今日は楽しかった「ウワサノマチ」の話を書く前に、どうしても書いておきたいことがありまして。
酒蔵スタンプラリーをきっかけに日本酒に改めて興味を持っていろいろ調べたりしはじめましたが、日本酒というのは調べれば調べる程、奥が深く、そして日本人にとって特別なものなのだな、と感じるようになりました。
日本酒を作る時、おコメを削るのはご存知ですか?
日本酒を作る時のおコメは食べて美味しいおコメとは基本的に違い、中心部の心白と呼ばれる割合の大きい、たんぱく質の少ないものだという事は?
(でも、最近は天のつぶやコシヒカリなどで作られたお酒もあるのだそうですが)
でも、こんなのはほんの欠片も欠片。
お酒作りの行程はとんでもなく複雑で、沢山の人の手と、杜氏という職人のカンと経験がいります。
上質の材料を工夫して作っても、気温の変化、発酵の具合やその他もろもろで味も変わってきます。
様々な人の工夫と努力の先に、それぞれの個性あふれるお酒ができてくるわけです。
戦後、日本酒は様々な問題を抱えてきて、歴史ある酒蔵も多く消えてきましたが、逆に美味しいお酒を造る酒造は増えてきていると言われています。
これは日本酒を大切に思う日本人と、それを作る人たちの思いがそれを為しているのだと思っています。
酒蔵を周り、いろいろな酒造の方とお話をして、そう思う様になりました。
美味しいと思えるお酒を作る為に、本当に工夫と努力を続けていらっしゃいます。
小さな個人の酒蔵から、大手まで。
皆さん、本当にお酒を愛していると思いました。
その姿勢に触れたのが、酒蔵スタンプラリーに嵌り、入れ込んだきっかけでもあります。
「福島のお酒は放射線に当ててまろやかに「変質」させ金賞をとったと疑っている」
という放射脳さんがいます。
なお、そこへのリンクは絶対に貼りません。
誘導したいとは欠片も思いません。
(本当は関わりたくも見たくもないので福島をディスりたいのなら勝手にやってと思っていますが、今回だけはとても怒っているのであえて書いてるだけです。
今後、一切そこの事をこちらに書くつもりもありません)
放射能がお酒をまろやかに「変質」させる。
ということに科学的根拠は一切ありません。
いくつか放射線照射による酒類の変化について研究事例も発表されていますが、ウイスキーなどの醸造酒はともかく清酒は古酒化しむしろ味や色を損なうとされているようです。
また放射線が酒質に影響を与えるというデータもありますがこれらの研究では変質するのは極めて高い放射線を当てた場合であり、そうでない場合は影響はないと見られています。
www.jstage.jst.go.jp
www.jstage.jst.go.jp
https://www.nta.go.jp/shiraberu/senmonjoho/sake/anzen/pdf/02-3hoshano_kiso.pdf
そもそも放射線当てるだけ味が良くなるなら、どこの酒造もやるでしょう。
実際、酒造好適米の一つである美山錦は放射能照射による突然変異で生まれたお米です。
(福島でではないですよ。53年に長野でです)
新潟、山形などを中心に多くの酒蔵で使われています。
でも、お酒の味というのはそんな小手先のことで変わるほど、簡単なものではありません。
放射線でお酒(清酒)の味がまろやかになって美味しくなるというのなら、それが何ミリ、もしくは何シーベルトを何分、何秒照射することによっておこるか、全てのお酒がどのように「まろやかに変質」したか研究し証明してみやがれっていうものです。
まして
http://www.kennan-syuhan.co.jp/brewery/new015.html
こんな風に努力を重ね、放射線対策を行い、誠実に取り組む酒造さん達が福島にはいるというのに。
その努力に努力を重ねて美味しいお酒を造っている酒造さん達の努力が、金賞受賞最多という栄誉を勝ち取ったのに。
それを放射線のせいだけにするのでしょうか?
福島では05酒造年度から毎年平均10酒蔵以上が金賞を受賞しているのは?
9年連続や13年連続で金賞を受賞している酒蔵さんがいるのは?
どう説明するのでしょうか?
金賞を受賞した酒造さんだけではなく、福島の全酒造、ひいては金賞に及ばず、でも美味しいお酒を造ろうとして努力している福島以外の酒蔵さんにたいしてもこれは侮辱だと思いました。
お前らの酒は放射能入りに負けたんだと言ってるようなものですからね。
福島のお酒に放射能なんか入ってないと思いますが。
入っているのは福島の大地の恵みと、作る人の熱意と思い。
それでも福島が嫌な人、嫌いな人は手に取らなければいいだけのことです。
日本の名を関する「日本酒」は日本のプライド。
そのプライドを守ろうと努力する酒蔵を、人々を、私は応援していきたいと思っています。