綾辻行人氏「再生」
有栖川有栖氏「書く機械(ライティング・マシン)」
西澤保彦氏「アリバイ・ジ・アンビバレンス」
貫井徳郎氏「蝶番の問題」
法月綸太郎氏「カリバリズム小論」
東川篤哉氏「藤枝邸の完全なる密室」
でした。
ふうう。
面白かった。
アンソロジーっていうのもたまにはいいね!
みんな味が全然違う!
それこそホラーから始まりブラックユーモアで終わる。
どれも同じ作者の短編集に載っているのを読んだら飽きただろうなっていう笑。
まあ、綾辻行人氏の「再生」に限っては『眼球奇譚』読んだのだけどね。
ちゃんと覚えてたよね。
漫画版も持ってるし。
ただ読み返してもなかなかに不気味だよなあ。
こわいこわい。
面白かったのは西澤保彦氏かな!
斬新!
そして残酷。
まさかアリバイをそういうふうに使うとはね。
その考えはなかったわー。
キャラもいいし。
探偵役の位置付けも絶妙。
そして東川篤哉氏も良かった。
わたしは『謎解きはディナーの後で』で心底氏を見限ったのだけど。
こういうブラックユーモアをこの短さで読むぶんにはとても面白いのだなあ。
ただ、相変わらずのこのぬるいミステリを何回もやられたらやはり耐えられないのだが。
ちょっとつまむくらいが美味しいことに気づいた。
わたしの積み本の中の氏の著作はいつ消化されるのか……
何年前だよ買ったの……
まあいいや。
次は、松岡圭祐氏で『万能鑑定士Qの推理劇U』読みます。
又吉直樹氏でした。
へええ。
感動した、素直に。
うーん、他に感想が……
師弟関係っていうのをわたしはほとんど知らないからなあ。
なんていうの、心を抉るような「何か」までは見つけられなかった。
これが芥川賞というのは、やはりネームバリューなのではと勘ぐってしまう嫌な自分。
面白いとは思うんだけど。
特に最後の漫才のシーンでは思わず泣いてしまったし。
でも駄目な大人って最近では珍しいものでもないんだよなあ。
芥川賞……
そこまで神谷さんを駄目な大人に描く必要があったのかなとか。
自分を貫きすぎてずれちゃった大人。
この小説を漫才師が書いたからウケたのだろうな。
メシ食ってける漫才師が。
うん。
次は、アンサンブル『自薦THEどんでん返し』読みます。面白そうだから買ってしまった。2に乾くるみ氏がいたことが決め手。
太宰治。
…………。
うん、すごい文章だ。
ひとつひとつの文章が意味のあるって、こういうことか。
葉蔵の気持ちは、わかるようでわからいで。
葉蔵が自分のことを「人間、失格」と判定した瞬間に、胸が苦しくなった。
それが、精神病院に入れられた瞬間なのだ。
果たしてこの判定は、普通の人間の感覚では遅すぎるだろう。
もっと、道化を気取っていた子ども時代や、悪友と娼婦と遊んでいた学生時代、もっと言えばそれこそ心中に失敗したとき、
きっかけはいくらでもあったはず。
でもさ、
自分のことを客観視できないのが、自分なのだと思うのです。
葉蔵は、自分の性格や性癖を語るけど、
それはやはり主観であり、そうでないところは自分をいくらか客観視できてきたときに振り返った自分なのです。
まさに客観と主観はアントニムなのです。
たとえば自分のことを「人間失格」だと判断するのに、
そこには客観性が必要。
それが、病院、病人、廃人、というわかりやすい指標だった。
もし病院にいれられていなかったら、彼はまだ自分を「人間失格」だとは思わなかっただろう。
でもそのタイミングは、誰の身にも起こりうる。
どんなに普通の人でもどんな偉人でもどんな悪人でも、
他人に唆されるのではなく自分で自分を「人間失格」だと思うに足る客観性を示されたら、難なくそう思ってしまうのだ。
多分。
ただね、この一編の小説の最後、
葉蔵は「神様みたいないい子でした」。
それは、発話者の主観である。
これにより、葉蔵が主観で自分を「人間失格」と断じたのだとわかる。
ようするに、葉蔵は一概的な「人間失格」ではなく、
ただの普通の「人間」で、
普通であるならば誰しもが葉蔵になり得るのだと、わたしはそう読み取りました。
「普通」の定義がわからないが、わたしは、人間ひとりひとりが持つ「自分」というものが、「普通」なのだと思います。
どうですか、学生さんが感想文で書けそうな記事になったかな笑。
しかし純文学は良い。
次は、文庫になったので買ってしまいました。
又吉直樹氏で『火花』読みます。
真梨幸子氏でした。
え?え?
混乱中。
氏にはいつもこれやられる。
最後の最後でどんでん返しされる。
そして弱い話の繋がりを、まるで運命のように強い繋がりにしてしまう。
だからついていけない。
誰が悪で誰が善なのか。
もちろん、リアルではそんなの一口には言えないけど、
小説の世界なら悪人や善人を書き分けるのはセオリーだろう。
それをごちゃごちゃにしちゃうのが真梨節。
うーん、
まあだいたいはわかったのだけど、
じゃ「ジュンコ」は殺してないってこと?
「ジュンコ」が殺したの?
「ジュンコ」はただの目立ちたがり屋?
うーん。
ていうか登場人物全員キモいわ笑。
そこがイヤミスの醍醐味よねえ。
後味最悪。
という最高の褒め言葉。
ありがとう。
次は、実は恥ずかしながら読んだことのない太宰治(なんか「氏」をつけられなかった笑)『人間失格』読みます。