ということで(どういうことだ)オチが絶望かもしれない映画を数本見た。
ネタバレになるのでご注意されたし。もうタイトルにクローバーフィールドって書いてあるけど、他の2作は数行あけて下の方に書きます。知りたくない方はここまでで。



















さて「クローバーフィールドHAKAISYA」から。
この映画は一時期ホラー映画界隈でブームになったPOV形式の映画で、POVっつーのはポイント オブ ビューの頭文字で、登場人物がビデオカメラ撮影している映像を見ている→自分が撮影者になって映画の世界に入り込んでいる、もしくは撮影者の記録を後から見ているみたいにみえる撮影手法で、有名なのがブレアウィッチプロジェクトやパラノーマルアクティビティ、まああれか、ほんとにあった!呪いのビデオシリーズとかもそれに含まれるかな。劇中にBGMとかが流れず、物語を見ているというより撮影者が遭遇した記録を見ているようなリアリティがあるところが面白い。
だいたいホラーで活用されるので、恐怖シーンや走って逃げるシーンとかが特に手ブレがすごく(演出でもあるんだけど)、映像酔いすると評判が悪い。ちなみに私は映像酔いは全く平気だけど、映画アバターを見た後の3D酔いの方がすさまじかった。

この映画では主人公の男が日本に転勤になるとのことでサプライズパーティーをしている様子から映像が始まる。後半というか中盤から主人公の行動が理解できなくなるんだけど、その理由がこのパーティから事件直後あたりに描かれているんだけど、クソみたいなエピソードなのでここら辺1.2倍速でいい。つーか別に見なくてもいい(切り捨て御免)
この映画のストーリーはひとことで終わっちゃうというか、ある意味オチがない映画なんだなー。
それが、主人公たちがいる街が突然災害に襲われ、そこを逃げ惑う様子をリアリティたっぷりに見られる映画なのだ。その「災害」がなんなのかわからず、全貌ももったいぶって後半まで映さず、「どうして?」「何が?」「どこに?」「どうすれば?」というのが全くわからないで状況に流されていくところが割とリアル。
ただ一番最初のパーティーのシーンで、主人公が彼女の浮気を知って喧嘩別れ→街中がヤバイことになる→さっき喧嘩した彼女を迎えに行く!誰が何と言おうと俺は行く!!お前たち(友人である撮影者)は来なくていい!と、病的に「彼女が待ってる」と暴れまわる様子が狂気じみている。
正直モンスターに襲われるうんぬんより最初のパーティー会場で主人公と彼女がヒソヒソと話していた浮気のはなしが、一瞬で会場全員に知られる様子の方がおぞましい。

次に「10クローバーフィールド・レーン」
美容師のおススメ映画。ちなみにHAKAISYAを見ていないでも全く問題ない。「クローバーフィールド」と銘打って敢えて続編っぽく作っているあたりもミスリードを誘う仕掛けのひとつと思っていい。
ストーリーは、主人公のミシェルが交通事故から目を覚ますと地下のシェルターに閉じ込められていた。シェルターには持ち主である太った男と、シェルターの工事を手伝った若い男がいて、太った男のはなしによると外は大事件が起き、空気も汚染され、外に出た途端Daiやで!とか言ってる。生存者はほぼいないだろうが、シェルターにいれば当面の水も食料もあるから心配するなという。
その言動が怪しく、親切なようで恩着せがましく、よくわからん事で癇癪をおこすので全面的にこの男を信じていいのか疑わしいのだ。太った男の言うことは本当なのか?っていうのをハラハラしながら楽しむ映画なんだけど、もう「クローバーフィールド」ってついてるんだから、前作を見ている人からすると「え?だって続編じゃん?」「すっごく怪しいけど男の言うことマジなんじゃ?」って思いながら見ちゃうんだよねー。「と、思わせといて逆張りのただのサイコ野郎オチかな?」という、最後までどっちかわからないのがおもろーーーーい。あ、ちなみにこの映画はPOVではない。
映画のラストを見た相方は「唐突すぎてなんだよこのオチは!」と呆れていたけど、いやその唐突な展開なのがいいんじゃん。私こういう映画好きだわー。さすが美容師(笑)

そして「少年は残酷な弓を射る」
これなー、正直途中で嫌になって早送りして見ようかと思ったー。
これは過去と現在を交互に見せて「なぜ現在この状態なのか?」という転機をオチにしている、まどろっこしい映画だ。
世界中を気ままに旅行して旅行記を出版することを生業としていた女が主人公。その生き生きと旅していた彼女が現在ではくたびれ果てた外見で、なかなか職も見つからず、街のひとから唐突に「あんたのせいで!」等言われながらフルスイングビンタされたりする。なんでや。
それもこれも、母親である彼女にだけ反抗的な態度の息子ケビンが原因の様子。そのケビンがことごとく彼女を困らせる様子を妊娠からケビン高校生の成長まで見せられる。
ずーっと主人公の女目線で過去から現在まで見ているので、よく家庭(ケビン)を捨てて家を出なかったな、と感心する。ただただケビンマジクソでイライラするんだ。
でもケビン目線でこの映画を最初から見ると…ケビンの反抗の理由がわかってくる。
気ままに旅していた彼女は予期せぬ妊娠で家庭に入ることになり、大好きだった旅行ができなくなる。心の奥では「子供がいなければ」と思っているかもしれない。そんな母の心を見透かしている賢いケビンが、反抗することで母の注意を惹きつけようとしている、ようにも見えるんだ。なんかさー、妊娠でキャリアを捨てた…的なことに思い当たる女性には見せられない映画だよ。ツラすぎるよ。
ついでにケビンの父は稼ぎ、子供たちとも遊び、良き父のように描かれているんだけど、ハッキリ言って表面的で母親の彼女への配慮は全くなく、本当に上っ面だけ。ケビンもそれを見抜いているのでオチでああなる。
そもそも妊娠した彼女へ配慮できていればケビンはこんな風にならんかったやろが!という世の無関心お父さんたちへもキツイ映画。まあ、無関心お父さんは途中で飽きてこの映画をオチまで見られないだろう。展開とオチの意味をくみ取れる人なら普段、無関心じゃいられないないだろうし。

まだまだ絶望が足りない。なので一回見たけどMナイトシャマランのサインを借りてきた。10クローバーフィールド・レーン的唐突展開が見たくて(笑)