いしいしんじ先生でした。
はぁぁぁぁん…………
3時間かけて126ページ、さらに4時間かけて約200ページ、さらに2時間かけて130ページ。
そんなスピードで読み切りました。
いくら遅読のわたしだからといって、これはいままでにない遅さ。
しかも本は一気読みに限ると豪語しているわたしに、数日かけさせるとは、先生、おみそれしました。
しかも、だよ!
初日の3時間で途方に暮れていたことをTwitterで何気なく(ハッシュタグ付きで)呟いたら、
先生ご本人からリプがきて、
それに気づかず、あまりも過酷な3時間だったから傍に置きっぱなしにしてた今作を、
やっべ読まなきゃ!先生に一刻も早く感想を述べなきゃ!って思って、昨夜、今朝と読み通しました。
GWさまさま。
ていうか創造主と繋がれる現代、尊いわぁ……
さて、『悪声』ですが。
もうね、なんで時間がかかるかって、ほんとに五感をフルに使わなきゃ読めないんですよ。
すごい、生まれて初めての読書体験でした。
五感のどこかでも気を抜いていると脈略がわからなくなって、数行、段落、あるいはページを戻って読み返さなきゃいけない。
要するにどりゃ読みができない。
まるで日本語を読んでいる気がしなかった。
不思議な物語だったなぁ。
先生の作品にしては、固有名詞が多かった気がする。
あお可愛い…
「あなたの声しかきこえない」って、なんかすごく壮大ですごく切ない。
そしてミステリじゃないのに冒頭に伏線があり、ラストで回収するって、読んでてぞわぞわした。
冒頭、コケ寄りの三人称から入って、え?え?って戸惑ったんだけど、「なにか」がほとんど固有名詞だと理解した瞬間に、ああ、いしいしんじ節だなぁ、ってやっぱり思った。
コケすごい笑。
一貫してなにかが16歳なんだよなぁ。16歳尊い。
人間の生々しさと、ファンタジーを織り交ぜるいしいしんじ節が大好き。
特に木魚のエピソードがどれも好きだったな。
あとあれ、アルマとイシュマイルの話!好き!
先生ってさ、「物語」を作るの本当に天才的だよね。作家先生なんだから当たり前なんだけど、なんだろ、作品の中の「作り話」が本当に秀逸すぎて。毎度毎度。
いつも絵本みたいにあったかくてカラフルで子どもに読み聞かせたいくらい優しい(易しい)、作品を書かれてる印象があったから、正直今作は異色だなぁと思った。
ハチノスみたいな、つぶつぶしてグロテスクでどうしようもなく気持ち悪いのに、食べてみるととろんと美味しく蕩ける、
身体が、頭が、蕩けそうなお話でした。
思い出すとやっぱり気持ち悪いんだけど。ああ、それが「悪声」か。正体。
言葉にできない物語。

ああ、次はもうわたしに出来うる限りのどりゃ読みをしたいよ。なんかわたしの読書レベルが下がったんじゃないかって不安になったよ。。自信を取り戻したい。
次は、綾辻行人先生で『緋色の囁き』読みます!