昨日の影響で今日1日神奈さんの色っぽい歌声が頭から離れなかった…´///`
追記。潮江さんと食満さんが死について話してますんで注意
眠れなくて外に出た月夜の晩。静かな夜を当てもなく行く。先程まで夜を淡く映し出していた光は黒い雲に消えてしまった。綺麗な月が見えなくなったことに落胆するよりも、ほっとする。月の下は、俺たちには幾分動きにくい。
それでも取り払えない胸騒ぎ感じる心を宥めながら夜の学園を徘徊しているとふと、闇から溶け出したように影が現れた。目の前をふらりと通り過ぎようとした奴に俺は目を剥いて言葉を投げる。
「文次郎!お前、もう実習から帰って来たのかよ!」
帰って来ていたならすぐに会いに来てほしかった。無駄に心配してた俺がアホみたいだろ。見たところどこか怪我をしているようでもなし、心配していたことをそのまま伝えたらこいつは怒るかもしれないけど(俺はそんなヤワじゃねぇとか言って)。でもやっぱり誰よりも大切に思ってる奴が危険な場所に赴いたとなれば、一緒にはいけない違う組の俺は、残されたことが不安で身を案じてしまう、仕方ない。それぐらい許してくれよ。
どこかぼんやり空を仰いでいた文次郎は、だけど俺の言葉にふいと振り向くと、感情の無い瞳を寄越した。ぞくりと、する。まるで、何もかも俺すら、捨てて行くんじゃないかって冷たさが。
「文次郎…?」
突き放されたような気がして堪らなく感じた不快感に、縋るように名を唱えた。
「…留三郎、」
名前が、返ってきたことがやけに嬉しい。応と促せば文次郎は続ける。
「俺が死んだら、お前どうする?」
「…は。」
突然に、何を言い出す。
「そういう冗談止めろよ」
時が時だ。
「冗談でこんなこと言うわけないだろう。真剣な話だ」
今さっき実習から帰ってきた文次郎が、そこで何を見て何を思ってそう訊ねたのかは知らない。だけど俺は今ここに生きて向かい合ってる文次郎にやっと安堵したところだったのに。考えないようにと思ってだけども文次郎がいない間ずっと心を支配してた思考を、やっと拭えたところだったんだぞこのやろう。
「…、お前が死んだら、俺も死ぬ」
躊躇いながら呟いた、しかし答え自体に躊躇いはない。本気だ。誰がその結論を否定しようと俺は、文次郎のいない世界を生きていく自信などないのだ。
そうしたら、他でもない文次郎にばかたれと窘められた。
「冗談はどっちだ。真剣な話だと言ってるだろう」
「真剣な答えだ。キレイ事だと云われても仕方ないかもしれないが、俺はお前無しじゃ生きていけねぇ」
お互い意に反したようでムッと眉を寄せる。
「もうすぐ、卒業だぞ」
「ああ」
「卒業したあともそんな生温いことを唱えるのか。俺たちは同じ道は歩まない、いつかは必ず離れてしまう」
「それでも俺は、お前のために生きる。」
「………」
言い返そうとしたのかぱくりと開いた口は、もう言葉を失ったらしい。俺の勝ちだとほくそ笑んでいたら、大仰に溜息をつかれた。呆れられてしまったか、だがそれに何を思うよりもやっと文次郎に感情が表れた気がして胸を占めていた違和感が軽くなった。
「俺は、よぉ。たぶん追わない。お前が死んでも、追いかけない。だから、頼むからお前も追いかけないでくれ」
「無理難題だ」
「無理なわきゃねぇだろうが」
無理だよ。お前がいない世界を生き続けて行くなんて。
文次郎は一度口にしかけたことを飲み込むように唇を噤んだあと、意を決したように想いを吐き出した。
「俺はお前に死んでほしくねぇ」
その、辛そうに歪んだ目が、きゅっと胸を締め付けた。違う違う、文次郎、お前のために死ぬわけじゃない。
「お前がいないと生きていけないって話だっつーの」
「同じだろう」
「違う。俺も、文次郎に生きていてほしいって話だ」
お前がいないと生きていけない。お前にならすべて投げ出せる、捨てても行く。守るなんて大層なことは言えないけれど、お前を決して死なせない。卒業しても道が分かれても、想いは変わらないから。お前の生きる世界にいたい。
「お前が死ななきゃ俺は死なねぇよ」
「…言葉は、使いようだな」
まるで脅迫めいた言葉に文次郎はまた呆れ、しかし次に口元を擡げた。苦笑に優しく目が細まる。
「じゃあお前が死なねぇように、もう少し踏ん張ってやるよ」
「え?」
文次郎…?
隙を衝かれたような言葉にどう考えていいのかも分からない。ただ本能的に手を伸ばした。ここで、捕まえなきゃダメだ、だけども手は空気を握り締めただけだった。
「留さん!起きて留三郎!!」
揺さぶられ、叫ぶ声に目を覚ます。あれ。俺は夜中部屋を抜け出したはずだったのに、今しっかりと布団の中にいる。その如何ともせん温もりに包まれていたい心地良さの中、しかし尋常じゃない伊作の様子に寝ぼけた身体を叱咤した。
「どうした…?」
「文次郎が!実習中に大怪我したって今保健室に!」
ぴしり、と。冷たい何かが体を貫いた。
布団に眠る文次郎は、まるで死んでるみたいだ縁起でもない。擦り傷を避け血の気の薄い頬をなぞり、包帯を巻かれた額に、触れるか触れないかとそっと手を添える。微かな温かみが、俺の冷たい体すら溶かしてくれてくようだった。小さく息づく呼吸に、忘れていた己の呼吸を思い出す。す、と吸ってとりあえず深呼吸。やっと心が落ち着いてきた。
「仙蔵庇って怪我って、バカだろお前」
御陰で無傷の仙蔵の方が重症なんだぞ。今頃伊作たちが宥めてやっているところだろうか、考えると胸が痛い。仙蔵も伊作もみんな痛める心の理由は一緒だ、起きたらこれでもかと頭に叩き込んでやろうまったく。
「最期の別れ言いに来たつもりだったのかよ」
己の夢に現れたのは。はーとまた安堵の吐息を漏らした。無意識だったが、引き止められて良かった。
「冗談じゃ、ないんだからな」
撫でるように梳いた髪。むずかるように少しだけ顔を歪めてみせた文次郎に、溢れる愛しさを微笑った。
起きたらお説教が待っている^^^
「私は庇われる程弱くない!文次郎のくせに文次郎のくせにっ…!!」
潮江は、食満死んでも多分追いかけないかなって
でも一生忘れないし、食満以外に誰かを好きになるとも思えない
てか好きになったとしても自戒を破らない
例えば誰かに心惹かれたとしてそんな自分が許せない
逆に食満はすぐ後追いそう、っていうもうホント私の勝手すぎるイメージ(いつぞやの短編とか…すまん留)
もしくは、生きてても脱け殻そうな気がして。
荒れる、とか。
キッドさんみたいなイメージ。雨の中で打ちひしがれるの←キッド自体私の妄想
もしも潮江が誰かに殺された場合は、地の果てまで追いかけて仇取る
潮江は敵討ちはない、かな
留三郎のいた時間に縛られてるから、時を動かそうと思わない
表面上平気を装っても誰にも心の奥への侵入を許さない
現実主義そうに見えて案外現実から逃げたい思いが強かったりして
…うわあああん留さん文次郎置いてかないでねぇぇぇ(お前が言うな)