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子豚な王子様54

令和元年、おめでとうございます。よろしくお願いいたします。

*****



不思議な男の人と、不思議な丸い生き物にぐるりと囲まれて、ティカルはちょこんと座っていました。
「で?お前はどこから来たんだ?カイと一緒の国?」
ティカルは少し考えて、プルプルと首を振りました。へぇ、いろんな世界があるもんだなぁと呟いています。
(…僕、ティカルっていうんだ)
「俺はユキ」
ティカルはウキウキしてきました。エンもティカルの考えていることを読み取ることは上手ですが、名前までは伝えることができなかったので、ずっと「空豚」のままでした。
「元の国、この場合は世界か?帰れないのか?」
ティカルは頷きそうになって、頷くことも、首を横に振ることもしませんでした。
(わからないんだ。いろいろな世界に行けるから、いつか、僕の世界にも行けると思うんだけど…)
あぐらに頬杖をついていたユキは、ふうんと呟きました。

「帰るの、怖い?」

ティカルがユキを見返すと、彼はじっとこちらを見ていました。まるで、回りの彼らのように自分も透明になって、すべて見透かせれているような気分になります。

(怖い?)
初めて考えることでした。もちろんプラムを思い出さない日はありません。さっきも、水に溺れて一心に考えていたのは彼のことでした。

しかし想うことはあっても、どうしたら会えるのか、その具体的なことなどを考えてこなかったことに気がつきます。
そして同時に、敢えて考えないようにしていたのだとも、気づきました。

それは、きっと、ユキの言うとおりだったのです。

(うん。怖い…。)
「何が怖い?」
促されるように尋ねられて、ティカルは目を閉じました。

(僕の世界は…、僕に、とても厳しい…。生まれたときから、ずっとずっと。

きっと、これからも…)

「…これからも、辛いことがあるだろうから、帰りたくないって?」
(帰り…たい。でも怖い)
「ティカル、お前を待っている人はいないのか?」
(いるよ。プラムっていうんだ」
考えるより先に、ティカルは即答していました。閉じたまぶたの向こう側で、ユキがそっと笑う気配がします。
「お前がいなくなったままだと、プラムの世界はどうなる?」
ふるりと、ティカルの肩が揺れました。プラムの今の気持ちを、いままで考えてこなかった自分をとても恥ずかしいと感じました。プラムだって、いえ、プラムこそ、とても厳しい世界で今までずっと戦ってきたのだと。

その上で、ティカルの首飾りで守られて、そんな厳しい世界に取り残されて、ティカルはたまらなくなって涙が出ました。

「プラム、プラムぅ…っ、ごめんね」
泣きじゃくって目を擦っていると、頭を撫でられました。
「想う力って、強いんだ。
どんなに世界がお前に厳しくても、忘れるなよ?」
そう言って、ティカルの手を握ります。その感触がとても鮮明で、ティカルは涙を払うように一生懸命瞬きをしました。
「あっ…!」
手を、蹄ではない人間の指を、じっと見つめました。見下ろすと、お腹が、ひょろりとした足が。
「もどってる!」
ユキがニカっと笑います。
「な?想う力って強いだろ?」


*****

ユキがレジェンドになりつつある…(笑

子豚な王子様53


*****


ふわふわと意識が戻ってきて、ティカルは目を開けました。
「ぶひ?」
立ち上がって周りを見回すと、どうやらティカルは森にいるようです。そして、泉のキラキラした水面を見て、ようやくここに落っこちたのだとティカルは思い出しました。

エンはどうしたのだろう。いつもなら、いっしょに違う世界にいけるはずなのに。そう思いながら、ぼんやりと泉を覗きこみます。
綺麗だなぁと眺めていると、次第に先ほどまでの記憶が蘇ってきました。
水に落ちたとき、誰かが助けてくれたような気がしたのです。両脇から腕が伸びてきて、通せんぼをする何かを叩いてくれました。
叩いた感触が柔らかかったなぁと思っていると、だんだん不思議な気持ちになっていきました。

どうして柔らかいって知っているんだろう?
蹄で引っかいたから?
でも叩いた感触を覚えてる。

うぅん?と泉を睨みながら頭をかしげていると、水面がゆらゆらと動き出してではありませんか。
「ぴぎッ」
慌てて飛び退くと、水面を割るように大きな何かが現れました。
水しぶきがかかって、思わずプルプルと体を震わせます。

「あれ?カイが来たのかと思ったら、子豚じゃねぇか」

水の中から出てきたのは、なんと人でした。ありえない位、長く息が止められる人なのかしらとティカルは不思議そうにその人を見つめます。

「子豚?うん?人?」
同じように四つんばいになって、彼もティカルと同じように不思議そうに見つめてきます。
どうしてこの人は服を着ていないのに堂々としているのだろう。とティカルは声が出せたら聞いていたかもしれません。

