話題:同棲

自然と彼の好みに染まる。彼がこれは食べないから買うのはやめようとスーパーで食材を選びながらそんなことを思った。長く一緒に過ごすようになると沸点がどこにあるのかがわかるようになる。こう言えば不機嫌になるか怒る、こう言ったら喜ぶ。生活の知恵のように自然とかわしていけるようになる。けれど、たまには衝突もする。すべてを理解なんてできないし、心の調子でそんなことをするのさえ疲れてしまうこともある。寝て、起きて、仕事して、帰る。単調なリズムで繰り返される日常は生活というタイトルをつけた曲のようにつづいていく。


そんな生活を投げ出したくなるときもある。どうしてあたしばかり思っては、身体に溜まっていたどろどろとしたものがあふれそうになる。手を抜くことも必要だ。「きみはいつだって100%の力でやろうとする。常にそれでは疲れてしまうから、70、80%くらいのときもあっていいんだよ。」そう言われたことを思い出す。学生時代すきだった先生に言われた言葉の意味をちゃんと理解するようになったのは、それから何年も後だった。日々の家事を知らぬ間にすべてをあたしがやるようになっていて、それがやらなくてはいけないと強迫観念のように押し寄せる。彼はそんなことで悩むなよと相手にはしてくれないし、手伝わない。自分の時間と家事をする時間の両立、割合、どうしたらいいバランスを保てるようになるのだろう。嫌ならやらなければいい、やってくれと頼んでないと彼は言うけれど、散らかすのは彼のほうでそれを片づけないのも彼で、掃除をしない部屋に何年もいた彼とあたしのきれいの基準はだいぶちがうのであろう。やってしまえばスッキリするのにやる前に考えてる時間は重たいものを抱えているような気持ちになる。もっとうまく生きれたらいいのに、そう思いながら今週の家事スケジュールを考えてしまう。これは性格、あたし自身に根づいた習性。あたしと彼は家事のことになるとまるで惑星がちがうくらいに言葉が通じなくなる。