判っ……ん…ぅ」
背中を向けていたから完全に油断していた。
レイリはシュノにキスされながら押し込められた薬を力無く飲みこんだ。
「っ…一人で飲める!!」
「いや、お前絶対捨てただろ。
この薬苦いから嫌いだとか言ってただろ。」
既に思考が駄々漏れで、レイリは悔しそうにシュノを見上げた。
「そんな目で見ても、可愛いだけだぞ。」
そう言って額にキスを落とされ、シュノは手早く身支度を整えるとベットから離れた。
「後で様子見に来てやるから。良い子にしてろよ?」
「……うん…」
小さくレイリが返事をすると、シュノはレイリの部屋を出ていった。
レイリは、布団の中に深く潜り、目を閉じた。
目が覚めたらきっと、目の前で愛しい人が優しく笑いかけてくれるだろうと思いながら。



レイリとシュノのマイクラ日記



古い魔術を使った仮想訓練施設。
そこに放り込まれたレイリとシュノ。
二人に課せられた目的はひとつ。
エンダードラゴンを討伐すること。
はてさて、一体どうなることやら…




初めての作業台編

レイリ「木材から作業台ができたよ!!」
シュノ「早速何か道具を作ってみるか。」
レイリ「(作業台で作業中)」
シュノ「(作業台で作業中)」
レイリ「…えと…(作業中)」
シュノ「よし、斧が出来た。」
レイリ「うーん…(作業中)」
シュノ「シャベルも出来た。」
レイリ「これを…並べて…(作業中)」
シュノ「ツルハシも出来たぞ。」
レイリ「やった!!鍬が出来たよ!!」
シュノ「………お前はもう、何もするな。」




畑作り編


シュノ「どうやら夜になったらモンスターが沸くらしい。
其までに簡易拠点を作る必要がある。」
レイリ「うん。」
シュノ「俺は資材を集めてくる。」
レイリ「わかったよ。」
シュノ「お前は家の中に畑を作ってくれ。」
レイリ「家の中に?」
シュノ「横長にして畑で小麦を育てないと餓死するだろ。」
レイリ「判った、畑作っておく!!」
シュノ「(なんだか不安だ…)」

一時間後

シュノ「どうやったらこうなるんだ…」
レイリ「何かおかしい?」
シュノ「誰が家の中全部耕せっつたよ!!」
レイリ「違った?だって食料は多いに越したことがないだろ?」
シュノ「そうだけど!!でも違うだろ。気付けよまず!!
ここに家たてるって言っただろ!?
俺らの住む場所ねーだろ!!」
レイリ「あぁ…うん、そうだね?」
シュノ「………」
レイリ「でも、この前の方まだ広いし、広げればよくない?」
シュノ「ああ…そうだな……(それをやるのは俺なんだけどな…)」



お家作り編


シュノ「お前はなにもしなくていい、頼むから。」
レイリ「え、僕も何かするよ。」
シュノ「しなくていい。(俺の仕事が増えるだけだし)」
レイリ「…僕は…シュノの役に立てないのかな…(´・ω・`)」
シュノ「………お前はベット作っておけ。
あとチェストとかまど。
設置はしなくていいからな、できたらチェストの中に入れとけ」
レイリ「うん、わかった!!」
シュノ「家は…中は木材で外は石にするか…範囲は…」
羊「め゛ぇぇぇ!!」
シュノ「なんだ!?」
レイリ?「あ…」
シュノ「レイリ、お前血まみれで…なにしてんだ?」
レイリ?「見てわからないか?羊から羊毛を刈り取ってんだ。」
シュノ「Σ!?お前、イリアか!?」
イリア「レイリが羊が可愛そうで殺せねぇっつーから、代わりに殺っといただけだろ。」
シュノ「おま…まぁいい…つか先には血を流してこい。」
レイリ「………ふぁ?」
シュノ「Σなっ!?」
レイリ「……あ…(気絶)」
シュノ「………(もう、帰りてぇ…)」


花祝詞



「また来たのか。」


溜め息をつきながら、本を閉じたノエルは後列の端にちょこんと座る深くフードを被った青年に声をかけた。

「…ダメですか?」

特に悪びれる様子もなく首をかしげるレイリに、ノエルは相手をするのも面倒なのかそのまま放っておくことに決めた。
これからミサがある。
つまりは仕事の準備があるわけで、レイリに構っている暇はないのだった。

