(怜鴉救出後〜)
四郎「たーだーいーまー……(ぐでーんと執務室の扉を開きつつ)」
怜鴉「遅い。予定より三日も遅れるんだったら、連絡くらい入れてくれる?光忠が心配するから」
四郎「辛辣っ!せめて遅れた理由とか聞いてくれても……」
怜鴉「現世とこっちの時間が狂ってるなんて今更でしょう」
秋田「あ、あの!主君は、あちらで迷子の男士の皆さんを案内していて……」
怜鴉「へー、そうなの?秋田は先にお風呂行っておいで(秋田の頭をぽんぽんし)」
秋田「はい!あ、あの……(四郎を窺い)」
四郎「ん、行ってきて良いよ。後でお土産取りにおいで」
秋田「はい!(ほにゃっと笑顔を浮かべて)失礼しますっ!(とててーと歩き去り)」
怜鴉「で、報告は」
四郎「ん、遭難してた一部隊を発見して保護しようとしたら遡行軍が出てきてドンパチ。
で、後処理と目撃者の記憶操作で予定より過ぎました……」
怜鴉「あっそ。報告書にまとめたらお茶入れてくれる?」
四郎「え、帰ってきたばっかりなんだけど!?」
怜鴉「お前が外へ任務に行ってる間、本丸の管理をしてるのは?」
四郎「ぐっ……怜鴉さんです」
怜鴉「霊気不良で下手に顕現出来ないお前に男士の貸し出しを許可してるのは?」
四郎「……怜鴉様です」
怜鴉「母さんの弟子筋として何か言う事ある?」
四郎「兄弟子様のお陰で順調です……」
怜鴉「お茶」
四郎「はいっ、ただいまーっ!!(やけくそ気味に厨へ行き)」
怜鴉「ったく……不出来な弟を持つと苦労するよね」
朱璃「(執務室の奥の寝室から寝ぼけ顔を出し)……れーあ、しろ……もど、た?」
怜鴉「ああ、ごめんね朱璃、起こしちゃった?今戻ってきてお茶の用意をしてるよ、おいで(優しく微笑んで腕を広げ)」
朱璃「ん……(四つん這いでゆっくりと歩み寄って怜鴉の膝枕に腕を腰に絡め)」
怜鴉「全く、あれもすぐに連絡すれば良いのに。母さんが居るから心配ないって言ったろう?(朱璃の頭を撫で)」
朱璃「……ん……(くすぐったそうに受けながら、腹にすりすりと頭を擦り寄せ)」
怜鴉「朱璃に心配させるなんて良い度胸だよね。……これでお土産が碌な物じゃなかったらどうしてくれよう……(小声で怒りを滲ませ)」
朱璃「れ、あ?(片目を開けて様子を窺い)」
怜鴉「うん?なぁに、どうしたの(柔らかく微笑んで朱璃を見)」
朱璃「……ん、ちゅー……(身体を伸ばして怜鴉の頬にキスをし)」
怜鴉「……(目を見開いて珍しく固まり)」
朱璃「れーあ、おこる……やだ」
怜鴉「……朱璃、そんな可愛い事どこで覚えたの?他の人にやっちゃダメだよ?」
朱璃「?……しろ、れーあに、ちゅー、する」
怜鴉「四郎?四郎がお前に教えたの??(朱璃を膝の上に跨がせて抱き締め)……くそ、怒りづらくなったな……」



四郎「お茶の用意が出来ましたよ、兄弟子怜鴉サマー(棒読みでお盆に茶器を乗せながら執務室に入り)」
怜鴉「何そのバカみたいな言い方」
四郎「辛辣っ!?あ、朱璃さんも起きてたんだ。おはよう、朱璃さん」
朱璃「……んー……(怜鴉の膝に跨がったまま怜鴉の肩に擦りつき)」
怜鴉「それで、今回のお土産は?」
四郎「土産、ある事前提なんすね……まああるけど。今回行ったのが京都だったから、八つ橋と和三盆、あと和生にしてみたんだ。朱璃さんにはあと金平糖(机の上に広げ)」
怜鴉「……何で馬鹿みたいに甘い物だけなの」
四郎「ええ!?自分が前に朱璃さんが好きな甘い物にしろって言ったんじゃん!?」
怜鴉「あー……そうだっけ?朱璃、四郎のお茶だよ」
朱璃「ん……(もそもそと膝の上で反転して背中を怜鴉に預け)ちゃー(両手を四郎に伸ばし)」
四郎「はいはい、今煎れるから待ってろよ。零したら大変だからぬるめでー……(てきぱきとお茶の用意をし)」
怜鴉「朱璃、呑ませてあげるからこっち向いて?(朱璃の伸ばした両手を後ろから恋人繋ぎに掴んで手の甲にキスを落とし)」
朱璃「ん、んー(ぷるぷると顔を左右に振り)」
四郎「……怜鴉って、本当に朱璃さんの事好きだよなぁ」
怜鴉「なに、急に。当然でしょう?」
四郎「いや、何か見てて恥ずかしいって言うか……」
怜鴉「じゃあ見ないでくれる?可愛い朱璃が減るじゃない」
四郎「見せたくないなら隠そうな!?いや、隠すって言うか控えるっていうか……」
朱璃「れ、あー……(後ろを振り返り)」
怜鴉「なぁに、どうしたの?(甘い微笑みで朱璃を見つめ)」
朱璃「ん、あぇ……、あーん(机の上に広げられたお土産を見てから口を開き)」
怜鴉「ちゅー(思わず口を開いた朱璃の顔にキスを落とし)」
朱璃「ぁ、ん、……ちゅ、ちゅう……ん、む……(うっとりと眼を細めて触れるだけのキスに舌を絡め)」
四郎「ナチュラルにすんのを止めろって言ってんですけどね!?(顔を真っ赤にしながら机にお茶を置き)」
怜鴉「ん、ちゅう……だから見るなって言ってるじゃない(むっとした顔で四郎を睨み)」
四郎「なんでさ!?ていうか俺が客じゃないか?いや、よしんば客じゃないにしても土産買ってきてるんだからもてなしてくれても良いんじゃないか……?」
怜鴉「仕方ないでしょう、朱璃はお前のお茶が好きなんだから」
四郎「え……そうなのか?てっきり怜鴉が面倒くさがってるからだと……(朱璃を見)」
朱璃「ん、……しろちゃ、すき(キスの余韻で頬を赤らめつつ)」
四郎「そうなのか、ありがとな朱璃さん。それじゃあ居る内に一杯呑んでくれよ?(笑って朱璃を見)」
朱璃「ん(頷いて怜鴉を見上げ)」
怜鴉「(朱璃から顔を逸らして内心舌打ちをし)……やっぱり腹立つ。(ため息を軽く吐いてから笑顔で朱璃を見おろし)ほら朱璃、どれから食べたい?」
朱璃「……ん、あーん(怜鴉を見てから微かに笑い)」
怜鴉「どれでも良いの?じゃあ八つ橋からにしようか(朱璃だけを見つめてお土産に手を伸ばし)」
四郎「(朱璃って呼ぶと怒るわりに自分は呼び捨てでも怒らないし、の割には顔出さないと怒るし追い出さないけど、基本俺の事は無視なんだよなぁ怜鴉って)」