「服はここに来るときに捨てちまったからな」
「ブヒ?!」
まさか思っていたことに返事がくるとは思っていなかったので、4本の足と尻尾が思わずピーン!となりました。

「お前、本物の子豚じゃないな。あと、カイに会ったことがあるだろ?あいつらの気配がする」
どちらも正解だったので、ティカルは大きく、何度も頷きました。カイは、こことは違う森の、小さな家で暮らしていた車椅子の青年のことです。
「カイ、元気だったか?」
それにも大きく頷きます。すると青年はにっこり笑って、座り込みました。
「そっか。なぁ、お前のこと教えてくれよ。来客は久しぶりなんだ」
心の中で思えば、お話できるのかしらと思っていると、「そうそう、そんなかんじ」と頷かれます。
ティカルは、久しぶりに言葉が通じ合える人に出会って、とても嬉しくなりました。

「ブヒっ(あのね!僕の名前は)」
「あ、ちょっと待ってくれ」
しかし意気込んで話そうとしたら、男の人に遮られてしまいました。鼻からプスーと空気が抜けるのがわかります。

「おーい。恥ずかしがってないで、出てこいよ」
「ピぃ?」
彼が泉を振り返ってそう呼びかけます。ティカルは、まだ息が続く人がいたのかと驚いていると、だんだん、水面がゆらゆらし始めて、

丸くて透明な、不思議な生き物が現れたのです。しかもたくさんです。

「ぴ!ピキィっ!!」
「俺の家族だ。よろしくな」
そういってはだかんぼうの男の人はにっこり笑ったのでした。



*****



子豚な王子様52

暖かくなってきましたね!子豚を書いていきます〜
メール、そして拍手にてコメントくださった方々、本当にありがとうございます!お礼が遅くなってすみません。


*****

闇の中を飛んでいるのか沈んでいるのか、わからないまましばらく、ティカルは下のほうからグイっと引き寄せられる力を感じました。
「空豚?!」
エンもこの移動方法に慣れてきていて、油断していたのでしょう。つるりと手が離れて、ティカルだけまっさかさまに落ちてしまいます。

「ぴぎ!ピーィ!」

ポッチャン、と思っていたより大人しい音が聞こえました。どうやらティカルはまた水の中に落ちたようです。
一番最初にエンと出会ったときは、高いところから水に落ちたため、その衝撃で気を失ってしまったティカルでしたが、今回は目を開き、キョロキョロとあたりを見回しました。
かなり深く、そして澄んだ水の、円形の泉のようです。しかしそろそろ息が苦しくなってきて、ティカルはわたわたと水面に上がろうともがきました。

もう少しで水面、もう少しで空気、と思ったときです。ティカルはどうしてか、そこから先に進めなくなりました。
空がそこに見えているのに、見えない壁があるようにティカルがどんなに鼻を押し付けても、小さな蹄で引っかいても、上がれないのです。

だんだん体が動かなくなってきました。

(いや、嫌だよ…。プラム…!!)
咄嗟に、脳裏にプラムの顔が浮かびました。ニータの呪いを解くために、首飾りを渡したとき、もう一生会えなくなることは覚悟していました。
それでも、このまま死んでしまうと思った瞬間に、それは嫌だと、また彼に会いたいと強く思ったのです。

霞む視界の中で、ティカルの両脇からにゅっと二本の腕が伸びて、見えない壁を叩くのを見ました。ふしぎと柔らかい感触の透明の壁は、驚いたようにすーっと動いていきます。足をばたつかせると思いがけず力強く水を蹴ることができました。ぐんぐん水面が近づいて、

「ぷはぁっ!!」
ようやくティカルは空気にありつけることができました。岸が見えたので、くらくらする頭でどうにかそちらに近づき、手にふかふかの草の感触を感じて、どうにか這って、上半身を陸に上げます。

「プラム…」
生きていれば、また会えるかな?そんなことを考えながら、ティカルは意識を手放しました。

*****

子豚な王子様51

明けましておめでとうございます!
亥年ということで、今年の目標はまずは子豚を完結させたいです。気長すぎ!


