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02.椿の方



綺麗な、椿の花みたいな人。


「おやおや、これはこれは。
はて、どうしたもんかねぇ」
椿の人は凛と通る声で、全く困った様子もなく怜悧のベットに腰を掛けた。
「政府から手に負えなくなった保護対象がいるときいて来てみたら…
まさかの同族とはな」
くくっと喉の奥で楽しげに笑う椿の人の言葉は、霧が掛かったような怜悧にはぼんやりとして途切れ途切れとしか聞こえない。
椿の人が怜悧の手をぎゅっと握ると、荒ぶっていた霊力が瞬時に収束していく。
「ほう、中々に上質な霊力をため込んでいたようだな。
だが、扱いがまるでなっていない。
今のお前は、はいはいしたての赤子も同然だ」
「………?」
突然何を言われているのか全く理解できない怜悧は不思議そうに首を傾げた。
「今はまだいい、次に会う時にちゃんと教えてやるからな。
今日はとりあえず体を楽にしてやろうな」
そういってから怜悧の背中に手を当てて半身を支えながら起こしてから口元にコップを近づけた。
「お前は浄化の力が強いようだから体調が悪い時は水を沢山飲むといい。
水には破邪の力と浄化作用がある。
ここでもそれくらいの融通は利くだろうから。俺の方で進言しておいてやろう」
ぼんやりとした頭で話半分で聞いていた怜悧は、コップの水をコクコクと飲むと、霧がかかったような頭のぼんやりがスッと晴れていくのを感じた。
それと同時に視界に飛び込んできたのは鮮やかな緋色の髪の優し気に微笑む綺麗な女性。
「よしよし、ちゃんと飲めたな。偉いぞ怜悧」
そういって優しく頭を撫でながらそっとベットに戻された。
「あの……なんで、ぼくのなまえ…」
「俺は緋翠。政府からお前の治療と年に数回の検診ついでに霊力の使い方を教えて欲しいと言われて来た。
だからお前の事は知っているんだよ。
お前も俺と同じ審神者になれる素質があるらしいからな」
「さに、わ…?」
「まぁ、今日は霊力を散らして体力を回復させるのが目的だから、体を休める為に寝物語として審神者の事を話してやろう」
緋翠は笑って怜悧の頭を撫でながらぽつぽつと語りだした。
時間遡行軍と戦う刀剣男士の事。
その刀剣を卸し、顕現させる能力を持つ審神者なる者の事。
刀剣男士と審神者が暮らす本丸の事。
緋翠の話し方は説明よりも物語を読み聞かせる様で、幼い怜悧にも何となくだが概要くらいは理解できた。
「えと、ぼくもさにわになるの?」
「いつかな。審神者になるにはお前はまだまだ子供で、知らなきゃいけないことが沢山ある。
危険な事と常に隣りあわせだという自覚が必要だ。
刀剣男士は強いが、審神者は戦う術を持たないものがほとんどだ。
故に審神者は常に命を狙われる」
「そんなこわいとこ…いきたくないよ」
「そうだな、怖いよな。でも怖い怖いと隠れても、審神者が負ければこの世界は遡行軍が好き勝手して歴史が改変されてしまう。
そうすればお前は生まれなかったことになってしまうかもしれない。
そうなると、今のお前は存在しなかったことになる。
つまり消えてしまうんだ、何もできずに。
そんなの嫌だろう?」
「いや…ひとりは、もういや…」
ぎゅっとしがみ付いて緋翠の袖をぎゅっとつかんだ。
「…そうか。
俺は審神者の仕事があるから常に一緒というわけにもいかないが……
実は少し心当たりがあってな。
独りぼっちにはならないだろうから安心していい。
俺もたまに顔を見に来るから」
「あの…えと……あなたはなんで、ダメって言わないの?
ここのひと、ぼくがあたらしいことおぼえるの、ダメっていうの」
「緋翠でいい。そうだな…俺は政府の人間ではないからかな?
時間遡行軍と戦う審神者は確かに政府の管轄する本丸に配属され、そこで戦っているが政府の役人というわけではない。
特に俺は初期審神者と言われる始まりの審神者でな。
他の審神者より政府に対する発言権がある。
まぁ、いろいろな事情から俺が良しと判断したことは政府は否とは言えないのさ。
だから俺から教わることはお前が審神者に成る為に必要な事、生きていくために必要なことだ」
「いきていくため…ひつよう…?」
首をかしげる怜悧に緋翠は微笑んで見せる。
「ああ、そうだ。それに俺は……昔我が子を亡くしてな。
丁度今の怜悧位の年の頃に出会ったんだがな、大切に愛してた。
だからかな、お前に亡き子を重ねてるわけじゃないが、放っておけなくてな。
困っているなら、辛い思いをしてるなら助けてやりたい。
寂しい思いをしてるなら抱きしめてやりたいと思う。
まぁこちらは完全に俺の自己満足のエゴだがな」
「…ぼくも、おやがいない…小さいころ、ここにきてからずっとひとりぼっち。
ひすいとぼく、おなじだね?」
怜悧の小さな手が緋翠の手をきゅっと握り返した。
「ひすい、またきてくれる?」
「ああ、お前の体調も心配だしな。
安定するまでは定期的に通ってやるよ。
だから今日はもう寝ろ、眠そうな顔してるぞ。
寝るまでそばに居てやるから」
「……ん、ひすい…やくそく……だよ」
幼い子狐はそのまま安心したように眠りに就いた。
「ほんと、怜鴉そっくりだな……」
緋翠は眠る怜悧を覗き込んだ。
あの日、焼けた屋敷と共に消えた二人の我が子の一人。
生き写しと言ってもいいほどに怜悧は怜鴉にうり二つだった。
育ってきた環境のせいか、怜悧は臆病で従順なのに対して、怜鴉は賢く生意気で物おじしない。
緋翠は眠った怜悧の手を名残惜しそうに離して、静かに部屋を出た。
もう、この小さな子狐に悲しい思いはさせたくない。
そう思い、もう一人の息子、朱璃が最後まで身を案じていた双子の弟の元へ行くために。


