あ、「まとりくさーなしもべ」じゃなくて「ぼく」ですはい。

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何がどう「せっかくだから」なのか理解できないが、その後男たちはカクを担いで愛車のハレのところまで連れて行った。

「やっ、やめ…ッお願い…!」

ふるふると首を振って嫌がっても、仏心を出すようなものがいるはずもなく、まるで布団を干すようにシートに寄りかけさせる。
うるさいとばかりにパシンと尻を叩かれ、ビクっと震えたそこに再び指が入ってきた。

「あぁッ…やだ…!」

ぐねっ捩れる腰に、誰かがごくりと唾を飲む。別の男の指も入ってきて、前も大きな手によってまさぐられ、本人に意思とはうらはらに感じやすいカクは、再び熱い息を吐き出した。

「ほらほら、ケツでイって、愛車にブっかけちまえよ」

「ひぃっ、ヤぁあ…ッ」

大事な愛車にそんなことしたくないと、きゅっと内股になるが、その足は生まれたての小鹿のように震えている。
その無駄な抵抗をも楽しんでいるようで、果ては乳首まで弄ばれて、カクは唇を噛んだ。

その後も必死の攻防を繰り広げ、先に根をあげたのは男たちのほうだった。しかしそうは言っても諦めたわけではなく、トロトロにほぐれたカクの穴を見て、辛抱堪らなくなってしまったと言ったほうが正しい。

「あ〜っ俺、もう我慢できねぇわ」

一人がカチャカチャとベルトを外す音に少し正気に返ったカクはもがいて脱出を試みるが、あっさり元のようにシートに押さえつけられる。
愛車の上で犯されるなんて考えたくもなくて、往生際悪くじたばた暴れるが、素早く砲身を取り出した男が、カクの後孔にピタリと当ててきて、恐怖に体が竦んでしまった。

「暴れるなよ。怪我したくねぇだろ」

はぁはぁと息を荒くした男の一物は見えていないカクにも伝わりそうなほど滾り、漲っている。

「いやだ…っ誰か…!」

(助けて…!)

縋りつくものを求めて、カクは闇雲に手を伸ばした。手に当たったそれを認識もせずに掴む。



瞬間、雷鳴のようなエンジン音が轟いた。

「なんだ!?」

男たちがぱっと飛び退く。カク自身も、胸の下でビリビリ振動している愛車を、目を白黒させて見つめた。
カクが握っていたのはハンドルだった。

カギはズボンの中のまま。エンジンがかかるはずがない。

「…ッ」

しかしカクはこれ以上混乱している場合じゃないと、男たちが後ずさったのをいいことにハレに飛び乗る。
ハンドルを握りしめると、カギがついていないはずのハレは心得たように再び唸った。

男たちを押し退けんばかりの勢いで発進する。「うわっ」と男たちは飛びずさり、ハレとカクに道を開けた。
ガレージを飛び出す前に、ハレは最初にカクが押さえつけられた壁のほうへ走る。
カクがぱっと手を伸ばし、床に置き去りになっていたズボンを回収して、

そしてポカンとした顔の男たちをそのままに、カクはなんとか逃げ果せたのだった。



ハレは人気のない道を走り、途中の路地裏で停止した。慌ててカクは股間を隠すように挟んでいたズボンを履く。
ポケットの中でカギが鳴く。しかし元気よくエンジン音を響かせるハレに、カギを取りだすのはやめて再び跨った。


どうにか帰ってきた我が家は無人らしかった。おじの車がないことで、そういえば今日はおじおばは近所の集まりがあって夕飯はひとりで食べるようにと言われていたのだと思いだす。
修理工場兼ガレージで、ようやくカクはほっと息をついた。

「あっ…ん」

ビクリと肩が揺れる。ほっとしたついでに先ほど男たちと根気比べしていた前や後ろがズクズクと疼きだした。大きな車体に縋りたいのに、今はその振動が、体の芯にいやらしく響いてしまう。

「や、…ダメ。アっ」

ドッドッドッ、といつもなら大したことのない揺れなのに、今のカクにはハンドルを手放すこともできないほど、強烈な刺激になる。
頭を振ってごまかしても、口の端から飲み下せなかった涎が、つ、と垂れてしまうほどに。

そしてとうとう。

「あぁんッ、ヤ、アぁあーッ!!」

カクは誰もいない自宅のガレージで、愛車にイかされてしまったのだった。