先々週の土曜の昼間から頭痛が酷くて、何にもできない休日であった…。


月曜になって仕事に行ったのはいいけど、窓からの光が眩しすぎてまた頭痛を誘発。吐き気まで出てきたので、酷くなる前に早退した。
ああ、暗くて静かで涼しいところに居たい。しーんどーーい。頭いてーよ。こないだの土日も引きこもっていた。
そういうことで暗くして映画「ミッドナイト・バス」を観ている。


これは新潟・池袋間を走る夜行バス運転手の男が主人公。


息子と娘が小さいころに離婚していて、東京で小料理屋?居酒屋?をしている彼女がいる。


ある時、別れた妻が新潟へ向かう夜行バスに乗りこんできたところから物語が動く。家族が再生する物語とのこと。



子供たちと運転手、運転手と元妻、運転手と彼女、元妻と子供たち、これらの関係はシンプルなのに複雑。薄い氷の上を歩いているように関係が危うい。


夫婦、親子などの家族間で気まずい本音の会話ってなかなかしない。日本人は特に相手の気持ちを察することを美徳としてペラペラ話さないし、気持ちを確かめ合ってハグしたりなんてしない。ミッドナイト・バスはそこら辺がリアルだ。


息子が東京での仕事を辞めて帰ってきたとき、辞めた理由を言いたくない気持ちもわかる。


娘が自分たちを捨てた母親を許せず反抗する気持ちもわかるし、歩み寄りたいけど素直になれない気持ちもわかる。


東京の彼女が運転手を失いたくなくて、必死に無理をしている様子もわかる。


子供を捨てた、という負い目で必死に強がっている元妻の気持ちもわかる。


いちばんわからんのは主人公の気持ちかもしれない。



そして個人的に一番かわいそうと思うのは東京の彼女だ。運転手が東京に来た時だけ会える、と身を引いていたら「新潟に遊びにおいでよ」と言ってもらえて喜んで運転手のバスで新潟にやってきたら、いないはずの息子が家にいて、これからの新潟での予定はおじゃんに…。この時、運転手に謝られるのだが、「怒ってない。けど、恥ずかしい」と言う「恥ずかしい」という気持ち、よーーーーくわかる。


映画の冒頭からこれで、ことあるごとにタイミングが悪くかなり損な役回りなのだ。そりゃあ嫌味(劇中で運転手が「チクチク嫌味ばっかり聞かされるのはうんざりだよ!」とぬかすので)というか辛い気持ちを吐露したくもなる。




うーむ、わりと主人公の運転手のこと、嫌いかもしれない。



何かと劇中で優しい優しいと言われているが、ただただ自分に都合がいいことをしているだけのように見えるんだ。自分が一番大事で、都合の悪いことは話さない、損な役回りを引き受けようとしない。映画の中で損な役回りしているのは東京の彼女と息子だったなぁ。


運転手役を原田泰造さん以外の人がしていたら、「なんだこの自己チューなおっさんは!」とキレていただろう。泰造さんだとイヤミを感じなくて、最後までキレずに見られてしまう。


でもわりと現実はみんなこうなのかもしれない。映画で多角的に見ているから主人公が身勝手に見えるけど、自分も多角的に見れば誰にでもいい顔をする芯のない人間だと思う。




大人たちの身勝手で「母親に捨てられた」と思っていた子供たちも、自分たちを生んで育ててくれた親の歳になってようやく親は元々ひとりの男と女だった、ということに気付く。


子供だと思っていた子たちが、大人が知らないうちに色々なことを知り、様々なことを思い、親のために気を使える大人になっていたことに気付く。


バラバラだった家族が和解するのにいい年齢設定の話しだ。しかしホントに東京の恋人の存在がかわいそうすぎるだろ…!




あと劇中のロケ地がどこなのか見るのも楽しいし、かんずりとか加島屋の鮭茶漬けとか新潟名物がたくさん出てくるのを見るも楽しい。


まあ、ロケ地は関越トンネルと万代とホテルオークラとカーブドッチしかわからなかったけど。


冬の新潟の重苦しい天気と音楽控えめなところがとてもいい映画だった。新潟の雪ってやつは降るものじゃなくて横から叩きつけてくるものだからな。(一部地域に限る())



しかし春は体調を崩しやすくてダメだなぁ。こんな時期に毎年健康診断なんだから再検診になるのもしゃーねーわー。まあ毎年引っかかるのは鉄欠乏貧血なんだけど。春関係ないやんけ。