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「だ、だめ…ッ煉鬼、さま!」
小声で必死に呼びかけ、服を剥ぐ手を止めようとばたつかせるが、煉鬼は抵抗とも思っていない様子で臣を裸に剥いた。
「夜にいらっしゃるお客さんもいるって、宿の主が…っ」
特にこんな、月明かりのきれいな夜などは人気なのだと、手を引かれながら説得する。
無人の露天風呂。鬼はあと一歩で湯船、というところでやっと振り返った。
「ね?お部屋に帰りましょう?」
「妹がいるだろ」
うっと言葉につまった臣だが、ここで折れてしまったら、こんな解放的な空間で事に及ぶことになってしまう。
外での経験がないわけではないが、こんなに月が明るいとお互いの体もよく見えていたたまれないのだ。
「こ、声を…っ
我慢するから」
以前の臣なら「それなら今日はやらなければいい」というところだ。
それを恥ずかしそうにではあるが、行為自体を拒まなくなってきたことに、煉鬼は少し嬉しくなった。
「声を抑えるんなら、ここでも変わらないだろ?」
「れん…ッ」
驚いた声とザブンという音がほぼ同時に上がる。
煉鬼に抱えあげられて、強制的に入浴してしまった臣は、顔にしたたる水をぬぐった。
「煉鬼さま…」
「嬉しいんだぜ、俺は」
え?と首を傾げる臣の体を早くもまさぐりながら、続ける。
「名を呼んだだろう。おかげで、早くお前を見つけることができた」
さきほど、「どうしてるかな、煉鬼さま」と呟いたことを言っているらしい。
煉鬼が本気を出せば、臣たちを見つけることは容易いだろう。しかし、それをする前に臣のほうから名を呼ばれたことで、すぐに辿りつくことができたというのだ。
そう嬉しそうにいわれては、もう臣は煉鬼に身を任せるしかない。
鬼は喜々とした様子で、臣を風呂の縁に座らせた。
「今日は一段とお前がよく見えるな」
風呂からたちのぼる熱気ではない熱で、臣は顔を真っ赤にした。
膝を割り、煉鬼が牙を覗かせながら口を開く。見せつけながら臣のものを含む。
「あぁっ、ひ、ッんん…っ」
ビリっと背に走った快感に、慌てて臣は声を殺した。
その様子を面白そうに見上げ、煉鬼が大きな口で、あるいは長い舌でしゃぶる。
パシャ、パシャ、と引き攣る足に蹴られて湯が音を立てた。
「ぁうウ…!!」
「まだイくなよ?お楽しみはこれからだからな」
いよいよイきそうになって、臣の腰が立たなくなり後ろに倒れ込みそうになった頃。
しかし煉鬼は急に臣のそこから顔をあげると、臣の腰を掴んで湯船に引き摺りこんだ。
「んっ、あつい…」
「そうだな。早く終わらせたいだろ?」
煉鬼の問いに、臣は「んー」と是とも非ともつかない返事をする。実際、すでにのぼせそうになっており、あまり深く考えられていなかった。
そんな臣を膝に乗せ、乳首を舐めながら無遠慮な指が臣のそこを掻きまわしていく。
「んぁ、あっ…れん、ぁア…」
いよいよわけがわからなくなって、臣はきゅっと煉鬼の頭に抱きつきた。
縋る相手は自分だけだといわれているようで気分のいい煉鬼は、力の抜けている臣に自分の腰をまたがせる。
「入れるぞ」
「ふぁ、…は、い」
「おー!ホンマにここの風呂からの月は格別じゃのお!!」
「人がはけるのを待った甲斐がありましねぇアニキ!」
「さぁさぁ月見風呂と洒落込みましょう!」
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すぐ書こうと思っていたのに遅くなってしまいました。
ひっぱってすみません★
このシリーズを気に入ってくださっている方がいて嬉しいです。