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(中略)大震災やトンネル落盤事故を機にインフラのメンテナンスの問題がさすがに騒がれるようになりましたが、これは極めて当たり前の話です。日本の社会インフラの多くが1960年代の高度成長期に建設され、それから50年余りの歳月が経過しているのですから。たとえば、14メートル以上の大型橋梁の約40%が速やかな修理を要すると診断されている状況であり、当然ながらそれは建設会社抜きに進められません。ならば、TPPに加わって外国の建設会社に参入してもらえばいいと言い出す連中が出てくるでしょうが、本当にそれでよろしいのでしょうか?毎日のように渡る橋を地元の企業が修理せず、あえて海外の建設会社に任せてしまい、不具合が生じた場合はどうするつもりなのでしょうか?まさか、海の向こうまで響き渡るような大声で、「助けにきて!」と叫ぶつもりですか?

安倍首相は安全保障の確立に本腰を入れる一方で、規制緩和にも積極的な姿勢を示していますが、実はその二兎を追うと、完全にジレンマに陥ってしまいます。安全保障の確立とデフレ期の規制緩和が両立することはありえないのです。建設のみならず電力などに関しても、規制緩和を進めて海外からの参入を認めていけば、今度はエネルギー安全保障は脅かされるのは必至です。(中略) TPPにおいても特に私が警戒しているのが電気で、米国が狙っているのは間違いなく発・送電分離後の発電部門だと思います。発電と送電を分離したうえで、発電部門に米国企業を参入させようという魂胆なのです。米国の発電会社はM&Aを乱発するので、おそらく日本の発電会社は将来的には多くが買収され、発電事業が寡占化するでしょう。そうなると、エネルギー安全保障上に、大きな問題が生じるのは間違いありません。/三橋貴明