緋翠が数日間通った後に怜悧はすっかり元気になったので、政府から渡された子供向け学習用映像を自室でぼんやり眺めるだけの日々を過ごしていたある日。
突然部屋に知らない大人と、以前廊下ですれ違った子供が入ってきた。
怜悧はぎゅっとクマを抱きしめながら不安そうに見上げ、怯えたように尻尾を丸めて耳を垂れさせた。
「怜悧、緋翠さまの提案により今日からここで共同生活してもらう朱乃だ」
「ひすいが?」
抱きしめたクマのぬいぐるみから顔を覗かせた怜悧と目が合った朱乃は、あからさまに目をそらしてしまった。
気まずい空気が流れたのも気にせず、研究員は二人を残してさっさと部屋を出てしまった。
ピッと機械的な電子ロックが閉じる音がして、真っ白な部屋に二人だけ取り残された。
「あの……」
「緋翠が言ってたのはお前か?さにわ?になるんだろ。
俺は朱乃だ、よろしく」
「ぼく…れいり。あの、しゅのがひすいがいってた、ずっといっしょにいてくれるひと?
うれしい、ぼくもうひとりぼっちじゃないんだね」
「ああ、そばに居る様にとは言われてたな。
何でかはまた後で話すと言っていたが…」
怜悧は急に嬉しそうに朱乃に抱き着いた。
「えへへ、よろしくねしゅの!」

