狐のお話しのほうが、というかエロがちょっと上手くいかないので、子豚を書いていきます!
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ふかふかの柔らかい綿の感触に、ティカルはうっとりしながら目を覚ましました。最近は野宿が多かったので久しぶりの感触だったのです。
「ぴぃぃ」
「あ、気がついたみたい」
軽やかな声がして、ティカルが目を開けると若い女の人がティカルを覗きこんでいました。
ティカルが不思議そうに彼女を見ていると、「うふふ」と楽しげに笑います。
「うちの人を見て、びっくりしちゃったんでしょう?
初めての人は大体そうなるわ」
豚ちゃんにも有効なのねぇと言いながら、ティカルを抱っこしてどこかに連れていかれます。
トンと乗せられたのは、どうやらテーブルのようです。
そして真正面に、あの時の魔王のような大男がいました。
「ブヒっ」
ピンっと短い足を突っ張って緊張を露わにするティカルに、大男は苦笑します。
「ひどいなショコラ。子豚くんも、そんなに怯えないでくれ」
「そうだぞ空豚。俺の恩人なんだからな」
ティカルの後ろから発せられた声に、はっとティカルは振り向きます。
椅子について笑っていたのはエンでした。
「ピィ!」
「やぁ空豚。驚かせてごめん」
木に押さえ込まれて気を失っていたことを思い出したティカルが、嬉しげに近付きます。その頭を撫でながらエンはにっこりしました。
「しかし感心な子豚もいたものだ。主人のために鳴いて知らせるなんて」
「こいつはたまにすごく人間臭いときがあるんだ。
あ、それと、空豚はペットじゃなく、旅の仲間だ。俺は主人じゃないよ」
そうなのかと不思議そうに頷く大男に、エンは少し聞きにくそうに尋ねました。
「あの、貴方はもしかして、魔物の血が混ざっているのですか?」
その風貌と、あの怪力です。実際には、エンは木を持ち上げる男の人を見ていなかったのですが、気がつくまで軽々と背負われていたので、力持ちなのだろうと察していました。
遠慮があるのか、遠慮がないのかわからない質問に、男の人は笑って頷きます。
「あぁ、もうかなり薄くなっているはずなんだが、俺には魔物の血が混ざっている。
時折俺みたいな子供が産まれるんだそうだよ」
「でもソイは、こう見えて涙もろいし恥ずかしがり屋なのよ」
「ショコラ…」
ソイというのがこの男の人の名前で、ショコラというのが女の人の名前の様です。そして二人は夫婦のようでした。
困ったように笑うソイは、気を取り直して「んんっ」と咳払いします。
「君たちはスフレさんに会いに来たんだろう?子豚くんも起きたことだし、案内するよ」
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次のキリバンのリクエストが、ナッツのお話になるので、うまく繋がるといいなぁとか思っています。