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子豚な王子様47

こんにちは!前回の46話を読み返してみたら、とても読みにくかったので少し手直ししました!

*****


「おかえりなさ・・・わぁ」

木の壁と枯れ草のような屋根でできた不思議な家の前で、シロウは止まりました。
エンとトウジはひょいと飛び降りて、エンに抱っこされたままのティカルはまだ体が揺れているような感じのままのような気分です。

そこにはいくつかの小さな明かりとともに男の人と女の人が待っていました。
「先に行くぞ」と言っていた大きな男の人と子犬はいないようです。

エンも、先ほどの人がいると思っていたのでしょう。面食らった顔で「あっ、こんばんは」といつもより小さな声で挨拶します。
はじめは家にいた二人も困惑している様子でしたが、エンよりも早く立ち直ってクスクスと笑いあいます。

「・・・うちの人が急に「酒と肴を見つけてくる」っていうから、どうしたのかと思ったけど…」

「煉鬼兄ちゃんたら、肝心なこと言い忘れたんだわ。お客さんが来るって言ってくれないとねぇ」

「あげてもいいか?」

トウジがそっと尋ねると、タミと呼ばれた女の人は微笑んで頷きました。

「どうぞ。あ、その不思議な履き物は脱いでくださいね」

家に入るときは履物を脱ぐのかと関心しながら、エンはもぞもぞと靴を脱ぎ、ティカルも逃げ回って汚れた足をきれいに拭いてもらいました。

その後は、待っていた男の人が、何も言わないトウジに「怪我をしてるね?診せなさい」と言い、遠慮するエンまでまとめて傷を清めたり、薬を塗ったり貼ったりをしていると、ようやく大きな男の人が帰ってきました。

「おかえりなさい煉鬼様。何かありました?」

「そこの稲荷から酒と饅頭を失敬してきた。シロウ、後でよろしく言っといてくれ」

片手に丸い入れ物と、片手に大きな草で包まれた何か…まんじゅうという何かを掲げて、煉鬼と呼ばれた人が入ってきます。稲荷が何なのかわからないティカルとエンでしたが、どうやらシロウの親戚か何かのようです。

「おぬしが話せばよかろうに」

「いたんだろうが、居留守を使われたんだよ」

クツクツと笑って、煉鬼は丸い入れ物の中身を小さな器に注ぎ始めました。ほわりと甘い匂いがします。

「飲めるか?」

「少し。でも俺の知っている酒とは違うみたいだ。空豚には水をもらえますか?」

「「「空豚?」」」

いっせいに不思議そうな声をあげられて、エンは面白そうにティカルを掲げると「この子豚、実は空から降ってきたんだ」と言って聞かせました。

「まぁ、空から?」「よく助かったね」「ただのウリボウじゃないとは思ったが、面妖な生き物がいたもんだな」と口々に感想が飛んで、それをきっかけに新たに増えた人たちとも打ち解けることができたのでした。


*****
ヤマもオチもないけど書ける所まで書いていきます〜。
臣に煉鬼のことを「うちの人」と呼ばせたかったのです。

子豚な王子様46


*****


「空豚!この人たちすごいぞ!紙から火とか水とか変な動物とかでてくるんだ!」

「ぴ、ピキぃ…?」

二人ともあちこち土だらけ、しかも傷だらけなのに、ウキウキとしています。圧倒されながらエンの隣を見ると、先ほどの青年も「すごい!何もないところから火とか水とか雷が出る!」とティカルを連れてきた大きな男の人に言っているようです。

「まぁ落ち着けよお前ら。とりあえず手当てしに家にいくぞ」

大興奮の報告を遮って、大きな男の人はちらっと空を見ました。

「ブヒっ」

またあのひとっ跳びをするのかと短い4本足をピーンとしていると、その人はそれに気づいたようです。
ずい、とエンの目の前にティカルを突き出して、「先に行ってるぞ」というと、子犬だけ連れて、またポーンとどこかに行ってしまったのでした。

「はー、あの人もすごいな。この村は超人の集まりなのか?」

エンは、あっという間に小さくなった彼を見送って、ケンカしていたはずの人を振り向きます。すると、耳の生えたほうの人が進み出て、クツクツ笑います。

「あれは人ではない。鬼じゃ。あんなのがうようよいるのは地獄だけで十分よ」
「地獄?」
「死後の世界のことじゃ。それも知らぬとは、つくづく不思議な人間よのう」

この人も最初はどこからともなく現れて、一緒にケンカしていたように思えたのですが、怪我をしている様子はありませんでした。

「シロウ、行けるか」
「二人乗せるくらいならどうとでもなろう。急ぐこともあるまいて」

そう言われて、シロウという男の人は、着ていた不思議な服の異様に幅の広い袖をブゥンと一振りしました。するとどうでしょう。次の瞬間に、大きな狐になったのです。

「おー!!」

エンは見るもの見るものが真新しく、楽しいようで、手を叩いて喜んでいます。エンの相手をしていた青年はその背にヒラリとまたがり、後ろに乗れといいました。

「いいのか?」
「尻尾と足には触るでないぞ。走りにくいのでな」
「わかった!!」

珍しい生き物に興奮しているのか、エンは嬉しそうにティカルを抱っこして、青年の後ろに器用に乗りあがります。
掛け声もなく、シロウが駆け出し、ティカルは青年の背中と、エンのお腹に挟まれる形だったのでよく見えませんでしたが、「急ぐこともあるまい」と言っていたのに、景色がどんどん変わっていくので、これは相当早いのではと思いました。

