お久しぶりです。あっという間に(笑)寒くなりましたね。
お体にお気をつけて。それでは子豚にいきます

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「あ、あのね。エンは魔王になるかもしれないし、ならないかもしれない人なの。
でも、いい人だよ」

迷った末に、ティカルはユキたちに向かってエンのことを紹介しました。

「魔王になるかもしれないし、ならないかもしれない?
…まぁいいか。アオ、もう大丈夫」

しかしティカルの説明では、よくわからなかったようです。
ユキはしばらく困った顔をしていましたが、泉に避難していた小さい子たちがそろりそろりと近づいてくるのを見て、大きい丸い生き物をポンポンと叩きました。

「エン、この人は泉に住んでるユキさん。とその家族だよ」

続いてティカルは、エンに向かってユキたちを紹介します。
エンは、同じ男でも、ティカルもユキも全裸なので、やはり目線に困るらしく、あいまいにうなずいてアオを見上げました。

「はぁ…しかしでかいなぁ」

「この人が一番大きいの?」

ティカルがユキに尋ねると、ユキは自慢げに「そうだ」と頷きます。
そんなことを話していると、ようやくエンもティカルを見るのに慣れてきたようです。

「普通の子豚じゃないとは思ってたけど、人間だったんだな。
さっき、なんて呼ばれてた?」

「ティカル」

「ティカルか」

頷きながら、エンは微笑みました。そのようすで、大きな丸い生き物のアオも警戒を解いたようです。
すすすと泉に帰っていきます。

「ティカルは、ここの人間なのか?」

「ううん、違うんだ。待ってる人のいる世界が、別にあるよ」

エンは、ティカルをじっと見ました。子豚のときには感じたことのない、強さを、ティカルから感じた気がしたからです。

「エン、連れて行ってほしい。僕を待ってくれている人の世界へ」

「あぁ、いいとも」

さっき結構練習したからな。任せとけ。とエンはにっこり笑います。

「ティカル、」

踏み出そうとしたティカルに、ユキが話しかけます。
振り向くと彼は「忘れるなよ」と言いました。

「うん。忘れないよ。
想う力は、強いって」

ユキは「そうそう」と深くうなずきました。

「行くか」

エンの声に、うんと頷いて、ティカルは渦に包まれました。


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