2人はまだ知らなかった。
緋翠すら知らなかった。

政府がこの二人を引き合わせた本当の理由と、これから幼い二人がたどる過酷な運命を。


01.はじまり



「あまり遠くに行かないようにね、私の可愛い坊や」
優しく頭を撫でられる手の感触を、声を、覚えている。
あれはいくつかの誕生日の日。
初めてのキラキラした外の世界に連れて行かれた。
「かあしゃま、あれはなぁに?」
「あれはお花よ、色んな種類があるでしょう?
これなんか坊やに似合うんじゃないかしら」
そう言って赤い花を髪につけてくれた。
「ほら、可愛い。これは椿という花なのよ」
「ちゅばき?」
「そう、母様の大好きなお花なのよ」
「じゃあかあしゃまに、はい!」
目の前の花をむんずと掴んで母親に差し出した。
「ふふ、ありがとう坊や」
そんな仲睦まじい親子の背後に黒い影が現れる。
影の中から複数人の大人が親子に向かってくるのを、母親は察して子供を背後に庇った。
「逃げなさい!坊や!
お祖母様の所に!今すぐに!」
「おばぁ、しゃま…?でも、かあしゃまは?」
「良いから早く!」
何が起きたかよく分からない子供は恐怖に足がすくんで動けない。
ぎゅっと母親の着物を掴む。
「いやっ、やぁ…かあしゃまぁ」
「この親子が玉藻の血縁者か?
ふむ……子供の方がとびぬけて霊力が高い、子供を連れて行け」
「やめて、やめて!逃げなさい坊や、怜悧っ!!」
子供が弾かれたように駆け出す頃には数十人に囲まれた母親は逃げ場を失っていて、祖母の庵に向かおうとした子供が無残にも踏み倒されて袋に押し込まれるのを悲鳴をあげながら手を伸ばしながらみていた。
「かあさん、かあさん!怜悧を助けてよ!!
好き勝手して私を振り回しておいて、孫くらい守りなさいよ、この女狐!!」
なりふり構わない母親は子供を助ける為に攻撃されて身体が傷つこうと、袋に入れられたか子供を取り返そうと手を伸ばす。
身体に鋭い痛みを感じながら、母から受け継いだ僅かな力を使い、息子が捕獲された袋を奪い返した。
「怜悧!」
「かぁしゃま」
もそもそと袋からはい出てきた幼い子供は泥だらけで、踏みつけられた時に口の中を切ったのか、口の端から少量血を零していた。
子供がギュッと母親を抱きしめたとたん、見てしまった。
母親の体に突き刺さる幾重の刀を。
じわじわと広がる赤い海を。
「かあ、しゃま…?」
「れ、いり…わたしの、可愛い坊や……
にげて、いきなさい、おばあさまの、ところに、はやく……かくれて……」
優しく頭を撫でられてから動かなくなった母親の前で暫く子供は母親を揺さぶっていた。
「おきて、かあしゃま、かえろ、おきて」
何度ゆさぶっても反応しない母親に寄り添って小さく体を丸めた子供は母親の腕の中で目を閉じた。


「馬鹿ですね、あの娘は。
一人残されたおチビちゃんが一人でワタシの所まで来れるわけが無いでしょう」
水鏡でその様子をみていた狐はふわりと立ち上がった。
「叶えてあげますよ、これでも母親ですからね。
私なりの愛情はあったんですよ」
立ち上がった狐が人の女に化けると、不意に水鏡に波紋が走った。
「これは……まさか!」
水鏡に映し出されたのは、力の少ない娘の放った攻撃で撤退したか死んだと思った先程の者たちで、奴らは嫌がる幼い孫を母親から引き離し、袋に詰め込み、そしてそのまま消えていった。
「時渡り……?
あんな大人数を可能にすることなんて…」
どこの時代に飛んだか分からない以上、孫を助けることは不可能だと悟り、娘の遺体を食い散らかされないようにする為に玉藻は立ち上がった。





攫ってきたのは平安の世を騒がせた大妖怪、玉藻御前の孫。
実子にはあまり受け継がれなかった力の大半を隔世遺伝で孫が受け継いだ。
霊力は全盛期の玉藻より劣るが、この幼さでそれだけの力があれば底はしれない。
そんなことは露知らず、突然知らない場所に連れてこられた真っ白の部屋で子狐の怜悧はベットの上でまるまっていた。
ふかふかの寝床。あたたかい布団と毛布もある。
でも大好きな母も祖母もいない部屋。
もともと人懐っこく甘えん坊だった怜悧は急に心の拠り所の母や祖母を失い、耳も尻尾も隠すすべを失い、頭から毛布を被って震えていた。
「ふぇ……たすけて、だれか……」
静かな真っ白な部屋の中、怜悧の啜り泣く声だけが響いた。


