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子豚な王子様48

お久しぶりです。皆様お元気ですか?
びっくりするほど間が開いてしまいました。稚文がさらに大変なことになっていると思いますが、子豚を書いてゆきます〜


*****


「あの、鬼っていうのは何なんですか?人とどこが違うのですか?」

珍しい食べ物と、珍しい飲み物をいただいたところで、エンはずっと気になっていたことを聞いて見ました。
見たところ人とは何も変わらないのです。しかしあの跳躍力は確かに人間離れしていました。

「…知らねぇのか?」
「煉鬼、エンたちはどうやら鬼とか地獄がない世界からやってきたらしいぞ」

平たくて小さな器に、先ほどの酒というものを注いでいた煉鬼は、ふぅん、と言ってエンを見つめます。

「この姿は仮の姿だ。何なら見せてやろうか?」
「煉鬼さま・・・」
「大丈夫だ臣。心配するな」

煉鬼のことを「うちの人」と言った男の人が、不安気な顔をします。立ち上がりながらその肩を撫でて、彼は庭に出ました。
エンとティカルが追いかけていくと、月明かりが照らす庭で、煉鬼のいる辺りから火がぽっと揺らめきます。
よく見てみると、口の中が真っ赤に燃えているのです。

「ぴギっ」

思わずティカルが声を上げると、炎をちらつかせた煉鬼はニヤリと笑ったようでした。そして次第に腕が、足が、胴が、どんどん長さと太さを増して、見上げるほどの大男になったのです。
極めつけに、彼の額には角が生え、未だに炎が上がる口には大きな牙が見えていました。

「お前の世界に、こんな生き物はいたか?」
姿が変わったからか、声もどことなく違って聞こえます。

「…俺の世界では、魔物と呼ばれるものが、似ているかもしれない。
小さいころに角の生えたヤツに遭った事がある」
「ピぃ…?」

ティカルは以前、エンから「この世界には昔、魔王や魔物がいたが、今はどちらもいない」と言われていたので、エンの言葉に驚きました。

「ほぅ…。そいつらは何をしている?」
「悪いこと全般、かな…?」
「ははは、気が合うかもな」
「でも、魔物はそれほど知性がないから、貴方は魔王に近いのかも…」

王と言われてまた煉鬼は笑い、そして次の瞬間には、元の人の姿に戻っていました。

「王なんてガラじゃねえな。窮屈そうだ。
誰かの自由を奪えば、それだけ自分の自由も奪われるってもんだ」
「・・・」

エンは煉鬼の言葉に何かを感じたのか、庭から動かなくなりました。ティカルが心配して鳴いてみましたが、じっと遠くを見つめています。

「空豚くん、そっとしておいてあげよう?何か、大事な考え事をしているみたいだから」
「ぴぃ…」

臣という人に抱えられて、ティカルは家の中に戻りました。

エンは何を考えているのだろう。答えが出る考え事なのでしょうか。
ティカルには、エンの考え事はわかりませんが、無事に答えにたどりつけるといいなと思いました。


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