(怜鴉救出(緋翠神嫁)後〜)
鶴丸「なあなあ国兄!きみたちの主が神格化したって事は、他の本丸連中はどうしたんだ?」
国永「他のって、うちの夏や侘助に居た奴らか?」
鶴丸「そうそう。雪椿が一の丸で、そこに居た奴らは全員式神化したんだろう?」
三日月「うむ、あれは主の神域となった。二振り目として顕現したモノは習合と相成ったなぁ」
国永「侘助の奴らにはきみ、会ってるだろ。あそこの鶴丸と薬研のやらかしは有名だぜ」
鶴丸「ぇ……や、やらかしって、その……」
国永「やーらしぃ薬を買ってるんだろう?(にやにや)」
三日月「はっはっは、連中の薬は試験を済ませているから副作用も無く楽しめよう?」
鶴丸「(それってつまり、三日月も買って……?)」
三日月「夏の二の丸は知っての通り、主替えに賛同したモノは残り、そうでないモノは連結や習合で還ったよ」
鶴丸「主替えって……怜鴉かぁ。まあ息子だから、の一言で赦せと言われてもなぁ」
国永「人間らしく扱われたお陰で随分と人らしくなったよな。大半は修行で己を見つめ直し呑み込んだようだが。で、侘助の奴らだが……」
三日月「政府の管轄で技術屋に鞍替えたようだな。あそこは四郎に継承されたが、奇縁だからなぁ」
鶴丸「え、四郎なのか?てっきり怜鴉だと思ってた」
国永「管理は怜鴉任せだが、襲名は四郎が受けてたぜ」
三日月「四郎が降ろすと、な。かおはゆい変化が起ころう?あれを好かぬ者も居るのだ」
鶴丸「えー……面白そうで良いと思うけどなぁ。あれこそ驚きだろう」
国永「小狐丸や鳴狐は大差ないだろうけどな。しかし蜂須賀の初期の頃を見ていると……なかなか難しいもんだぜ」
三日月「一時的な変化であれば受け入れる術もあろうがなぁ。侘助が面白き医薬を作って居ったぞ?」
鶴丸「え、面白い!?なんだなんだ」
三日月「それこそ変化薬だな。四郎の異能を解析した結果、動物への変化が可能になったようだ」
国永「あー……全部が変わるあれから一部要素を引き継いだりするあれな。試験に付き合ったが……任務には使えんぞ」
三日月「うむ、化生の本性が引き合いに出され発情する故。お鶴は気に入るだろうよ」
鶴丸「え、それって……(つまり三日月と国兄が……うわぁ……///)」
国永「四郎の顕現では確認されていない事項だから、そこはやはり審神者の御技なんだろうな」
三日月「だが顕現体の性別変換など、興味深い物もあろう?あれは特別任務として使用が解禁されていたな」
鶴丸「へぇ……なんか、凄いんだな。それにしても知ってる顔が残ってるって聞いて安心したじぇ!」
国永「(むしろ万屋界隈で会ってるだろうに今更なんだよなぁ)」



鶴丸「なんか他の本丸の話し聞くの楽しくなってきた!なぁなぁ国兄、三日月、他にどんな刀が居たんだ!?」
国永「うぇ、他?そうだなぁ……審神者の霊力不安定で顕現が年少化したり……」
三日月「ああ、すとれす、という物を溜めすぎて分裂する個体や刀意識の強いモノも居たなぁ」
鶴丸「年少!分裂!?いったいどんなトンチキだ!!(わくわく)刀意識って、人間の事は分からないとか?」
国永「いやぁ……もっと厄介なのは食事よりも玉鋼を食べたがったり、寝る時は刀掛けにしなだれかかったりだな」
鶴丸「ガチの刀だった!!!」
国永「太刀連中だと主の腰にしがみついたり、短刀だと懐に入るか腹を異常に気にしたりな」
三日月「太郎太刀が主の背に密着している様は愛らしかったなぁ」
鶴丸「怖い、逆に怖い!!!ね、年少はどんな奴らだったんだ……?」
国永「どんなって……(三日月ちら)」
三日月「うむ、皆だな。俺達が会ったのは同位体が多いぞ」
国永「鶴丸国永は俵抱えを好んだり、押し入れの布団の隙間で寝ていたり……」
三日月「小さき俺は散歩や縁側で日向ぼっこをしていたなぁ」
国永「あと菓子が好きだったり、蹴鞠が上手かったり……あと可愛らしく見える事を自覚してる個体が多い。見た目に欺されると食われるぜ」
鶴丸「(ダマされて食われたのかな?それって三日月が許したんだろうか)」
三日月「ああ、年少の俺と番になった鶴丸国永の事か。幼い故、夜這いを仕掛けて食おうとした所を甘えられていると勘違いして押し倒され、食われたと言っていたなぁ」
鶴丸「(えげつなっ!?けど違う個体だったなら国兄じゃないのか、そうだよな、国兄だしな……)」
国永「基本的に、大きさが変わって精神が引き摺られても元の刀としての素質は変わらんさ」
鶴丸「それなら、ストレスで分裂ってのは?」
三日月「俺達は元が刀だからな。人の真似は不得手なモノも多かろう?」
国永「珍しい事ではあるんだが、三日月にも一例あるぜ。宝剣として飾られてた影響か、主の寝所で黙って座ってる奴が居てなぁ」
三日月「あなや!あの俺か……」
鶴丸「へぇ、大人しい個体だったんだな。それがどうしてストレス?」
三日月「うむ、それがなぁ……人の身体を持った故、空腹を覚えたのだが瞑想をし続けてな」
国永「夜な夜な厨が荒らされるという怪現象が起こり、犯人は本能が分裂した三日月だった訳だ」
鶴丸「え……なんか、すごいな」
国永「最終的には畑が荒らされる所までいったんだから、珍しい事例だろう?」
鶴丸「鶴丸国永はないのか!?」
三日月「あるぞ。数多の本丸で悪戯っ子と言われている鶴丸だが、常に大人しく実直な個体が居てなぁ」
国永「穴を掘らない、悪戯をしない、驚きを求めない、戦場では羽目を外さない、ってな奴だな」
鶴丸「え、国兄もそうじゃないか?」
三日月「ここで言っているのは度を超してそうである、という事が問題なのだ。人間も余暇を楽しむことはしよう?」
国永「本丸結成から約一年、ずっとそんな感じだったようでなぁ。趣味らしい趣味もなく、主にも距離を起き続けた結果……理性が分裂した」
鶴丸「鶴丸なのに、長谷部二号だったのか……?そりゃあ、随分と驚きだな……しかも理性が分裂って」
三日月「ようはな、伊達男らしく我慢していた事が我慢出来なくなったのだ。主に甘え、構って貰いたいという愛らしい欲がな」
国永「付喪神とは人に使われて成ったモノだからな。使われたい、良く思われたいと思うのをこじらせるのはよくないって事さ」
鶴丸「へぇー……つまり、我慢しすぎるのは良くないって事か」
国永「そういう事。あとは相性もあるが、体調不良を放置してもお互い良いことはないのさ」