小さな子狐は従順になった。
ならざるを得なかった。
何をすれば、どうするべきが、教えてくれる人は誰もいない。
それにつけ込み怜悧を都合のいい実験動物に仕立てていく。
身を守る為に怜悧は感情を凍らせた。
笑う事も、大好きな母の事さえも。
怜悧に与えられたのは真っ白な部屋での最低限の生活と、怜悧と同じくらいの背丈のクマのぬいぐるみだった。
ベットに置かれたそれに抱き着き、涙を零していた。
「こわいよぉ………ひとりに…しないでよぉ…」
スリスリと甘えるように頭を擦り付けて、泣きじゃくる怜悧は哀れだが、ここには誰一人それを感じ取れる者はいなかった。
幼い怜悧は物事を知らない。
怜悧は唯一一緒にいることを許された友達のくまのぬいぐるみを肌身離さず、何処へ行くにも抱えて行った。
引き離そうとすると暴れるが、一緒にさせておけば大人しく言うことを聞くのでくまのぬいぐるみと小さな怜悧を抱き上げて検査室に連れていく。
医療用ベットに機械を繋ぎ、睡眠薬を混ぜた水を怜悧に飲ませて霊力の変動と血液検査をして怜悧の体調管理と霊力の分析を同時に行う。
最初は順調に測定していた霊力はいつしか荒れて、制御が効かなくなり、怜悧の身体にも悪影響を及ぼして、暫く女性職員が食事や検査に同行することになった。
怜悧は既に憔悴しきっていて、ギュッとクマを抱きしめたまま俯いている。
「ほら、おいで朱乃。
今日は簡単な検査だから」
不意に廊下ですれ違ったのは紫銀の髪に菫色の瞳の少年。
怜悧は、びくっと震えて女性職員にしがみついて隠れると、朱乃と呼ばれた少年を見上げた。
「……っ」
ぺたりと耳をしょげたまま、怜悧はくまを抱く手に力を込めて、女性職員に手を引かれて虚ろな瞳のまま半ば引きずられるように連れて行かれた。
それからというもの、怜悧は何故か分からないがあの少年のことが頭から離れなかった。
その頃には怜悧の霊力は膨れ上がり、職員でも手が付けられない状態で、怜悧はいつ爆発してもおかしくない霊力爆弾だった。
最高の研究体をこのままみすみす死なせてしまうのは惜しいのか、研究チームはとある人物に怜悧の処置を任せる事にした。


ベットに横たえられた子狐は機会に繋がれ、点滴で生命を維持していた。
「……だ、れ……?」
掠れた声で戸口に目をやると、怜悧からは逆光でよく見えないが、狐の耳とシッポが見えた気がした。
「かあ、さま……?」
怜悧は小さな手をその狐の影に伸ばした。
部屋に入ってくる気配と、手を握られる暖かな感触に、怜悧は安らかに目を閉じた。

その人は微かに椿の花の懐かしい香りがした。

とうらぶ会話文。2

(怜鴉救出後〜)
四郎「たーだーいーまー……(ぐでーんと執務室の扉を開きつつ)」
怜鴉「遅い。予定より三日も遅れるんだったら、連絡くらい入れてくれる?光忠が心配するから」
四郎「辛辣っ!せめて遅れた理由とか聞いてくれても……」
怜鴉「現世とこっちの時間が狂ってるなんて今更でしょう」
秋田「あ、あの!主君は、あちらで迷子の男士の皆さんを案内していて……」
怜鴉「へー、そうなの?秋田は先にお風呂行っておいで(秋田の頭をぽんぽんし)」
秋田「はい!あ、あの……(四郎を窺い)」
四郎「ん、行ってきて良いよ。後でお土産取りにおいで」
秋田「はい!(ほにゃっと笑顔を浮かべて)失礼しますっ!(とててーと歩き去り)」
怜鴉「で、報告は」
四郎「ん、遭難してた一部隊を発見して保護しようとしたら遡行軍が出てきてドンパチ。
で、後処理と目撃者の記憶操作で予定より過ぎました……」
怜鴉「あっそ。報告書にまとめたらお茶入れてくれる?」
四郎「え、帰ってきたばっかりなんだけど!?」
怜鴉「お前が外へ任務に行ってる間、本丸の管理をしてるのは?」
四郎「ぐっ……怜鴉さんです」
怜鴉「霊気不良で下手に顕現出来ないお前に男士の貸し出しを許可してるのは?」
四郎「……怜鴉様です」
怜鴉「母さんの弟子筋として何か言う事ある?」
四郎「兄弟子様のお陰で順調です……」
怜鴉「お茶」
四郎「はいっ、ただいまーっ!!(やけくそ気味に厨へ行き)」
怜鴉「ったく……不出来な弟を持つと苦労するよね」
朱璃「(執務室の奥の寝室から寝ぼけ顔を出し)……れーあ、しろ……もど、た?」
怜鴉「ああ、ごめんね朱璃、起こしちゃった?今戻ってきてお茶の用意をしてるよ、おいで(優しく微笑んで腕を広げ)」
朱璃「ん……(四つん這いでゆっくりと歩み寄って怜鴉の膝枕に腕を腰に絡め)」
怜鴉「全く、あれもすぐに連絡すれば良いのに。母さんが居るから心配ないって言ったろう?(朱璃の頭を撫で)」
朱璃「……ん……(くすぐったそうに受けながら、腹にすりすりと頭を擦り寄せ)」
怜鴉「朱璃に心配させるなんて良い度胸だよね。……これでお土産が碌な物じゃなかったらどうしてくれよう……(小声で怒りを滲ませ)」
朱璃「れ、あ?(片目を開けて様子を窺い)」
怜鴉「うん?なぁに、どうしたの(柔らかく微笑んで朱璃を見)」
朱璃「……ん、ちゅー……(身体を伸ばして怜鴉の頬にキスをし)」
怜鴉「……(目を見開いて珍しく固まり)」
朱璃「れーあ、おこる……やだ」
怜鴉「……朱璃、そんな可愛い事どこで覚えたの?他の人にやっちゃダメだよ?」
朱璃「?……しろ、れーあに、ちゅー、する」
怜鴉「四郎?四郎がお前に教えたの??(朱璃を膝の上に跨がせて抱き締め)……くそ、怒りづらくなったな……」



