LUNACY

この2週間で5回も映画館に行った。チェコアニメ映画企画は、昨日で終わり。最後のプログラムは、最も楽しみにしていたヤン・シュヴァンクマイエル監督の「ルナシー(LUNACY)」。
画像にいるのは、名演だったオッサンです。

「精神病院が舞台の鬱映画」と聞いてワクワクする人は絶対見るべき。

そしてこれは精神医療のみならず、世界中の社会問題を比喩的に表現した何やらかんやらで、個人的にはこの精神病院はまるで母校の中学校のようで、檻の中が鶏と入れ替わったところは、先日の新生児出生数歴代最少のニュースを思い出した。

と言っても、小難しいと見せかけて、やっぱり頭からっぽで見て楽しい(?)映画だと思う。面白いシーンやツッコミどころも色々あった。

監督「この映画に芸術性はありません。芸術は既に死にました。」

冒頭で作者自身が登場して、内容を説明してから本編が始まるってのが、なんか二次創作みたいで、これいる?って思ったけど、後のシーンを思うとやっぱり必要だった。
観る人によっては怒りかねないし、上映する国によっては大炎上不可避…。いや、最後までちゃんと見れば、決してそれだけの内容ではないってことは分かるんだけど。

「人材育成」と「食肉管理」は似ている。

もう一度見たいけど、もう二度と見たくない。120分間ただひたすらぞっとする。(誉めてます)

チェコ人形アニメの巨匠たち

「チェコ人形アニメの巨匠たち」を見た。チェコのアニメーションの歴代作家と代表作についての解説。

気になる映画がたくさん増えたので、アマゾンでとりあえず探す。イジー・トルンカさんの「真夏の夜の夢」「手」とかチェコの古代神話、カレル・ゼマンさんの「前世紀探検」、イジー・バルタさんの「見捨てられたクラブ」。真夏の夜の夢なんかDVD見つからないんだけど、もう売ってないのかな?

この映画内でも、これまでのトークショーや、企画のキャッチコピーでも、「かつて東のディズニーと呼ばれたチェコアニメ」と言われているが、かつてってことは、今はもう全然ってことなんだろうか。映画で、1989年の革命だか内戦が運命を変えた、的なことを言っていたが、一体何があったんだろう。後継者問題も切実よな、スタジオジ●リも同じく……。

人形アニメって、使ってる素材自体が日常生活にある物だから、ただ可愛いとか綺麗ってだけじゃなくて、逆にリアルさとか、毒とか感じる。

ガラスの背景に、監督が直接を絵を描いていた。
人形アニメって、背景の絵を描いて、人形を作って、小道具や衣装を作って、二次元アニメを作って、撮影して、…って、メチャクチャ大変じゃないか。

ありとあらゆる物作りのスペシャリストが揃ってないと、人形アニメ作りって難しいのかも。


ポヤル作品の回

おそらくプロデューサーの方の最推し?の「飲みすぎた一杯」。これもまた絶対見るべき。人形アニメでありながら、バイクの疾走感が格好いい。

そしてナイトエンジェル2回目。最初現れた時の音楽とアニメが特に好き。このナイトエンジェルのためだけにDVD欲しいくらいだわ。版権切れたらもう見られないし…。

チェコアニメの企画上映に通ってて分かったけど、映画の音楽ってほんま重要。今まで見てきた作品みんな、内容も絵もすごいけど、音楽もめちゃめちゃ凄いもん。サントラくれ…。

トークの内容は、チェコの社会問題と、契約の交渉時のエピソードでした。笑い話ではないけど、笑うしかないくらい壮絶だった。

いや、日本も日本で大変だけど、やはり次元が違うんやな。関係者の皆様、本当に、お疲れ様でした…。

シュール&ホラー回

シュール&ホラー回ということだったが、実際はジャンル分け不可回だと思う。

どれも雰囲気が全然違っててとてもよい。

劣等感 音楽が良すぎる。

魔女のバイオリン 今までこういうの見たことない、斬新。「晴れ ときどき ぶた」という児童書のシリーズが昔好きだったんだけど、それを超忠実にアニメ化したら、こんな感じになるんだろうか。コッペリアの曲懐かしい。

剣の結末 最後のお兄さんは悪者だった…ということでいてほしい。

めがね この回に入ってなかったら、ほのぼの系と勘違いしたままだったかも。犬好きの人は、動物として好きなのか、役に立つから好きなのか?もちろん、犬に限らずとも。
終始ほのぼのと見せかけて、後味の悪いオチは最高です。

メディア みんなこれ見るべき。そしてここから、ほのぼの度ゼロになる。

復讐 絵の雰囲気は、これが一番好き。

ある粉屋の話 「過ぎた強欲は身を滅ぼすのです」的な、ありがたいお言葉を述べられていたが、この夫婦の強欲って、どっからが過ぎた強欲なのかね。子どもが帰ってきてほしいと思うのも、落ち込むのも親だったら当然だろうし、そこを支えたり、励ましたりするのが、教会や寺や神社の務めだと思うのだが…余計悪化してるのは、どういうことですかね!?ってこと…かな?

あとは、ドッキリのネタ晴らしのタイミングはちゃんと考えろってことやんな。一夜越しはヤバいっしょ…。

ブジェチフラフ・ポヤルとイジー・トルンカの回

某マイナーな映画館にて今月末くらいまで、チェコのアニメを上映している。上映後には、(日本での)プロデューサーの解説トークもある。

チェコの様々なアニメの、日本での上映権や諸々の契約が来年で終了し、再契約の見込みもない。なので今のうちに上映します、ということらしい。

見に行ったのは、ブジェチフラフ・ポヤルという監督の特集。

なかなか可愛らしくて良かったけど、幼稚園児が見たら泣く子多そうだな、と思った。
夜背景に全身白のピエロは、アカン子多いんじゃないか?多分だけど…。

ナイト・エンジェルが気に入りました。プロデューサーの人は「納得いかない」と言っていたけど、私は、多分これは普通に王道の展開のストーリーだろうから、全然納得できる。

まぁ、この方のヒントが無ければ、私も誤解したままだったかも。

この監督は童話とかメルヘン系なものから現代劇まで、何でも行けるんやなぁ。

上映後のトークでは、ポヤル監督とイジー・トルンカ監督に関する解説があった。戦時中のチェコの事情や、二人がどういう経緯でアニメ作りに進んで行ったのか、など。

確かになかなか興味深く、またとない機会。

今日は、一番大好きな監督の回なので、とっても行きたいのは山々なのだが、昨日今日と寝不足で、明日も明後日も仕事に向かうのは危険。

さらに気がかりだったのは、トークの後半で、トルンカ監督の遺族が権利関係で揉めている話題を長々とされたこと。

これは私個人の好き嫌いの問題でしかないけれど。
世界地図のどこにあるのか知らない国の、どこにあるのか知らない街に住んでる、初めて見た映画の、初めて名前を知った監督の、顔も知らない遺族の方々……っていうのは、どうでもいい of どうでもいい他人に過ぎないんだよなぁ。

「最も厄介なのが、監督の長女のクララで〜ww」「明日の回の監督の家族はもっとドロドロなのでww」とか、ほんとどうでもいいし、普通に作品の解説をすれば??

まぁ、何を面白いと思うかは人それぞれということで…。

そしてこの日の回…まぁ他の回もそうだけど、「詩的でファンタジックな人形アニメ」という宣伝でやってるのに、

ど う し て 会 場 に 子 ど も が ひ と り も い な い ん だ ?

驚愕の高齢者率。

まぁ、マイナージャンルがマイナーな理由って、結局は客層よね…。

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