*****


「・・・」
細身の男の人がいなくなって、しばらく、ルエドと呼ばれた人もエンもなかなか話しませんでした。
しかしようやく、窓を背にした男の人がため息をついて尋ねます。

「時空を操ったのか。自力で?」
エンは向こうから質問がくるとは思っていなかった様子で、少し迷ったように口をパクパクさせました。
「…いや、この子豚が」
「ぶひ?!」
まさかこちらに話が飛んでくるとは思っていなかったので、ティカルは思い切り鼻を鳴らしてしまいました。ルエドはちらりとこちらを見ましたが、すぐに興味なさそうにして、椅子に腰掛けます。

「だがここに来ようと思ったのはお前の意思だろう。豚が魔王の城に来ようと思うか?」

魔王と聞いて、ティカルは足と尻尾がピーンとなるのを感じました。道理でこの城は禍々しい雰囲気があるはずです。角の生えた人がいるのも頷けます。

「俺は…納得するまで、見極めようと思って」
時間をかけて、エンはそういいました。ルエドは落ち着いた声で「見極める?」と頬杖をして繰り返します。
「魔王は、必要なのか?いなくても、世界は回っている。小さな悪事はあっても、大部分は平和だ」
「ふ、そうかもな」
エンの言葉にルエドはクスリと笑います。その落ち着きようがエンは気に食わないのか、むっとした顔をしました。

「人間にとって、余は必要のない存在だろうな。次から次に、勇者と名乗る馬鹿共が余を屠りにくる。よく飽きないものだ」
「そうじゃなくて、俺が言いたいのは…」
エンが言いかけるのを、すっと手を上げてルエドは止めました。ティカルは「もしかして、この人が魔王なのかしら?」と角も牙も生えていない男の人をまじまじと見ていました。

「この城の周りは、元々小さな国が多かった。小競り合いも多発して、生まれるだけ死ぬような時代があった。
だが今は、余を倒すために国同士が結託、合併を繰り返して、大きな国になったようだ。同じ国だから、当然小競り合いも激減した。

どうだ?なかなか余も役に立っているだろう?」

どこか馬鹿にしたように、魔王はそういう言いました。
「余は時代を変える存在だ。時代が余を求める。お前も、いずれ時代に呼ばれる時が来よう」
お前、と言われて、ティカルは誰のことかしらとキョロキョロしました。ふと見上げると、エンがくっと唇を噛んで下を向いています。
「ピィ…」
ようやくティカルは、なんとなくを察することができました。
ルエドという人は、きっとずっと昔の人で、その時代の魔王なのでしょう。そしてエンは魔王の後継者なのです。だからエンは、旅をしながら、ずっと悪いことや魔王のことを気にしていたのです。

しかしそれを知っても、ティカルはエンのことを怖くなったりはしませんでした。同時に、ルエドという前の魔王のことも見れば見るほど、エンに似ているように感じて、怖いとは感じませんでした。

魔王はぼそりと「飽きたな」と言って、立ち上がります。そしてニヤリと笑いました。
「隣の部屋に、お前の母親がいる」
「ユウが?」
「ちょうど今、お前を身篭って、哀れなほどに苦しんでいるぞ」
ティカルもエンもはっとしました。ここに来る途中、うめき声が聞こえる扉の前を通ったのです。きっとあそこに、エンのお母さんがいるのでしょう。エンが今にも走り出しそうな雰囲気を出しました。
しかしそこで魔王が、
「行くのか?アレを助け出したら、お前はどこの世界にも存在できなくなるぞ?生まれないことになるからな」
そういわれて、エンはビクリと動きを止めました。扉に伸ばしていた手を、ゆっくり体に引き寄せます。

「懸命だ」
やはりこの人は、魔王なのだとティカルはぞっとしました。わざわざお母さんの話をして、エンを怒らせなくてもいいのに、そうしたら分かり合えるかもしれないのに、と思いましたが、魔王はそれを拒否しているようにも見えました。

「さぁ、そろそろ帰ってもらおう。一つの時代に魔王は二人もいらぬ」
魔王が片手を挙げます。
「下ばかり見てないで、よく見ろ。時空はこうやって操るのだ」
「え?」
エンが思わず顔をあげると、魔王の上げていた片手から渦が起こり、黒い闇が広がりました。いつもはティカルの足元に起こっていたものです。
「ピィ!」
びっくりしていると、強い風を感じて、ふわりと体が宙に浮きました。闇がティカルたちを吸い込んでいます。エンは咄嗟にティカルのお腹を掴みました。
「まだ!話が!!」
エンが吸い込まれながら言いますが、巻き込まれないよう闇から一歩引いた魔王は面倒そうに首を振りました。
「埒が明かぬ。お前と話すのはもう飽きた」
「なんだよ!」
まるで小さい子供のように癇癪を起こすエンに、魔王はふっと笑います。
「なかなか新鮮で楽しめた。思いがけず情報も得られたしな」
「ブヒ?」
エンが「情報って何」とまた大声を張り上げようとしている途中であたりは真っ暗になり、魔王が時空の扉を閉めてしまったのだなとわかりました。真っ暗の中でエンがブツブツとぼやいています。それがいつものエンよりも幼く感じられて、ティカルは人の姿だったら笑っていただろうなぁと思うのでした。



しんと静かになった部屋で、何もなくなった空間をぼんやりと見る魔王の姿がありました。
「ユウ、か…。」
そう呟いて、少しだけ口の端をあげたのでした。


*****

リハビリにお付き合いください。


子豚があんなかんじなので、たまにはエロを書いてみようという試みです。
大丈夫かな。。とにかくやってみます!


