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一年越しの発芽

話題:嬉しかったこと

なんと、なんと、お兄さんとお話ができた。立場的に話すのはむづかしいんだけど追いかけて、あの、と一声。彼は爽やかに、なんですか?と振り返った。離れていた数段を昇り、二人の距離が2段くらいになったところで、以前は、あのようなものをお渡してすみませんでしたと謝る。あたし、今日で最後なんです、と言えば、少し驚き顔のお兄さん、そうなんですかと答えてくれた。緊張からまとまらない言葉を紡ぎながら、あなたに会うのが楽しみでとか助けられてとか告白まがいなことをひたすら紡ぐ。所々で相槌を入れてくれながら、沈黙。どうしようと思っていたら、彼の方から名前はなんと言うのですか?と尋ねてくれたので、あたしも尋ねたら、珍しい名前で気さくに珍しいでしょう?と会社にも僕しかいないんですと言っていた。そのあとも次は、どんなお仕事を?と仕事の話をして、前に貰った手紙はなくしてしまったとまさかのカミングアウト。驚きながらも淡く期待。もしかして、ほんとは連絡してくれようとしたのかな、なんて。僕、この辺うろうろしてるから、その時はよろしくねみたいなことを言ってくれて、お別れ。

名残惜しさが残るまま、急いで扉の中へ。脚はガクガク震え、緊張していたことを実感した。初めて見た時から恋に落ちて、目で追っていたひとが目の前に。夢のような時間で泣きそうだった。もう一度だけ会えたらと思いながら作業をする。いつもなら、あと2回くらい会えるのに全然会わない。いよいよ、帰る時間が迫る、焦る。いてもたってもいられずに飛び出せば、さっきのように階段で遭遇。


「あ、」
「あ、」


互いに自然と声がこぼれる。笑みを浮かべてくれるお兄さん。反則だ、さっきまでの焦りや不安なんて溶けてしまう程。
当たって砕けろで、連絡先を聞いたら迷惑ですか?と聞けば、全然いいですよと、すんなり。え、と驚きながらもどうしようとアタフタ。あ、じゃあ、待ってて、とせっかく降りた階段を駆け上がる。待つこと数分、付箋にアドレスを書いて持って来てくれました。イケメン、付箋、どきゅーん。


帰宅して、メールしてみたけど返信ないです。気長に待ちます。

先に進むために

話題:片思い

あ、

きっと、こんな風に世の女性たちは恋に落ちていくのだろうと思った。あたしの身体のすべての細胞が彼を捉えて離さない。それくらいに引き込まれた。

右も左もわからないあたしの前に現れた、小さな恋の種。あたしは、それを大事に育てたいと思った。

それは、小さな恋の発芽。だれにも知られてはいけない内緒の恋。

何時頃、この辺に来ることを覚えてしまったなんて、ストーカーみたいかな、と思いながらも身体は勝手に来るかもしれないその場所へ向かってしまう。正直だ。本能の赴くままに、目的地へ。何気なくを装って、彼を探す。あ、こころの中でうれしさの声をこぼしながら、横を通りすぎる。目が合う。綺麗な琥珀色の瞳があたしを捉える。ぺこと会釈をされ、彼の残り香に包まれる。香水の香りさえ、あたし好みでその隙のなさに、不覚にもしあわせを噛み締めた。

行く先々で、彼の姿を探してしまうあたしは、恋焦がれると言うことばがしっくりくる程に溺れていた。彼のことを想っては、百面相、一喜一憂。決して、近づくことは出来ないけれど、妄想癖は治らない。

それから、幾日と歳月は流れ、うっすらと彼の記憶は遠いものに。現実味がなく、夢だったように感じていた頃、あたしの視線の先に、彼は姿を現した。

(ずるい、そうやって、忘れさせてはくれないんだ。)

彼になんの意図もないのはわかっているけど、彼は、あたしを簡単に喜ばせてしまうのだ。あの頃の気持ちが冷凍保存されていたように、溶けて、そのままの形であたしの元に戻ってきたようだった。


(おかえり)


喩え、叶わなくたって、恋することはやめられない。この気持ちを自然と思い出さなくなる日まで、あたしは、彼のことを想ったり、焦がれたりするのだと思った。

魅力的な、罪なひと。
そんな彼ともお別れに。

恋愛感情があるのか、ないのかわからない。だけど、気になってしまう。それをスッキリさせてから離れたい。そしたら、この想いも消化され、記憶へと書き変わるような気がする。

最後に一言かけるチャンスを神様、どうかください。

わからないよ、痛いよ

話題:ケンカ

彼の地元の知人が2年ぶりくらいに電話をかけてきた。生きてるの?死んでるの?って、飲み会の席で話になって、電話番号調べてかけてみたと言われたらしい。また飲もうぜ、なんて、2年もほったからしといたくせに彼をひとりぼっちにしたくせに今頃になって、掻き乱すようなことはしないでほしかった。それに、あたしは、生きてるの?死んでるの?って聞く人間はおかしいと激しい憤りを感じた。それでも、彼はそんな人間を庇い、会えるなら会いたいと言う。会わないでほしいと言えば、束縛いやだと言われた。