四郎「お茶の用意が出来ましたよ、兄弟子怜鴉サマー(棒読みでお盆に茶器を乗せながら執務室に入り)」
怜鴉「何そのバカみたいな言い方」
四郎「辛辣っ!?あ、朱璃さんも起きてたんだ。おはよう、朱璃さん」
朱璃「……んー……(怜鴉の膝に跨がったまま怜鴉の肩に擦りつき)」
怜鴉「それで、今回のお土産は?」
四郎「土産、ある事前提なんすね……まああるけど。今回行ったのが京都だったから、八つ橋と和三盆、あと和生にしてみたんだ。朱璃さんにはあと金平糖(机の上に広げ)」
怜鴉「……何で馬鹿みたいに甘い物だけなの」
四郎「ええ!?自分が前に朱璃さんが好きな甘い物にしろって言ったんじゃん!?」
怜鴉「あー……そうだっけ?朱璃、四郎のお茶だよ」
朱璃「ん……(もそもそと膝の上で反転して背中を怜鴉に預け)ちゃー(両手を四郎に伸ばし)」
四郎「はいはい、今煎れるから待ってろよ。零したら大変だからぬるめでー……(てきぱきとお茶の用意をし)」
怜鴉「朱璃、呑ませてあげるからこっち向いて?(朱璃の伸ばした両手を後ろから恋人繋ぎに掴んで手の甲にキスを落とし)」
朱璃「ん、んー(ぷるぷると顔を左右に振り)」
四郎「……怜鴉って、本当に朱璃さんの事好きだよなぁ」
怜鴉「なに、急に。当然でしょう?」
四郎「いや、何か見てて恥ずかしいって言うか……」
怜鴉「じゃあ見ないでくれる?可愛い朱璃が減るじゃない」
四郎「見せたくないなら隠そうな!?いや、隠すって言うか控えるっていうか……」
朱璃「れ、あー……(後ろを振り返り)」
怜鴉「なぁに、どうしたの?(甘い微笑みで朱璃を見つめ)」
朱璃「ん、あぇ……、あーん(机の上に広げられたお土産を見てから口を開き)」
怜鴉「ちゅー(思わず口を開いた朱璃の顔にキスを落とし)」
朱璃「ぁ、ん、……ちゅ、ちゅう……ん、む……(うっとりと眼を細めて触れるだけのキスに舌を絡め)」
四郎「ナチュラルにすんのを止めろって言ってんですけどね!?(顔を真っ赤にしながら机にお茶を置き)」
怜鴉「ん、ちゅう……だから見るなって言ってるじゃない(むっとした顔で四郎を睨み)」
四郎「なんでさ!?ていうか俺が客じゃないか?いや、よしんば客じゃないにしても土産買ってきてるんだからもてなしてくれても良いんじゃないか……?」
怜鴉「仕方ないでしょう、朱璃はお前のお茶が好きなんだから」
四郎「え……そうなのか?てっきり怜鴉が面倒くさがってるからだと……(朱璃を見)」
朱璃「ん、……しろちゃ、すき(キスの余韻で頬を赤らめつつ)」
四郎「そうなのか、ありがとな朱璃さん。それじゃあ居る内に一杯呑んでくれよ?(笑って朱璃を見)」
朱璃「ん(頷いて怜鴉を見上げ)」
怜鴉「(朱璃から顔を逸らして内心舌打ちをし)……やっぱり腹立つ。(ため息を軽く吐いてから笑顔で朱璃を見おろし)ほら朱璃、どれから食べたい?」
朱璃「……ん、あーん(怜鴉を見てから微かに笑い)」
怜鴉「どれでも良いの?じゃあ八つ橋からにしようか(朱璃だけを見つめてお土産に手を伸ばし)」
四郎「(朱璃って呼ぶと怒るわりに自分は呼び捨てでも怒らないし、の割には顔出さないと怒るし追い出さないけど、基本俺の事は無視なんだよなぁ怜鴉って)」

