B01 ──ス・ガ・ル・テ
夜に読んじゃだめなやつですね!!夕方に読みました太陽が味方。一人称と少し古風な表現が混じって、日記と本を同時に読んでいるような面白さ。描写が具体的で、心に迫る怖さと肉体に迫る怖さの両方でやってくる。物語の環境光が仄暗いなあ…

B02 フーガには二つ星を連ねて
フーガというと一つの主題を模倣して追いかけていくあれでしょうか。この主題はマアグの娘とフレイじゃろか…古色然とした色合いの少しダークな物語。追いかけていく物語の音が段々と変わり、最後に鳴る音は角笛の音なのかなあとか。

B03 ジャクリーンの腕
出てくる皆さんが皆かっこいい…くて眩しくて。ピアノノートではないですが、受け取る側によって変わる。音楽も人も機械も。その差を越えて立つ足の強さ。クリフと一緒に眩しく目を細めてしまいそう。あとピアノ聞きたい。

B04 マリー・アントワネットの手を取って
は〜このたたみかけるような女の子の調子がいいなあ。立て板に水どころじゃない。激動の時代の中で激流の如く語られる旅。「手を取って」という動作がどちらの時代のマリーにとっても、魔法のような時間を与えてくれたのかな。

B05 赤い手白い手
ニンゲンコワイ。いやもうBスタートが怖かったので題名見てびくびくしてたんです。でも読み始めたら止まらなくて、赤い手って!白い手…って、え!?ってなって最初の独白に戻ります。視点の違いによる物語の妙。構成すごい、面白かったです。人間怖いので海に帰りたい。

B06 手児奈物語
たおやかに、ゆったりと波打つような言葉と物語。春だわ…と言葉の端々から伝わる人々の温かさ。人情ではなく、何だろう。物語の中の人々のやり取りを見ているだけでほっこりする。この人たちの生活をもう少し見ていたい、と思いました。読者ではなくモブとして参加したい。

B07 イハンスにやらせろ
朴訥とした雰囲気の話の運びや人々も好きなんだけど、職業に関する掘り下げがすごい。パンにガラスに狩人に…その仕事で生きている人たちの動きや言葉が交わされることで話が進んでいく。イハンスにやらせろ、その言葉の示すところで嬉しくなる。

B08 花咲と白い犬
忠犬(笑)読了して、冒頭を読み返して納得。犬の尻尾は正直だよね…。それにしてもついぞしばらく触れていない少女小説に触れたような潤いをいただきました。咲良の適切なツッコミも楽しい。初給料の使い道がいったいどうなったのかが楽しみです。

B09 手の行く方へ
あ〜ハンド好き…あの音楽が薄く流れてきますね…それはさて置き、冒頭の問いかけにすわこれもホラーか!?と身構えましたが良かった、ちょっと不思議な話。描写などが的確でほどよくて自販機のくだりが好きです。その辺をスキップしている手を想像するとかわいい。

B10 ローマでも長安でも洛陽でもない、ある都の休日
始めは歴史物かなと思っていたんですが、次第に明かされる舞台と舞台が絡み合って、はー好き。忙しくもゆるやかに流れる時間。そして長大すぎる時間を越えて触れ合う手の、しかしなんと遠いこと。でもこの夜の風はなんとなく暖かく感じる。冷たくはない。


B11 手さぐりカデンツァ
変わり者の窓野くんとくらもっちゃん、どことなく「独り」を匂わせる二人。多人数の中にあっても。自分勝手に、即興のように奏でられる窓野くんの言動に、手さぐりで挑むくらもっちゃんの姿が見えそう。彼女のカデンツァはここからでしょうか。かわいい。