「温室のバラが綺麗に咲いたので、飾っていただこうと思って。」

レイリは、立ち上がり、両手一杯の花束を抱えてノエルにそれを押し付けた。

「俺様が花なんて活けると思うか?
飾って欲しいならテメーでやれ。」

ノエルは押し付けられた花を押し返した。

「じゃあ勝手にさせてもらいます。」

そう言ってレイリは空いている花瓶に水を汲みにいった。
椅子の上に置かれたのは見事な大輪の黄色いバラ。
レイリの温室には色とりどりのバラや花が咲いているが、ひとつだけ、無い色がある。
レイリの髪色に良く似た明るいレモンイエローの薔薇の花はレイリ自身の様に甘ったるい香りがした。
その香りをかきけすように、ノエルはタバコに火をつけた。

「いい香りでしょう?」
「どこがだ、甘ったるくて胸焼けしそうだ。」
「そうですか。」

それでも、レイリは花瓶に薔薇を綺麗に活けて教壇の近くにおいた。

「本当は、神聖な白がいいんでしょうけど…。
生憎白い花は育ててないので。」

レイリは愛しそうに黄色いバラを撫でた。

「別に、花なんて何色でも変わらねぇだろうが。」
「聖職者とは思えないお言葉ですね。」
「それを言うなら、呑気にお庭弄りしてる隊長殿はどうなんだよ、騎兵隊ってのはそんなに暇なのか?」
「まさか、暇じゃないですよ。
今だって現に…」
「またサボりか、お前いい加減サボりのためにあの地下通路使うのやめろ。
その為にお前に教えた訳じゃねぇ。」
「でも、堂々と来たらシュノに捕まるので。」

シュノはこの教会には決して近付こうとしない。
それ故、レイリは自分の許容範囲を越えたときこの教会に人知れず紛れ込む。
教会に来る一般市民はレイリが騎兵隊隊長だとは知らずに気さくに挨拶してくる。
いくら騎兵隊が市民寄りの存在でも、レイリの名が広まっていても、顔までは知れていないと言うことで、それは逆にレイリにとって好都合だった。

「そんな無下にしなくても良いじゃないですか。
先生に会いたくて来たのに。」
「俺はそんなこと頼んでねぇ。
仕事の邪魔するなら帰れ。」
「はいはい、言われなくても帰りますよー。
折角先生に喜んでもらえると思って花持ってきたのになぁ。」

つまらなさそうにレイリはノエルを見上げた。
でも、その表情は恨めしいものではなくて、楽しげに口許を緩めていた。

「俺は花なんて嬉しくねぇよ。
俺を喜ばせたいなら煙草の1つでも持ってこい。」
「……身体に悪いですよ?」
「お子様には判らねぇだろうな。」
「判りたくありません。
それに僕は子供のままでいいんです。」

レイリはゆっくり立ち上がると不適に笑った。


「子供のままの方が、皆扱いやすいって思うでしょう?」


にんまりと、笑ったレイリは子供が見せるあどけない笑顔などではなかった。

「あら、レイリじゃない。」

ふわっと柔らかな声にレイリが振り向くと、にこにこと手を降る人影を発見して嬉しそうにレイリが駆け寄る。
まるで尻尾をぶんぶん振ってる犬のように。

「ローゼス!!久し振りだね!!」
「暫く顔見なかったけど、元気にしてた?」

レイリの頭を撫でながら、ローゼスがにこりと微笑んだ。

「うん、元気だったよ。
今日は花を届けに来たんだ。」

ローゼスは子犬をあやすようにレイリをあしらいながら、教壇に置かれた見事な薔薇をみて、ノエルの方に視線を投げ掛けた。

「レイリが育ててるって言ってたバラ?
凄い立派だね。」
「本当?そう言ってもらえたら嬉しいな。
先生ったら折角持ってきたのに全然興味持ってくれないんだよ。」
「アホか、俺様がお花なんて高尚な御趣味を持ってると思うか?」
「……思いませんけど!!
でも……」
「素直じゃないな、ノエルは。」
「るせ…だまれ。」

