西加奈子氏でした。
うううん。
なんだろ、なんていうんだろ、この感じ、この気持ち。
四人それぞれの心を描いているようでわかりやすく描いていない。
まるで絵のようだ。
猫のような四人。
はる、なつ、あき、ふゆの名前。
どうやって繋がったのかもわからないような人間たち。
純文学の匂い。
猫の謎。
面白いとかつまらないとか、そういう話ではなかった。
ストーリーを楽しみたい人にはあまりお勧めしないけど。
ラノベばっか読んでた最近のわたしには、沁みるような作品でした。
やっぱり書きたくなった。
「保健室登校」は……もうちょい後にしよう。
あれほんと気持ち悪いから。
西加奈子氏でした。
うわあああん。
やっぱり泣いちゃった。
泣いちゃったよ。
何だろう、この人の、このパワーは。
強烈に心を掴んで、揺する。
この人、本物だ。
いい人。
出てくる人物みんないい人。
なんなん。
悪者がいない。
だから泣けるのだろうか。
わからない。
みんなそれぞれの想いがあって、それぞれを理解しあって、でも噛み合わなくて。
どうしてこんなにうまくいかないんだろう、人生って。
以下ネタバレあり。
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わたしの書く小説は、ほとんどバッドエンドで、
わたしはそれでもいいと思って書くんだけど、
やっぱりストーリーにはハッピーエンドが好まれるのは当然だとわかった。
どうしても夏目と間島にはくっついて欲しかったけど、
どうしてもそうはいかなかったのだろう。
初めからくっつけるつもりがなかったのか、書いててああ、これは無理だとわかったのか。
わたしはたまにあります、そういう現象。
書いてて、ああこの人の気持ちはどんなに揺さぶっても動かないなって思って。
でもそこを動かすのが小説家だと思ったし、ある人物の感情だけをひたすら留めておくことに違和感を覚えることもあった。
動く想いと動かない想い。
人生って難しい。
わたしも恋愛小説書きたくなった。
書きます。
矢部崇氏でした。
はあああ。
やっぱり漫画みたい。一時間くらいで読めてしまった。
これはわたしが高校生の頃読んだのだけどたしか。
単行本でね。
面白くて、何回か読み返した。
さすがにかなり覚えてた。
ていうかほとんど覚えてた。
いやー、気持ち悪いね。
この作品、固有名詞が紗央里ちゃんしか出てこないのよ。
しかもその紗央里ちゃんは不在というね。
なんとも気持ちの悪いお話。
以下ネタバレあり。
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初読当時は、結局死体はおばあちゃんと紗央里ちゃんで、ラストの紗央里ちゃんは幽霊だったのかなと思っていたのだけど。
おじいちゃん説の方が有力だな。
異常だよね。みんな。
唯一まともだと思っていたお父さんすら異常。
さすが叔母さんの兄。
そして「僕」ももちろん異常。
異常が異常を描写している気持ち悪さ。
これこそ矢部節。
そしてお姉ちゃんがいいアクセントになっている。
というかお姉ちゃん頭いいだろ。
当時も感動したお姉ちゃんの台詞。
「とにかくお前あれだよ、そのとしじゃあしゃあないかも知れないけどさ自分が人より特別だとか思わない方が身のためだよ異常者ぶってかっこつけたいかもでもそういうのこけた時はずかしいよ」中略「予想より自分が正常でがっかりするのが落ちだよ」中略「まあ自分は凡百の極みだくらいに思ってて損はないから」
すげえよくわかる。
若者の気持ちね。
矢部氏が若いから書けた言葉よね。
あー気持ち悪かった。
とにかく読んで後悔するのをわかってて読んで後悔するんだけど、しばらくすると読み返したくなるこの感じ。
えーなーこの才能。
しばらく「保健室登校」は控えよう。
とうぶん気持ち悪いから。
次は西加奈子氏で「白いしるし」読みます。
瀬川コウ氏でした。
ふうううん。
ちょっと素人臭さが抜けてきた。
って、わたしが偉そうに言えることではないけど。
文章が素直で読みやすいのは経験不足なのかしらんと思えてしまうのは、
わたしが一癖も二癖もある作家の文章ばかり読んでいるからだろう。
やっぱり作品としては読みやすい文章は正しい。
でもわたしはちょっと難解な文章の方が好きだったりする。
この作品のテーマともちょっと被るけど、正しいことをみんなが好きってわけじゃないよね。
好きなことが全部正しい人なんていないよね。
むしろ間違えたことが好きな人はたくさんいると思う。
しかしまあ文章は読みやすかった。
それはいいとして。
話に含みを持たせるのもまあいいとして。
含みだらけになると、読者はうんざりするんだよ。
読書ってラストだけが全てじゃないんだな。
ラストを読むにはその過程全てを読まなきゃ理解できない。
だからその過程を蔑ろにする作家はよろしくない。
乾さんほどトリッキーなら話は別だけど。
乾さんの場合、含みを持たせてるという認識すら読者にさせないのだ。
これは全て真実ですよ、と読者に思わせて、しかもその内容が普通に面白いから誰も疑問に思わない。
そしてラストでどすんとやる。
ここまでできたなら誰も文句は言いませんよね。
だからわたしは乾くるみ氏が好きで西尾維新氏が苦手だ。
そんな戯言。
とはいえ今作。
書き下ろしなのね。いーなー。
以下ネタバレあり。
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篠丸先輩、かわええ。
お決まりの男女入れ替え叙述トリック、どこで引っかかってたのかも忘れた。
一体氏はいつ篠丸先輩が男子だとミスリードしたのか、全く覚えていない。
そういうトリックはやってみたいなー。
何が正しくて何が正義か、とかいうのがテーマだったみたいだけど、
正直ここまで語られても説得力がいまいち。
そんなの堂々巡りで。
ていうか浅田くんもてすぎ笑。
やっぱり人が死なないミステリは莉子たそくらいのストーリー性ないと物足りないよう!
次は、明日届くであろう「保健室登校」か「紗央里ちゃんの家」を読む!どっちが先に届くかしらん。共に矢部崇氏。数年前に読了済み。
届かなかったら西加奈子氏の作品にする。
桜庭一樹氏でした。
ふうん。
これは桜庭変化球なのだろうか。
この人は、文章で食ってるんだなあ。
文章が作品なんだなあ。
って感想。
何を当たり前なこと、ではありません。
普通作家ってストーリーで食ってるものでしょう?
でも氏は違う。
この話、ほとんどストーリーがない。
動機が(殺人の動機じゃなくて、登場人物の行動一つ一つの動機ね)全然見えないの。
でも文章がもう作品になってるのよね。
いつもは読みやすいのに、読みにくいくらい綺麗。
森先生の時と同じくらい時間かかったかもしれん。
以下ネタバレあり。
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一体なぜ解は沙漠をいきなり襲って関係を持ったのか。
そこからまずよくわからん。
殺人の動機はわかるけど、そこまで追い詰められているような心理描写がない。
でも人差し指を持ち歩くなんて、なんだか桜庭節だなあと思った。
プロローグで殺人をしたのは沙漠だとミスリードさせて、
その描写をする際にこの女は一体……
と思わせる。
ぐらぐらしてて、なんだか車酔いしたような感覚だった。
筋は単純で、関係を持った女が情事を撮影して金をせびってきたので殺した、ってだけのもの。
ストーリーと呼べるのか。
なんだかまだ酔ってるみたい。
気持ちが悪い。
気持ちがいいの読みたい。
次は瀬川コウ氏で「謎解き乙女と壊れた正義」読みます。