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宿屋で寝ていた鬼、煉鬼は緩慢な動作で、立てた肘に頭を乗せる。
「都ぉ?どうしてだ」
散歩から帰ってくるなり、臣は「都に行きたい」と言いだした。
どうしてと言われて、臣は一瞬躊躇しながら、口を開く・
「と、遠い親戚がいるんです…」
嘘だ。煉鬼はすぐに見抜いた。
また、その様子で何のために都に行くのか、理解する。
おそらく自分のことを陰陽師に相談したいのだろう。
やれやれと、心中で煉鬼は溜息をついた。
臣は、鬼と契るということをまだわかっていないのだ。
「だ、だめ…?」
しおらしく尋ねる青年に、煉鬼は「うーん」とやる気のない声を上げる。
彼の血、肉、骨、そして爪に至るまで、「嫁になる」と誓った瞬間から、もう臣は煉鬼のものなのだ。
そしてそれは、逆もしかり。
「…まぁ、いいだろ」
ほっと胸をなでおろしている臣の横には、まだまだ幼い少女がちょこんと座っている。
約束だ。この子供が年頃になり、無事に嫁入りするまでは、煉鬼は臣を連れて行かない。
そうなれば、いつまでもこんな小さな村にいるより、にぎわいのある都に行った方が、煉鬼としても面白そうだと思った。
夜、
「臣、ちょっと来い」
さっそく都へは明後日出発することにした。
都への道のりは長い。明日はその支度をする予定だった。
寝ているタミの布団をかけなおしている臣に、煉鬼が顎をしゃくって外を示す。
「え?どこへ」
「ヤるんだよ。そいつの横じゃ、嫌なんだろ?」
暗い室内でもわかるほど、臣の顔に朱が走った。
昨日の、そして今朝のあれこれが思い出されて、無意識にもじもじと腿に手を挟む。
「でも、タミを一人にするわけには…」
ふ、と鬼が鼻から息を吐く。
呆れられたのだろうかと、臣が彼を見ると、鬼はおもむろに自分の左目に手を当てた。
指にぐっと力が入る。
「…ッ」
「れ、煉鬼さま!?」
ぐちゅ、という生々しい音を立てて、何のためらいもなく鬼は自分の左目をむしり取った。
慌てる臣に、「静かに」と言って、無造作に目玉を畳に置く。
「これで、何かあったらすぐにわかる
大丈夫だ。また戻せば問題ねぇ」
開いた口がふさがらない臣に、煉鬼はおかしそうに笑ってくぼんだ眼球に、どこからとりだしたのか、代わりになる玉をいれた。
「おら行くぞ」
「えッ、ちょっと!」
痺れを切らしたのか、煉鬼は掬うように臣を抱き上げて、カラリと障子をあけた。
ちなみに、ここは二階だ。
「わ、ッわ…!」
ひゅうと頬を撫でる風に、思わず臣は煉鬼に抱きつく。
それをちらりと見下ろして、鬼はまた笑った。
「落っこちるんじゃねぇぞ」
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なんやかんやしていたらうっかり11月になっていてびっくりしました。
のっけから言い訳しつつ、こんばんわ!
グルとチュヤ、更新しました★
なんやかんや、何していたのかと申しますと、もう今日のタイトルで察した方も多いかと。
ええ。
咎・狗・の・血(PC版)をはぁはぁしながらプレイしてました。
(以下、もしかしますとネタバレになるかもしれません。
お気を付け下さい)
いつものパターンですが、なめてました。
きっとちょっとグロい表現があるから、成人指定されてるんだろうね、と思っていましたが、
とってもエロゲーでした。ごちそうさまでした。
個人的にはオイチャンが好物です。いいですよね!包容力のある無精髭!ね!