とうらぶ会話文。

(怜鴉救出(緋翠神嫁)後〜)
鶴丸「なあなあ国兄!きみたちの主が神格化したって事は、他の本丸連中はどうしたんだ?」
国永「他のって、うちの夏や侘助に居た奴らか?」
鶴丸「そうそう。雪椿が一の丸で、そこに居た奴らは全員式神化したんだろう?」
三日月「うむ、あれは主の神域となった。二振り目として顕現したモノは習合と相成ったなぁ」
国永「侘助の奴らにはきみ、会ってるだろ。あそこの鶴丸と薬研のやらかしは有名だぜ」
鶴丸「ぇ……や、やらかしって、その……」
国永「やーらしぃ薬を買ってるんだろう?(にやにや)」
三日月「はっはっは、連中の薬は試験を済ませているから副作用も無く楽しめよう?」
鶴丸「(それってつまり、三日月も買って……?)」
三日月「夏の二の丸は知っての通り、主替えに賛同したモノは残り、そうでないモノは連結や習合で還ったよ」
鶴丸「主替えって……怜鴉かぁ。まあ息子だから、の一言で赦せと言われてもなぁ」
国永「人間らしく扱われたお陰で随分と人らしくなったよな。大半は修行で己を見つめ直し呑み込んだようだが。で、侘助の奴らだが……」
三日月「政府の管轄で技術屋に鞍替えたようだな。あそこは四郎に継承されたが、奇縁だからなぁ」
鶴丸「え、四郎なのか?てっきり怜鴉だと思ってた」
国永「管理は怜鴉任せだが、襲名は四郎が受けてたぜ」
三日月「四郎が降ろすと、な。かおはゆい変化が起ころう?あれを好かぬ者も居るのだ」
鶴丸「えー……面白そうで良いと思うけどなぁ。あれこそ驚きだろう」
国永「小狐丸や鳴狐は大差ないだろうけどな。しかし蜂須賀の初期の頃を見ていると……なかなか難しいもんだぜ」
三日月「一時的な変化であれば受け入れる術もあろうがなぁ。侘助が面白き医薬を作って居ったぞ?」
鶴丸「え、面白い!?なんだなんだ」
三日月「それこそ変化薬だな。四郎の異能を解析した結果、動物への変化が可能になったようだ」
国永「あー……全部が変わるあれから一部要素を引き継いだりするあれな。試験に付き合ったが……任務には使えんぞ」
三日月「うむ、化生の本性が引き合いに出され発情する故。お鶴は気に入るだろうよ」
鶴丸「え、それって……(つまり三日月と国兄が……うわぁ……///)」
国永「四郎の顕現では確認されていない事項だから、そこはやはり審神者の御技なんだろうな」
三日月「だが顕現体の性別変換など、興味深い物もあろう?あれは特別任務として使用が解禁されていたな」
鶴丸「へぇ……なんか、凄いんだな。それにしても知ってる顔が残ってるって聞いて安心したじぇ!」
国永「(むしろ万屋界隈で会ってるだろうに今更なんだよなぁ)」



