映画が始まって30分で震えがきて1時間で泣けてきた。
佐山が御巣鷹へ行ったあたり。
私は遺族ではないがあの事故はショッキングでよく覚えている。
事故報道の記憶が蘇って泣けてきた。
悠木が家族と離れることになった理由が僅かなカットでしか描かれてなかったのがちょっと残念。(仕事にのめり込みすぎたのはわかったが)
始めの方のシーンでジュンをスイスへやる理由がよくわからなかった。後の夫婦の諍いの回想シーンでわかった、まあそういう演出とは思うが。
悠木はそうしてまず家族という絆を失った。
次に安西という親友を失い、物語の最後には職をも辞す。
悠木と社長の確執がイマイチわからなかった。
しかしヤな社長だね。セクハラ、パワハラやり放題。
そんなヤな社長を山崎努が好演していた。
一番印象に残ったのは御巣鷹にたどり着いた佐山が地元消防団員のおっちゃんと話してたシーン。
おっちゃんの言葉はフィクションだろうか?ノンフィクションだろうか?
墜落現場の悲惨なシーンはバラバラの機体とスペードのA以外映らなかったが、神沢が心身症になるほど人が変わってしまったのでよくわかる。
そうすると佐山は相当な精神力の持ち主だな。
佐山が泥だらけで帰社し、悠木に怒りをぶちまけるシーンは迫力あった。
悠木にしても部長の嫌がらせで佐山の労に報いることが出来なかったのだが、言い訳はせず、それでも労に報いる努力をしようとするが、またしても社の方針や上司の策略で潰される。
全権デスクと言っても中間管理職的位置で、思うような紙面を作れない。
そんな悔しさやそれでも手を尽くして紙面を作ろうとする執念を堤真一は熱演したと思う。
前にも書いたが男性社会の嫉妬やいやらしさ、そしてしたたかさも描かれていた。
嫌がらせを受け、取っ組み合いの喧嘩をした部長ともスクープの為なら手を組む。
誰なら乗るか考えている。
広告と販売との確執というのも知った。
ウチも地方紙だが、地方紙はやたらと広告が多い。
「広告に新聞代払ってんじゃな〜い」と叫びたいほどだ。
しかしそれが新聞社を支えてるという。購読者にとっては複雑な心境だ。
販売は時間に間に合わせないと販売店に迷惑をかけるから時間は守れという。
販売側から言えば正論だ。
だからスクープの為トラックの鍵を盗むというセコい手に出る(笑)
セコいが強力な手段だ(笑)
佐山がスクープになるはずの事故原因の電話をする時のやりとりはよかった。
時間ギリギリ、ほとんどOKだが確実なウラが取れたわけではない。
そんなギリギリの悔しさが滲んでいた。
受けた悠木も判断に迷う。
チェック・Wチェックが信条の悠木はスクープを断念。
その時の苦悶の表情がよかった。
結局、他社に抜かれ悠木は同僚達から臆病者の烙印を押されるが、ギリギリの信条だけは守り通した。社長に怒られたが。
他社に抜かれた時、一番悔しかった筈の玉置が悠木の判断を正しいと言ったので救われた。
印象に残ったシーンがもうひとつ。
悠木がくじけそうになった頃、新聞を買いに新聞社へやって来た遺族。
同僚が忙しいから邪険に扱うというのは、型通りの演出だが、あの母子の存在は事故を改めて実感させたと思う。
社会派なネタの映画はあまり見ないのだが、今回見てよかったと思う。
前にNHKのドラマ見そびれたと言ってたが、全部じゃないかもしれんけど見とくかも…
トラックのキー盗んで大騒動のシーンと息子が打ったハーケンのシーン、覚えがある気がする。