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世界観に恋をして

話題:映画感想

今敏監督は昔からすきな監督で、リアルな絵がアニメなのに実写のようで、音楽や街並みなど細部までもがオシャレで、うっとりする。小、中学生時代に出会った今敏監督作品。当時は理解もほとんどできていなくて、改めて観るとこんなにも深く、おもしろかったのかとよりすきになる。「パプリカ」が上映されてたとき、友人と観にいくのか悩んだことを今でもおぼえている。中学生くらいだった当時、観ても内容の半分も理解できなかっただろうけどスクリーンで観たかった。理解できなくても、脳裏に焼きつけておきたかった。そんなふうにおもえるくらいにきれいな映像、印象的な音楽、人間のリアルがたくさんつまっている。


今敏作品の感想を。
「パプリカ」こんなにもワクワクして、ひきこまれる映画は久しぶり。きれいな映像、細部までのこだわり、リアルなアニメーションは人間の生々しさを浮き彫りにする。圧倒的な映像美に、心地よい音楽はずっと聴いていたくなる。

「千年女優」千代子の女として、女優としての生涯を現実と作品を織りまぜ物語はすすむ。まっすぐすぎる想いは少女のまま、いつまでも歳をとらないのに肉体は順調に歳をかさねる。会いたくても会えないもどかしさが痛いほどわかる。そして、ラストにわかるかなしき事実に胸が押しつぶされる。最後の千代子のことばはとてもすてき。

「パーフェクトブルー」20年もまえの話なんてうそみたい。現代のようなテーマはサイコパスさをひきたてる。ほんとうに絵がきれいで、それがよりスリリングさを際立てる。いつの時代もアイドルは消耗品のようで、その道具さを事務所や仕事がものがたっていて、精神が混濁し、それでも踏ん張りつづける姿はつらかった。現実とドラマの区別もつかないほどにうつろな目があなただれなの?と追いつめる。ラスト犯人の正体に個人的にはおどろいた。

「東京ゴッドファーザーズ」たまたまみつけた赤ちゃんのキヨコを守るホームレス3人は勇ましく、おもしろい。どの映像もすてきだけれど歩道橋のハナとミユキのシーンのきれいさはわすれられない。ハナとギンの痴話喧嘩、3人の掛け合い、ハナの俳句がおもしろいからこその、辛辣な世間の攻撃は残忍にみえた。偶然が奇跡のようにかさなり、ラストは感動的でもあり、やはり偶然のような奇跡が起こる。クリスマスの日にもう一度観たくなる。

そして、いまは「妄想代理人」を観ている。ふしぎな世界観でおもしろい。あと何話かで観おえてしまうのがさみしい。今敏監督はもう亡くなっているので新作を観れないのが残念でならないけれど、世にでている作品はどれも傑作なので何度みても飽きない。最近のオススメ、すきなもの。

パリの砂漠、東京の蜃気楼

話題:読書

金原ひとみのエッセイ「パリの砂漠、東京の蜃気楼」を読んだ。小説はいくつも読んできたがエッセイを読むのははじめて。たまに読むインタビューよりもたくさんの金原ひとみ自身のことを知れるなんて贅沢すぎる。昔から金原ひとみは買って読んでいる作家さんで、綿矢りさも途中までは買っていたけれど途中からやめてしまったのは、あたしのなかで綿矢りさとの価値観が変わってしまったからだろう。ちょうど、私をくいとめて辺りから。金原ひとみも一時期は読んでいてわからないなと思うこともあって、もう前のような蛇にピアスやオートフィクションのようなものを読めないのだろうかと思ったときに読んだ軽薄のうれしさ。どの作品もすきだけれど、軽薄は上位に君臨するほどにすきになり何度も読んでいる。金原ひとみ自身、結婚や子育てとあたしとは環境もちがうし、そういうなかで生み出すことばに共感ができなくなるのは仕方ないのだと思っていた。けれど、金原ひとみの価値観や芯のブレなさについていきたいと思っていたし、今もなおファンである大きな理由はそのふたつだとも思っている。それはエッセイを読んでから深く感じたことで、環境も経歴も容姿も趣味もちがうのに考えることが似ているという勝手な共感。いつまでも考え方が若いというか歳をとらない。重ねたことで経験したこともあるけれど芯はブレない。いつまでもピアスを開けるし、鬱になる。そんな金原ひとみの絶望しながら生きているところに惹かれる。

一冊まるごとのエッセイは読みごたえがあり、金原ひとみという人物をすこし知れた気がした。子育てしながら仕事をしお酒を飲み鬱になる。今まで読んできた小説のなかにいた主人公たちに似ていた。十年近く、作品を読んでいてはじめて知った。金原ひとみに共感し惹かれる理由を。子育てで手一杯のときに執筆した小説と一段落したあとの小説のちがいは金原ひとみ自身が子どもを生む前の状態に戻ったからという感覚があったから。だから、軽薄辺りから前に戻ったような感覚がしたのだろう。金原ひとみ自身のなかでも変化があった。子育てをしながらも母親すぎないけれどその母親らしさが金原ひとみらしいなと思った。フェスによく行き、音楽に依存してしまうのもよくわかるし、聴いている曲やバンドが気になった。そして、恋愛をだいじにしているところ。崇拝的に祈るように恋愛を軸に生きているところは金原ひとみらしい。読む前に予感していた、金原ひとみをさらにすきになるだろうというのは予感よりもずっと当たり前で、すきになった。
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