鶴丸「なんか他の本丸の話し聞くの楽しくなってきた!なぁなぁ国兄、三日月、他にどんな刀が居たんだ!?」
国永「うぇ、他?そうだなぁ……審神者の霊力不安定で顕現が年少化したり……」
三日月「ああ、すとれす、という物を溜めすぎて分裂する個体や刀意識の強いモノも居たなぁ」
鶴丸「年少!分裂!?いったいどんなトンチキだ!!(わくわく)刀意識って、人間の事は分からないとか?」
国永「いやぁ……もっと厄介なのは食事よりも玉鋼を食べたがったり、寝る時は刀掛けにしなだれかかったりだな」
鶴丸「ガチの刀だった!!!」
国永「太刀連中だと主の腰にしがみついたり、短刀だと懐に入るか腹を異常に気にしたりな」
三日月「太郎太刀が主の背に密着している様は愛らしかったなぁ」
鶴丸「怖い、逆に怖い!!!ね、年少はどんな奴らだったんだ……?」
国永「どんなって……(三日月ちら)」
三日月「うむ、皆だな。俺達が会ったのは同位体が多いぞ」
国永「鶴丸国永は俵抱えを好んだり、押し入れの布団の隙間で寝ていたり……」
三日月「小さき俺は散歩や縁側で日向ぼっこをしていたなぁ」
国永「あと菓子が好きだったり、蹴鞠が上手かったり……あと可愛らしく見える事を自覚してる個体が多い。見た目に欺されると食われるぜ」
鶴丸「(ダマされて食われたのかな?それって三日月が許したんだろうか)」
三日月「ああ、年少の俺と番になった鶴丸国永の事か。幼い故、夜這いを仕掛けて食おうとした所を甘えられていると勘違いして押し倒され、食われたと言っていたなぁ」
鶴丸「(えげつなっ!?けど違う個体だったなら国兄じゃないのか、そうだよな、国兄だしな……)」
国永「基本的に、大きさが変わって精神が引き摺られても元の刀としての素質は変わらんさ」
鶴丸「それなら、ストレスで分裂ってのは?」
三日月「俺達は元が刀だからな。人の真似は不得手なモノも多かろう?」
国永「珍しい事ではあるんだが、三日月にも一例あるぜ。宝剣として飾られてた影響か、主の寝所で黙って座ってる奴が居てなぁ」
三日月「あなや!あの俺か……」
鶴丸「へぇ、大人しい個体だったんだな。それがどうしてストレス?」
三日月「うむ、それがなぁ……人の身体を持った故、空腹を覚えたのだが瞑想をし続けてな」
国永「夜な夜な厨が荒らされるという怪現象が起こり、犯人は本能が分裂した三日月だった訳だ」
鶴丸「え……なんか、すごいな」
国永「最終的には畑が荒らされる所までいったんだから、珍しい事例だろう?」
鶴丸「鶴丸国永はないのか!?」
三日月「あるぞ。数多の本丸で悪戯っ子と言われている鶴丸だが、常に大人しく実直な個体が居てなぁ」
国永「穴を掘らない、悪戯をしない、驚きを求めない、戦場では羽目を外さない、ってな奴だな」
鶴丸「え、国兄もそうじゃないか?」
三日月「ここで言っているのは度を超してそうである、という事が問題なのだ。人間も余暇を楽しむことはしよう?」
国永「本丸結成から約一年、ずっとそんな感じだったようでなぁ。趣味らしい趣味もなく、主にも距離を起き続けた結果……理性が分裂した」
鶴丸「鶴丸なのに、長谷部二号だったのか……?そりゃあ、随分と驚きだな……しかも理性が分裂って」
三日月「ようはな、伊達男らしく我慢していた事が我慢出来なくなったのだ。主に甘え、構って貰いたいという愛らしい欲がな」
国永「付喪神とは人に使われて成ったモノだからな。使われたい、良く思われたいと思うのをこじらせるのはよくないって事さ」
鶴丸「へぇー……つまり、我慢しすぎるのは良くないって事か」
国永「そういう事。あとは相性もあるが、体調不良を放置してもお互い良いことはないのさ」
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