一年以上前のものをひっぱり出します。
ちきうに宇宙船が現れて、挑んだもののとっつかまって、謎のエイリアンに種付けされちゃうぅ〜!というお話の続きのようなものです。
びっくりなことに(?)まともに人が話します。
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ここに来てどれくらい経っただろう。
ちきうを守ることを夢見て、命を投げ出す覚悟で入隊し、訓練や、その他諸々の嫌なことにも耐えてきた。
それが、どうして、自分はここにいるのだろう。
「ひ、ひは…ア、あんっ」
「ふふ、…んぎ、ぅああ」
「・・・」
獣のような声が誰のものなのか、わからない。同期生のような気もするし、先輩なような気もする。皆、すでに正気はなく、呻き声の中に、かすかに笑いが混ざっている。
「あ、ぁっ、産まれる!!…ひん、ァ、あひぃッ」
時折どこかが騒がしくなるのは、彼らの身から這い出てくる異形の申告の声。これをしないと拘束に苦しめられ続けるのだ。
「…ッ」
その声に触発されたのか、尻の中身が蠢く。気持ち悪い。
「…くそっ」
口から悪態が洩れて、まだ人語が話せたのかと我がごとながら少し感心してしまった。
そしてその悪態は、隣にも聞こえていたらしい。
「ジョーギか…?」
「っ…コンス小隊長?」
隣とは言っても、我々の間にはしきりがあり姿は見えない。体も、例の肉のような壁にすっかり取りこまれていて、自由に動かせるのは口だけだ。
隣の部屋にいるのは、俺が所属していた隊の小隊長のようだった。
「まだ、正気を保っていられたんだな…」
コンス小隊長はほっとしているような、しかし果たしてそれは幸せなのかわかりかねるような声で言う。
「小隊長こそ…、驚きました」
「…おそらく、お前と同じ理由さ」
あぁ、と納得してしまう。
俺も、そして小隊長も、隊のメンバーから凌辱された経験があったということだろう。昔取った杵柄というが、不本意ながら快感の流し方のようなものが、わかってしまったのだ。
しばらく無言だったが、コンス小隊長は話し相手が出来て嬉しいのか、また話しかけてくる。
「ここで正気なのは、俺とお前しかいないようだ」
「そうなのですか?」
「お前、移動させられた事はないのか?」
「移動?ありません。ずっとここにはまりっぱなしですよ」
すると小隊長は、何度か移動させられたことがあるらしく、その度に正気を失ったものと入れ変えられ、徐々に右手の方向へ動かされたのだという。
「たぶんここが『端』なんだろう。何を意図してるのかはわからないが」
「…小隊長、腹は?」
堪らずに聞く。実はさっきから、久々の発声に驚いたのか、出てこようとしているのか、奴が活発なのだ。
息がはずんで、勝手に汗が出る。出てくるのを期待しているようで自分の体に腹が立つ。
「今はいない…。少し前に産んだんだがな。忘れられてるのかな?」
それなら嬉しいことこの上ないと、少し明るい声が聞こえる。「まぁそんなわけないか」と過度な期待を持たないように小隊長は鼻で笑った。
「お前は?苦しそうだな」
「はい…。もう、出るみたいで」
「我慢するな。さっさと申告してしまえ」
「ぅう、はい…、ん、っぅん、産まっ」
その時、呼んでもいないのにエイリアンが俺の前を通った。大声を出さなくても聞こえそうだと考えていると、奴は隣の、コンス小隊長の前に陣取る。
「なんだ、忘れられてなかったのか…、
ヒっ」
「しょ、隊長…?」
突然の小隊長の焦った声に、見えないというのにそちらを見る。
振動が伝わる。小隊長がもがいているのか。
「あ、あぅっ、ひぃ…助、け…ッ」
なんだ、何が起こっているんだ。見えない。あのエイリアンは何をしている。
「ジョーギ…っ」
「小隊長!し、しっかり!」
苦しげな声に、どうにもならないと知っていながら、もがく。
尻がよけいに疼きだす。
「すまな、い。もう、ッ駄目そうだ…ッ
あッぅ、アァあ、あっあっアッ、ひぎィーッ!!」
コンス小隊長から、それから人らしい言葉が返ってくることはなく、俺自身もいよいよ尻から出てきて、申告せざるをえなかった。
「んぁ、うんっ、産まれる!あぁ早く、取って…!ンンッ」
「アーッアー!ふむっんっ、んァアアー!」
正気を手放していくコンス小隊長の声を聞きながら、いっそのこと、自分も早くそうなりたいと、思わずにはいられなかった。
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書き終わって気付きましたが、人がしゃべると途端に暗い感じになりますね。エイリアンはもっとこう明るい感じがいいですね!!
お付き合いいただきありがとうございました!