【お勉強】
宗近「まず、この世界には今居る大陸以外にも外に大陸が広がっている。ここは中つ国、あちらは外津国と呼ばれているな」
鶴丸「ふんふん……けど、ここではそんな話し聞いたことない。どうして?」
宗近「それを説明するには、この大陸と外の大陸の違いを話さねばならぬが……簡単に言うと、この大陸は封鎖されている。外津国からは海路も空路も容易に入れないようになっているのだ」
鶴丸「あ、それでもしかして、外にも大陸があるって知らない人が多い?」
宗近「然り。更にこの大陸には外と分断する結界が壁のようにそびえていてな。外からは見えるが、中からは見えぬようになっている。これも、外に大陸があると知れぬ要因だ」
鶴丸「何かそれだけ聞くと、ここって特別みたい。えーと、……ヒスイが箱庭って言ってた」
宗近「左様、この大陸は神の箱庭なのだ。とある神が特別寵愛を注ぐ庭」
鶴丸「外にはカミサマって居ないの?」
宗近「居らぬなぁ。亜神という者は居るが、神は居らぬ。昔は居たが、その神はこの箱庭に篭もってしまった。故に、外は職業神というような加護はなく、人が死ねば生き返ることもない」
鶴丸「……それって、何か凄く怖い。だから外の人は、ここに来ようとするのか?」
宗近「目的は千差万別。加護を求める者や、神を掌握しようとする者、土地を求める者、様々だな。俺がここに居る目的は、歪の排除だ」
鶴丸「……いびつ?」
宗近「ここだけに加護が集中するとな、世界が歪むのだ。それはいずれ、世界の崩壊を招く。一枚の紙を、一カ所だけ持ち上げることは出来なかろう。切り込みが入れば、そこから裂けてしまうだろう。そういう考えだ」
鶴丸「ふーん……それって、怖いな。……なぁなぁ、亜神って何?」
宗近「亜神とは、要するに神へ至った者の事だな。生まれながらの神ではなく、自然派生した神でもない。世界の意思がそれらを後押しし、神へ至るのだという。万物を掌握する力は無いが、些細な守護の力を持つ」
鶴丸「守護と加護は違う?」
宗近「加護は甘やかし、守護は溺愛だと言うな。ようは、加減の違いだ」
鶴丸「むー……むずかしい」
宗近「まあ、覚えずとも構わんよ」
【ギルドの種類】
ヒスイ「さて、この国には三種類のギルドがある。親睦、対人、商業だ。このうち、ホームが割り当てられるのは対人、商業になる」
国永「対人と商業に王宮からホームが与えられるのは、大規模になるのが常だからだな。ちなみに、ホームには区画や規模によって税金が掛けられる他、ギルドの上納金によってランクが変わる」
ヒスイ「俺のギルド、天氣雨は商業だな。王都の区画は職人区の外壁で地下を含めて四階建て。税金は中の下、上納金は他の街に店を持てる程度だから下の中」
国永「基本的には職人気質の奴らが多いからなぁ。王都の店が一番広くて地下一階は作業場、地下二階は倉庫、一階は販売、二階は簡易の寝床と受付」
ヒスイ「店では主に冒険者向けの商品を販売してる。他のアクセサリーなんかは基本的に露店で売ってるなぁ」
国永「作品を作るまでに時間が掛かるってのと量産品よりも一点物が多いよな。あと、品物よりも情報を取り扱う方が多いし」
ヒスイ「古文書の解読、新技術の会得、騎獣の販売、武器防具の仲卸、各地の情勢や洞窟の情報収集。製図に長けた奴が大半か。冒険者としての力量も探索が可能な程度」
国永「商業ギルドでもたまぁに人手の貸し出しをしている所があるけど、対人のギルドとしても名が売れてる場合がほとんど。ちなみにうちは傭兵はしてない」
ヒスイ「対人をやるメリットってのは、ようは戦争屋だ。あと王室直々に攻城戦を認めていて、トップのギルドは国の政策に口出しできる事が一番か」
国永「そのせいで税金が変わりやすいのがネックだな。店での販売は税金を加味したものになるから、露店が流行る」
ヒスイ「そも、店単位で個人とのやり取りは考えてないからな。ある程度の集団、団体、事業を考えてる、下請けというやつだ。他の街にある店も倉庫として使っている」
国永「騎兵隊はその中でも大口の取引先だよなぁ」
ヒスイ「他に特筆すべき点としては騎獣の販売に力を入れてる位か。これは国永が騎獣に懐かれやすい事から始めた事だしな」
国永「確かに。卵から孵す騎獣、守護動物は元の卵さえあれば仕舞っておけるから、表立った販売は少ないな。俺達みたいに常時出して世話をしている奴は滅多にない。その分、毛艶や性格が良いって評判だな」
ヒスイ「そういう事で、責任者としての意味合いも含めて国永は王都本部の店を任せてサブマスターをさせてる」
国永「ヒスイはギルドマスターで全体の指揮を執ってるな。まあほぼ露店してるか古文書の解読をしてるか、魔術道具を作っているけど……あとたまにトレハンする時は、俺と固定パーティだな」
ヒスイ「基本的に、俺と国永のペアだ。今はエルが加わってトリオだな」
国永「まあ、店としてはそんな感じか」