*****


「んっ…、竜逞、」

胸に沈む頭を抱いて、惣之助はもじもじと腰を揺らす。
じゅっと粘度のある音が聞こえて、「あぁ」と喘ぎながら顔に血が集まってくるのを感じた。

「そこばっかり、だめだって…」

少年の頃の細く骨と皮だけのようだった体から、青年期を終え、惣之助はいまや立派な成人になっていた。
立派と言っても、隣に竜逞がいたのではどの男も細身に分類されてしまうのだが。

背も高くなり、帯を締めた細腰から伸びる足はしなやかに、上にはそれなりに厚くなった胸と、なかなか小奇麗な顔が乗っている。
しなやかな足も、毎回余すところなく舐めしゃぶるほど竜逞のお気に入りだが、とりわけ彼は惣之助の乳が好きだった。ほどよく脂肪が乗り、弾力があって、真ん中には普段はつつましいのに、挨拶するとまるで返事をしているようにツンと尖る。そこが健気で可愛いと、吸ったり舐めたりを止めてくれない。

乳輪がとりわけ感じることなどとっくに知られていて、クリクリと舌を尖らせて舐められて、くたりと体から力が抜けた。

「大丈夫か、惣」
「ん、も…、こっちを…」

腰を抱いていた手を剥がして、尻を掴ませる。竜逞は嬉しそうに笑いながら、しかしまだ乳へ未練があるのか、ちゅ、と吸い付いてようやく開放してくれた。

昔から竜逞は準備に恐ろしいほど時間をかける。ほろほろのぐずぐずに解けて、惣之助が「やだお願いばかもう入れて」と懇願してもなお、穴を解し、全身を撫で、口でも指でも、持て得るすべてで惣之助を愛すのだ。

「あぁっ、はぁ、竜、て…ッ」

自分達で建てた酒蔵の奥の部屋の、持ち込んだ布団の上。尻を高く上げて、惣之助は潤んだ目を竜逞に向ける。

「欲しいっ…早く」
「あぁ・・・」

ここのところ忙しかったため、抱き合うのは久々だった。竜逞も実は切羽詰まっていたらしく、鼻息荒く惣之助に覆い被さる。油を使って解かした穴がヒクヒクと動くのが、先端を当てた竜逞に伝わっているだろうか。

「んぁ…ッヒ、」

ぐぬと押し入ってくる塊に、ガクガク腰が震える。耳もとで竜逞が堪らなさそうに低く呻くと、キュンと穴が絞まり、二人して間抜けな声を上げた。

「アァッ、きも、ち…。竜逞、りゅうてぇ」
「惣…、動くぞ」

コクコク頷いて了承を示すと、がっしと腰を捕まれた。

**


「ハァー、ハァーッ」

この場から一歩たりとも動いていないのに、どこへ走ってきたのかというほど、二人の息は乱れていた。あれから正面から後ろから抱き合って、今はまた正面で抱き合って、惣之輔の間には竜逞が挟まっている。

「抜くぞ」

額の汗をぬぐおうとしても手が動かせないなとぼんやり惣之助が考えていると、しばらく脱力していた竜逞が体を起こした。しっかりと腕で自分を支え、慎重にはまっていた穴から抜け出していく。
「んぅ」と鼻にかかった声を上げて、それを見る。すっかり抜け終えて、惣之助の足の間でなぜか正座した竜逞は、ほぅと満足したように息を吐いた。

「疲れた?」
「大丈夫だ。待っていろ、湯を持ってくる」

そういって着物を手繰り寄せる竜逞に、珍しく「あぁ、ちょっと待って」と事後はほとんどぐったりして話すこともできない惣之助が引き止めた。

「どうした」
「う、うん。あのさ」

これ以上恥ずかしいこともないだろうというほど、互いに曝け出しているのに、惣之助がモゴモゴと口ごもる。再度竜逞が問うと、ひっくり返ったカエルのように寝転がったままの彼は、そっと口を開いて。

「膝を、閉じさせてくれるか…?
力が入んなくて、さ」

えへへ、と照れを隠すように笑った惣之助の胸に、竜逞は何も言わずに突っ伏した。

*****

閉じたくても閉じない膝、好きです☆
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