ノエルはめんどくさそうに溜め息をついた。

「黄色いバラの花言葉は献身。
レイリらしい花だね。」

レイリはローゼスを見上げて首をかしげた。

「気に入ってくれたならローゼスにも持ってくるよ、沢山咲いたから。」
「うーん…折角だけど、俺はこれでいいよ。」

そう言ってローゼスは花瓶から一輪薔薇を抜いた。

「部屋に一輪挿しの花瓶しかないからね。
それに、これだけ見事なバラなら一輪でも見ごたえがある。」

ふんわりと香る薔薇の甘い香りを纏わせながら、ローゼスはにこりと笑った。

「お前はレイリを甘やかしすぎだ。」
「そう?レイリは弟みたいなものだから、そう見えるのかもね。」
「僕もローゼスが兄様だったら嬉しいな。」
「俺様には飼い主と犬にしか見えねぇけどな…。」

ノエルが煙草をふかして、レイリを見た。

「レイリ、そろそろ帰れ。」
「あぁ、そうだった。
騎兵隊から可愛いお迎えが来ていたよ。
イェラに見付かる前に早く戻った方が…」
「ああああー!!見つけましたよ!!」
「うわっ!?」

教会に響く声に、レイリがビクッと反応した。

「さぁ、一緒に来てもらいますよ天使様!!」
「ちょ、怖い怖い、顔怖いから!!」

がっしりと腕を捕まれ、レイリは強引に引きずられていく。

「はは、まるで嵐だな。」
「なに呑気に笑ってんだよ。」

呆れたようにノエルはローゼスを見た。

「本当はノエルだって可愛いくせに。
良く言うだろ、手のかかる子供ほど可愛いって。」
「……別に、可愛くなんざねぇよ。
あんなクソガキどもはな。」


そう言って紫煙を吹き出したノエルの表情は柔らかかった。





「痛いよ、イェラ。
逃げないからもう少し力を緩くしてよ。」
「そう言って何度逃げ出したとおもってやがんですか。
今日は絶対離しません!!」
「信用無いなぁ。」
「あると思っていたんですか!?」

逆に驚かれて、レイリは夜来香をキョトンとしてみた。

「ないの?」
「ないだろ、です。」

肩をすぼめて降参のポーズを見せると、夜来香の手を解いた。
その流麗な仕草に目を奪われてると、教会の扉が開いて眩しい日差しが射し込んできてレイリの姿を眩ませた。
目を細めて、夜来香は口許だけ緩く弧を描いた。


「戻りますよ、隊長。」
「可愛いお迎えって聞いたから誰かと思えば、君だったの。
通りでイェラの機嫌が悪いはずだ。」

レイリは不機嫌そうな銀色に声を掛けた。

「お前は、俺がここに来るの好きじゃねぇの知ってて来てんだろ。」
「だって、他の場所ならすぐ見つかっちゃうじゃないか。
それに、今日は本当に教会に用事があったんだよ。」

教会に紛れ込んだという過激派の残党。
心配はしていないから騎兵隊が表だって動くこともない。
教会内で、内々に処理されるだろう。
それでもやはり育ての親という特別な存在はやはり気になるもので…

「先生も、気付いてるとは思うけど。」

綺麗な薔薇にはトゲがあるもので、もちろんレイリの薔薇も例外ではない。

「保険の意味だったけど、必要はないかもね。」

甘い香りを漂わせながら、レイリはにこりと笑った。

「用が済んだなら帰るぞ。
今日という今日は寝かせないからな。」
「やだ、シュノ。まだ昼間なのに大胆だね?」
「仕事が、終わるまで寝れると思うなよ?」
シュノが笑みを浮かべながらレイリの両頬をぎゅーっと左右に引いた。
「いひゃい、いひゃい!!」
「おー、愉快な顔だな。」
「千切れるだろ、ばか!!」
「ならさっさと帰るぞ。
山積みの仕事がお前の帰りを嬉々として待ってるぞ。」
「……シュノ。」
「手伝わねぇからな、今日という今日は。
俺は先に寝る。」
「違うよ、手…繋ご?」

レイリが手を差し出すと、重ね合わせてギュッと握る。
恋人繋ぎの状態で、嬉しそうに笑うレイリに、シュノは何も言わずに歩き出した、ゆっくりと。

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