下村敦史氏でした。
ほうう。
新しい。
中国残留孤児かあ……
考えたこともなかったな。
参考文献の数で氏がこの作品にどれだけ勉強したのか伝わってくる……
いろいろな人がいるんだなあ。
戦争か……
このミステリ感好き。
ただ、難しかった……
誰が嘘をついているのか、
クライマックスまでほんとわからなくて、
翻弄された。
うんうん。
盲人が主人公っていう小説も初めて読んだ気がする。
こわいだろうなあ。
この作品のテーマは「家族の愛」ですな。
血縁関係がどうあれ、
人は人を愛するし、
救える。
お母さんが一番素敵だと思った。
お母さんの献身がほんとに胸を打つ。
でも弟を庇って背中を切られたお兄ちゃんも、
お兄ちゃんを斬ってしまって死ぬ前にと謝りにくる元軍人のおじいさんも、
兄の心中を想って主人公を騙す数々の他人様も、
義理を忘れない兄も、
自分が疑われていると知りながら奔走するお兄ちゃんも、
みんな愛に溢れている。
なのに冷たい温度のする作品だった。
ミステリの謎の冷たさ。
冷ややかで硬いかんじ。
それを保ったまま愛を表現するのってすごいなー。
まあ、わたしの主観なのだが。
佳作。
傑作とは言わないまでも。
わたしも勉強しよう……
次は森見登美彦氏で『きつねのはなし』読みます。
湊かなえ氏でした。
うえー。
イヤミスじゃなかった……
いえね、氏の作品はほとんど見限っていたのですよ。
いつまで経っても『告白』以上、いや同等の作品も書いてくださらないから。
読んでがっかりすることの方が多くて。
だったら読まんわって。
まあ、積み本の中に2冊ほどあるけど。読むかな?
で、なんでこれを読んだかというと、知り合いに、買って読んでみたら読んだことあったことに気づいたからあげると言われて、「氏は当たり外れ激しいんですよね〜」とか言いながら、
まあせっかくの好意だしと思って受け取ったのです。
さて、感想ですが。
ぬるいな。
全体の流れとして、旅をして小説が受け継がれていくの繰り返しで、
またかい。
ってかんじ。
それしかないんかい。
んで、最終的にはなんか感動させようとしてくる。
これが今までの話をすべて伏線にして最後繋げてくれるとかだったらそこに感動したのだろうけど。
昨日読んだのがまさにそれだったから、
おお、またそういう系か、と思ったのに。
繋がりもしない。
比べるもんじゃないけど、歌野晶午氏はやっぱりすごいんだなあと思ってしまった。
そしてそのミステリ要素をぬるくするなら、
狙った感動を、感涙するくらいにしてくれたら良かったのに、
感動もぬるい。
言葉に重みがないというか。
ただ、勉強にはなった。
ページを捲らせるのはストーリィじゃなくて文章と構成なんだなあと思った。
その点は、氏は物書きなんだな、と。
次どうなるの、と思わせるのは巧みでした。
まあ、回りくどいとも言うのだが。
あーなんでか氏の作品の感想は辛口になっちゃうなあ。
決して先入観とかじゃないんですよ?
わたしは面白いものは面白いというし、
感動したら泣きます。
まあ、氏の作品は今後も進んでは読まないだろうな……
積み本の作品はいつか読むだろうけど。
ただ『告白』は面白かったからなあ。
でも勇気はもらいました。
あと悟り笑。
小説家の夢は、わたし死ぬまでに一冊でも家に出せれば、
てんで売れなくても、
一人でも知らない人が読んでくれたら、
それでいいなって思いました。
なんか、そんな勇気を、ね。
趣味で上等!
次は下村敦史氏で『闇に香る嘘』読みます。
歌野晶午氏でした。
うわああああ。
せこい。
そうだよね。ただの短編集で終わるわけないよね。
1週間ずっとこれ読んでたんだけど。
短編集だから一編読んだら本を閉じてたら
すごい時間かかってしまった。
読みながら、さあて、どれが面白かったかなあとか考えてたが。
おいおいおい。
一筋縄ではいかないなあ相変わらず。
エグいなあ。
こんなこと考えるのもすごいけど、
考えるだけなら一般人でもできて、
それを組み立てて物語をひとつひとつ作って、なんて、氏にしかできない仕事だわ。
まあ、無理やり作品たちを短編集として振り返ってみると……
「舞姫」がいちばん好きだったな。
森鴎外もびっくりのオチ。
オマージュの世界観が確立されてて逆に引くわ。
フランソワーズ可愛すぎる。
よく13編も書いたなあ。
まさに世之市。
あ、「遠い初恋」も好き。
最後諦めちゃうところがもうどうにもかわいい。
解説読んでなるほどなーと思った。
ひとつひとつはそんなに突出して面白いわけではないのだけど、
これは一冊の作品として読まれるべきですね。
感服です。
次は湊かなえ氏で『物語のおわり』読みます。