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「知りすぎていた男」



昨日に引き続きヒッチコック。
モロッコへ旅行に来ていた医師家族はある男と知り合うが……という話。
「裏窓」と同じく、王道と言える筋立て。今だから王道と言えるのであって、当時はどうだったんだろうな。やっぱり王道の部類なんでしょうか。
話は無理なくするすると進み……そうで妙に進まないところがまた面白いです。とんとんと進むんだけど、ご都合主義とまではいかない。肝心な時に刑事に連絡はつかないし。

そこここで阻む小さな障害が見ているこっちを掴んで離さない。

あと、鏡をよく使うなと思いました。奥さんを鏡越しに映したり、敵方の横顔を鏡で映したり。……よくでもないか。でも、鏡があることで緊張感や二面性も見えて面白かったです。

オーケストラホールでのシーンは、ドリス・デイが凄いと思う。台詞もなく、オーケストラの演奏合唱とドリス・デイ、要の人物たちを交互に映していくばかりで、それが余計に緊張をあおるんですよね。この瞬間、この母親にはどれだけの重圧がかかっているんだろうかとか、どれだけ心細いだろうかとか。色んな事を見ている側も忙しなく考えさせられ、そのわからなさ加減こそ母親の内情なのかなとか。どきどきする。
それだけに、夫が駆けつけた時の安堵や、悲鳴での一転した空気が際立ちます。
その後の展開も。

あとは、そんなに喋らないんですが、あの場面にこの人がいて、今見てるこの場面にもいる……ってことは、と説明しきらない繋がりも考えられたりと、映画見ながら小説読んでる気分でした。

名曲「ケ・セラ・セラ」も聞けるしオーケストラも聞けるしで、音楽的にも何だかお得。
おすすめです。
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