死刑にいたる病

櫛木理宇著。ハヤカワ文庫。
あーーーー。
ちょうど6年前に読んだやつ。
おもしれえーー。
いやね、自分のアンテナには我ながらだいぶ信頼を置いていて、
わたしが手にとった時点で大外しはないと言っていい(まあ、根が素直だから帯とか本屋さんの陳列とかpopとかには影響されまくりなので、文庫にまでした出版社と本屋さんの仕事と言ったらそれまで)。
でも実際に読んで、面白いと思って、一軍本棚にこれは6年間ずっといたのよね。
そしたら後々映画化してるし。
なんかぞっとする面白い本読みたくて映画も興味あって読み返したけど、
すげえや。
直接的に残酷な描写はあまりない(少しもないわけではない)。
視覚的に怖い表現もない。
ただ精神的にじわじわじわじわ、、、
くる。
それが、もちろんラストにはひええ、ってなるくらい怖いんだけど、
最初から最後まで、一定になんとなくじんわり怖いのよね。
すごい構成力とバランスだなあ。
なんていうの、想像の余地を与えるのがうまいなあって。
拷問の描写もそうだけど、あの人も被害者なの?あの人も?いつどこでなにをされたんだろう?
って敢えて全部を書かないことで読者に想像させる。
でもすべてを曖昧にするわけじゃなくて、兄弟のとこみたいに急に会話で生々しく、妙にリアルに描いてぞっとさせる。
でも、そこでも残酷なシーンは、見せてくれない。
このバランス感覚よね。絶妙すぎる。
たぶん緻密に書こうと思ったら書けたんだろうなあ。
いくらでも、実はあかりちゃんは過去に…みたいなエピソードも。
でも想像の余地を残すことで、書いてないとこはまだまだたくさんあるんだよって思わせられる。
大和の支配力をすべて書かないことで「ここまでです」って限定しない。
人によって残酷な表現のキャパシティって当たり前に違うから、ある人にとって震え上がるほど怖くても、上級者には「ふぅん」で終わることもある。それを読者それぞれに丸投げすることで恐怖の上限を作者側で決めないっていうのね。
想像力が乏しい読者には響かないかもしれないけど上級者であればあるほど怖いのかもなこれ系。
あれだね、貴志作品とは真逆ってかんじ。
しかし実写、大和が阿部サダヲなのは原作と人物像に齟齬があるよね。
阿部サダヲだからこそ面白そう!とは思うけど、大和のビジュアルではなくない?とも思う。
あー映画楽しみ!ネトフリで観てみる。

なんとなく、再読熱が。
『高校事変』シリーズ、最初から一気に最後まで読みたいなー。

希望が死んだ夜に

天祢涼著。文春文庫。
はあああああ…
やっぱり読書最高。小説って最高。
久しく本を読んでなかったけどやっぱり読むべきだわ。
そして先生とははじめまして。
あー、よかった。
これは性癖なのかもしれないけど、少女の物語ってほんとにすきなのよ。14歳の女の子のふたりものがたりって、なんでこんなに切ないんだろう。
後半ずっと泣いてた。
ネガとのぞみの心情出てくるたびに泣いてた。
いやほんとに、構造的だよね。設計ががちでしっかりしすぎてるのに、心にじんわりくる物語が書けるってすごすぎ。
でもそこは別に無理にミステリーにしなくていいんじゃないのかってくらい切なくて、
ふたりの絶望がどんっと胸にきて、
そういう選択する衝動もわかってしまった。
でもミステリーってやっぱりおもしろいって。
ラストでえええっ!?ってなったときに、
やっぱりミステリーってただの悲劇だけじゃないおもしろさがあるよねって。
あー、おもしろかった。
切なかった。
久しぶりにデトックスした。
いい時間だった。
ありがとう。

次、、何読もうかなあー。
本棚作りたいなあーあ。
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