「なぁ、三橋さっきから何やってんのかなー」
「さあな。朝からあんな調子だぜ」
「そわそわしながら携帯見てんの?メールでも待ってんのかな?」
「…女から、とか」
「ああこの前応援に来てたあの子?あの子って彼女?」
「知らね」
「あれ泉、機嫌悪くない?」
「お前の存在がウザいからだよ」
「ひでぇ!!俺なんか怒らせることした?!」
「浜田がここにいるってことが俺の機嫌を降下させてんだよ」
「お前…さすがに俺だって傷つくぞー」
「あ 田島」
「無視かよ」
「三橋に何してんのか訊いたみたい…だな」
「あいつは見守るってことを知らないからなー」
「電話…か?」
「なんだ三橋のやつ電話したかったのかぁ」
「……」
「気になる?」
「うるせぇよ」
「やっぱり女かなー?痛っ!」
「おい田島」
「ん?何 泉ー。って浜田なに寝そべってんだ?」
「てっ鉄拳がぁ…」
「なぁ、あれ、三橋誰と電話してんの?」
「なんか友達だってさー。誕生日だからメールするか電話するかずっと悩んでたみてー」
「それって、女?」
「や、多分男じゃねーの?電話で“しゅうちゃん”って言ってたからさ」
「しゅうへい?しゅうじ?」
「んなもん本人に聞いてみるしかねぇよ」
「まぁそりゃそうだな。うわぁ三橋、嬉しそうに話してんなー」
「……」
「……」
「おい田島、泉?どうしたんだよ」
「ブラックリスト入りだな」
「おお」
「えっ何のリスト?おいこら待てって!ちょっ俺だけ仲間外れかよ〜!」
(もし もし、修ちゃん…?)
(おお俺、廉だ よ)
(ぅえ?う うん元気!修ちゃんは?)
(そっか…良かった!あ、のね、あの、今日は……修ちゃんの誕生日だよ、ね?)
(誕生日おめでとう!)
待ってるだけじゃダメなんだ
ありふれた携帯電話が、こんなにも冷たい無機物だと思ったことは未だかつてない。
手の内にすっぽり収まる小さな黒い物体は、鈍い光を反射させながら、静かに鳴り出す機会を伺っている。
もう何度目か、それを開いて確認するのは今日の日付。
めんどくさがって待受画面を設定してない今、この画面には7/12、と簡素に表示されているだけ。
朝から何度かメールが届いた、そのすべてに“誕生日おめでとう”の文字。
そうなのだ。今日は俺の誕生日だ。
今までに来たメールや電話にはきちんと答えているし、直接言ってくれた友達にもお礼を言った。
携帯電話を介して顔を合わせられないたくさんの人から祝ってもらえる、なんてとても嬉しいことだ。
…でも。
一番祝ってほしい人物からまだお祝いが届いていない。
もらえる、なんて淡い期待を持つ方がおこがましいのかもしれない。
でも、やっぱり期待 してしまうのだ。
たった一言でいいから今日という日に色をつけてくれたら…なんて。
先手を打って、自分からさりげなく連絡を入れてみればいいのかもしれない。
ああでも、自分から誕生日だ、なんてバラすってのはどうなんだ?
興味がない相手からしたら、だから何?なんて思われるかも。
誕生日を忘れられる、ということは所詮自分はその程度の存在なのだ。
ここは踏みとどまって辛抱強く待ってみるのも手だろう(でも、もし 来なかったら)(最悪な 誕生日だ)
なぁ、廉、
俺のことなんて
忘れちゃったのか?
(早く、 早く)
まだか まだかと一分置きに手元を確認する俺を、携帯電話は嘲笑うかのように、
(大切な君だから
こんなにもこんなにも。
待ち遠しいんだ)
(だからどうか早く、)
叶たん 誕生日おめっとさん!
ちゃんと覚えてましたよ
毎日カレンダーで確認してましたよ
これだけは絶対に忘れるもんかって集中しまくってました!
(おかげでリアルで2人の誕生日スルーしちゃった/馬鹿)
三橋からおめでとうメールは来るんでしょうか?!
ドッキドキの叶たん。
織田は遠目に自分から連絡しろや…って突っ込み入れてます。
畠は見て見ぬふり。
そんな叶たんが愛しいよ…!(≧∧≦)
うちに来てっ!(無理)
今回はバースデー文書きあげました。
書いたの久々。