走っている途中、ふとエンを見上げると、彼はどこか懐かしそうに目を細めて呟きます。

「ウンザに遊んでもらったのを思い出すなぁ」
ウンザというのは大きめのペットだったのかしら、でもペットに遊んでもらうって不思議な言い回しだなぁとティカルは思ったのでした。


*****

明けまして!


もう二月になってしまいましたが、お久しぶりです。遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!
今年はもう少し更新頻度をあげられるようにがんばります〜

子豚な王子様45

お久しぶりです。寒くなってきましたね!

*****


ティカルは必死に走っていました。
誰かが自分を追いかけているとわかった途端に逃げたので、あまり相手をみていなかったティカルですが、一瞬だけキラリと光るものを見た気がしました。牙のようです。
そして「おいしそう」という呟きは間違いなく聞こえたのでした。

今は後ろのほうからは何も聞こえません。「はっはっ」という荒い息遣いと四本足の足音だけです。
食べられるのだけは困るので必死に走るのですが、足の長さが違うのか、ティカルが四本足での全力疾走に慣れていないせいか、あっという間に追いつかれそうになりました。

もう今にもおしりにガブリといかれそうです。

「ピギー!」

心の中では「やめてー!」と言ったのですが、残念ながら子豚の鳴き声でした。
しかし、それきり相手の気配が後ろからふっと消えたのです。

「ブヒっ?」

おかしな様子に振り向こうとして、それまでの勢いが殺せずに転んでしまったティカルは、ひっくり返ったまま後ろを見ました。
すると後ろには、茶色の子犬を抱えた、大きな男の人が立っていたのです。

「裸のウリボウか?珍しいな」

「ととさま!おいしそうです!」

またもおいしそうと言われて、すぐに逃げなくては思うのですが、しゃべってる!というびっくりのほうが勝ってしまい、ティカルはぼんやりと大きな男の人と、子犬を見ていました。

「あーでも、身が少なそうだぞ?」

その言葉にようやく我に返って、ティカルは咄嗟に「食べないで!」と一鳴きしてみました。犬の言葉がわかるのなら、子豚の言葉もわかるかもと思ったのです。
しかし残念ながら、何か訴えているとはわかるようですが、ティカルの言葉までは伝わっていないようでした。

「普通の獣ではなさそうだな
あぁ、トウジとシロウが相手してるヤツの連れか」

トウジトシロウというのが何なのかやはりわかりませんでしたが、相手しているヤツというのがエンだということは察せられました。コクコクと頷いてみせます。
男の人は、ティカルを興味深そうに見て、「ふーん」と言うとティカルの首根っこをひょいと掴みあげました。たいていここを持たれるとグエっとなるのですが、それを感じないくらいに大きな手なので、指がぐるりと首をまわってくっついているのではとティカルは思いました。

「邪魔をすると怒るだろうが、まぁいいか」

そういって男の人はターンと地を蹴って飛び上がりました。唐突にそのへんの木よりも高く飛び上がったので、ティカルはびっくりして声も出ません。反対の腕に抱えられている子犬はというと、
「たかーい!ととさますごーい!」と言って楽しそうです。

そしてほんのひとっ跳びでさっきティカルが追いかけられ始めた場所に戻ってきました。
高く飛んだ衝撃でフラフラしながらも、ティカルはエンを探しますが、ぱっと見だれもいません。

「どっちか、やられちまったか?」

男の人の言葉にぎょっとしていると、川の反対側から「おーい」と声が聞こえました。
暗かったのでよく見えませんが、エンです。そして隣にはさきほどの青年がいました。耳の生えた人もいます。
もっと殺伐としているかと思ったのですが、そうではないようです。
むしろ互いに肩を貸し合って、仲が良さそうです。

ティカルと子犬を抱えている男の人も不思議そうに「なんだありゃあ」と言いながら、膝をちょっと曲げました。

はっとしても遅く、そしてどうしようもないのですが、ティカルはまたもひとっ跳びを食らってしまったのでした。


*****

メールお返事29/11/05

りり様
→はじめまして!繰り返し読んでいただいて嬉しいです。お褒め頂き本当にありがとうございます!

ライオンのオスの番、素晴らしいですね!恥ずかしながら知りませんで、検索しちゃいました。すごく仲良さそうで幸せな気持ちになりました〜。たまらん〜!教えてくれてありがとうございました。

ジクと豆の木の大男さんと竪琴の妖精コトの話は、いままで考えたことがなかったので、思いついたら書くかもしれないですが、期待しないでいただけると嬉しいです。
またのお越しをお待ちしております!
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