あした咲く蕾

朱川湊人氏でした。
朱川さんの作品は、冬が似合う。
心の底から、ぽかぽかするから。
夏に読むと、暑苦しくなるぐらい。
でもノスタルジックホラーと言われてるくらいだから、
涼しくしてくれるところもある。
そういう意味では、夏も似合うのだろうか。
だが「あした咲く蕾」は、ホラーではない。
ほんとのぽかぽかだ。
やはり、好きだなあ。
「空のひと」と「虹とのら犬」が好き。
どっちも切なくて、優しくて、そしてハッピーエンドを迎える。
「空のひと」は、語り手のぞんざいな言葉遣いが切なさを膨らませている。
こんな書き方できる人はなかなかいないだろう。
乗っけから引き込まれる文章。
一行目では想像もつかないほど優しい話だった。
「虹とのら犬」は、「悪の教典」の、家庭教師ゆみちゃんの話を彷彿とさせた。
貴志氏もこれ読んだんじゃないかなあ。
「悪の教典」で一番好きなストーリーだった(映画では端折られてたけど)。
わたしの小学校にも、こんな子いたなあ。
あー、いい話だった。
でも「都市伝説セピア」にはやはり負けるがな。

次は森博嗣氏の「夏のレプリカ」読む!
これ、「幻惑の死と使途」の直後に読むべきだったなあ。
犀川先生出てくるのかなあ。
ま、ゆっくり久しぶりの森ミステリィに浸ります。

長い家の殺人

歌野晶午氏でした。
これは……問題作だ。
わたしにとって。
しかしこれが本当の処女作とは。
手直ししてないものが、どんだけ読めたもんじゃないのか、読んでみたいものだ。
こてんぱんにしてやるのに。
しかしこれを見る限り、歌野氏は作家だ。
ただ、この作品は、わたしと相性が悪かったのか、はたまた良過ぎたのか。
まずタイトルからして、もしかして……と思うところがあった。
館の間取りを見て、おうふ、と思った。
そして事件。
これは揺るぎないぞ、と。
それでもまさかまさかと読み進めていたけど、やはりそうだった。
以下ネタバレあり。

このトリックは、ドラマ「ケイゾク」三話「盗聴された殺人」とそっくりなのだ。
壁を作って部屋の位置の錯覚を起こさせるというもの。
さすがに、あのめちゃくちゃ無理のあるトリックよりは、現実味のある(というかとりあえず筋の通った)トリックだったが。
しかし「ケイゾク」のあのトリックがあまりに苦しいトリックだったから、この作品もやはり無理があるものにしか見えなかったなあ。
まあどちらかがパクったとして、時系列的に言えば「ケイゾク」の方なんだけど。
ああーあのしょっぼいトリックさえ頭に無かったら楽しめたかのかなあ。
残念です。

次は朱川湊人氏の「明日咲く蕾」読む!
久しぶりの朱川さん!ぽかぽかしたいー

天使の眠り

岸田るり子氏でした。
なんか……なんだろ。
ビリビリとは来なかったなあ。
面白いか面白くないかで言ったら面白いんだろうけど。
以下ネタバレあり。

最近入れ替えトリックを結構読んでたから、
目新しさがなかったのかな。
犯人はやはりお前か。
って感じ。
でも何故死んだのかは謎。
殺せばいいってもんじゃないよ。
最近の作家さんは(素人に近ければ近いほど)殺して終わりにしたがるけど
駄目なんだよ、そこが。
大体、江眞だってさすがに幼いとは言え母親が変われば気づくだろう。
ちょっとトリックに粗が目立ったな。

次は歌野晶午氏の「長い家の殺人」読む!

十七歳

岩井志麻子氏でした。
昨日も書いた通り本屋で衝動買いしてさっそく読んだのですが。。
ぶっちゃけハズレですね。
ホラーだったんだけど、帯の「稲川淳二も戦慄!」ていうの、
友達に話したら「つまらないって意味の戦慄だったりして」って言われたんだが
その通りだったかもしれん。
以下ネタバレあり。

エッセイは面白かったよ。
ちょくちょく挟まれるエッセイは、飽きさせないし、文章も綺麗。
でも本筋にストーリー性がない。
装飾だけ小綺麗な感じ。
犯人に意外性もないし。
早く次の本読みたかったから四時までかかって読んじゃったけど、
ラストの展開に驚きも緊張もなくて、
だらだらしてた。
ここまでおばけより人間の方が怖いとか言っておいて最後はおばけに走るんかいっていう。。
でも明哲くんは好きだな。

次は岸田るり子氏の「天使の眠り」読む!
驚いたことに今作と解説の人が一緒!
これは……期待しない方がいいのか……?

鬼畜の家

深木章子氏でした。
めっちゃ面白かった!!
木更月家の一族より何倍も面白かった!
へえーいいじゃん!深木氏!漁ろうかな。
文章も読みやすいし。
殆どが一人称なところが読みやすかったな。
以下ネタバレあり。

いやあ、どんでん返しのどんでん返し。
お兄ちゃんとの愛の話で感動しちゃったら負け。
わたしは負けた。
まさか全て姉の差し金だったとは……
すごい話だ。
伏線も、少しは気づいたけど、
不倫相手のお母さんの話には気づかなかったなあ。
うまいなあ。
伏線貼るのが上手いか下手かって、当たり前だけど重要。
下手なのは東川篤哉氏とかね。
あれは下手なんてもんじゃない。
もっと上手くやってくれ。ミステリ作家なら。
その点深木さんは巧みと言っていいだろう。
うまく騙されました。
動機もまあ頷ける。
哲さんの本当の気持ちに気付けて良かった。

次は岩井志麻子氏の「十七歳」読む。
本屋で衝動買いした。
ホラーらしい。
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