生きてるの?死んでるの?と酔っぱらって、小さなコミュニティーだけで生きている人間に聞く資格なんてないし、そんなこと冗談でも言えないと思う。それだけ、どうでもいい存在とか酒のつまみ程度にと彼を見ていないと感じ、嫌悪感を抱いた。それでも彼は、気にしないと、こういう奴等だからと言う。あたしが間違っているのだろうか。ノリが悪いだけなのだろうか。元々、合わない人種だったのかもしれない。

好きだから、嫌だった。そんなこと言われて気にしないなんて言えるのはいいことだけど、会えるなら会いたいと言う彼を理解することはできなかった。だれにも彼を傷つけてほしくない。守ってあげたい。確かに、あたしはよく知らないけど、そんな奴等よりは、楽しませてあげれると自信があった。だけど、それはあたしの思い違いで、培った時間には敵わなかった。

仲直りできるのかな。それとも、本気で別れた方がいいのかな。

素っぴんまでも愛してる

話題:デート

喧嘩してギスギスしていたから素直に喜べない自分がいたけど、当日になればわくわくしながら準備をしていた。



お昼は、カルボナーラとポトフ。おいしいおいしいと食べてくれた。

前日は、休日出勤したため、彼からなんのお洒落もしないで素っぴんでいいよなんて言うから、その言葉を鵜呑みにして素っぴんで会いました。そんなあたしを見て、素っぴんでずっといればいいのに、なんて言われちゃって、照れた。髪も横に纏めただけの適当な結わき方も新鮮でいいとか、なんとか。ただの盲目な気がするけど素直にうれしい。

そのあと、談笑したりお菓子食べたり、セックスしたり、お昼寝したり、夕飯食べたりしてると帰る時間に。途中までお見送り、今週はお泊まりをする約束もしているので、淋しいけどまたすぐ会えるね、とにこにこしている彼を見て、胸がぎゅっと痛んだ。

かつてない程に愛されてる。あたしだけなんだ、この人が愛しているのはと感じる。それは、今まで生きてきた中で初めてで、永遠なんて夢みたいなことを信じてしまいそうなくらいに甘かった。将来のことをようやく真剣に考え、自分の今の状況を理解し、行動すると約束してくれたから、こんなに甘い日々が得られたのだと思う。互いに不満や不安があふれていて、だけど、上手く伝えられなくて傷つけ合っていた。終わりなんて言葉に何度も直面して、その度に悩んで苦しんでもがいた。だけど、終わらせないで続けたから今がある。それは、確かなことでこれからも大切にしたいこと。人生を変えるような出来事を自分のために起こそうとしてくれる力を目にした瞬間、この人の傍でずっと支えようと思った。

マリアージュ・マリアージュ/金原ひとみ

話題:本の感想

6つの物語がそれぞれ、ちゃんと主張し、どれもがなくてはならないように構成されている短篇集。

試着室/年下彼氏との話。昔の自分と重なる彼を冷静に分析して見てしまう彼女と彼の間には、愛の意味も価値もちがうように思えた。恋人の存在がすべてで、あなたがいなきゃ死んじゃうと言ってしまう程に依存していた頃のように今は恋愛をすることができない。それでも、彼は少なからずそういう恋愛を彼女に求めていた。距離は縮まらず、トレンドを追いかけ、全身ブランドを身に纏うような彼女と子供っぽい彼では釣り合わず、破綻する。そうしてまた、なにかを埋めるように試着室でブランドを身に纏う。

青山/男性目線の物語。彼には、付き合ってるというか好きな人がいる。その人は結婚しているけど上手くいってないと言い、それを完全に信じていた彼。カリスマ的な夫とフリーターの彼。対照的な二人を愛する彼女は、それぞれが持ついいものを味わっているように見える。だけど、彼女の一番は夫で勘違いしていた彼は、それでも会いたいと思う彼女にだけど、その彼女が何だったのかもわからなくなる。

ポラロイド/思春期の頃の性欲を兄妹で満たしあっていた二人。その頃の写真を見つけてしまい、彼に問いただす彼女。狂ったようにその写真やら部屋の女性の写った物をすべて投げ捨てた。そうすることで彼の狂気は静まり、彼女を抱いた。寝顔に愛おしさを感じながらも、いつかは憎むだろうと思ったところに共感した。

仮想/出て行った妻、残された夫と子供。最初は嫌々としてきた子育てもいつしか愛情が芽生え、ひとりで育てようという気になった矢先、妻が子供を奪い、離婚届を置いて行った。妻を失うことは、夫婦の間での問題で男女の別れは、世間でもよくあることなので納得もできた彼に、娘まで失うということは想像することができず、ひとりになった時、ようやく、今までのことを悔いたりするのだろうなと思った。


婚前/彼の祖母が亡くなり、二人で葬儀に出席した。そこで、初めて親戚たちに会う。その中で彼との子供を育てているようないとこと出会う。それを確信させる証拠はないけれど、直感で気づく彼女。自分は不妊症だから不妊症でも捨てず、裏切らない男を探して見つけた彼だった。金原ひとみらしさに溢れたドロドロした男女の話だった。

献身/不倫してる彼女には、夫も不倫相手もなくてはならないものだった。だけど、真実は夫が彼女の愛を拒絶したことがきっかけのように思える。愛されたい人に愛してる人に愛されないのは、とても孤独だ。それを埋めるように不倫相手を求める。結婚しても付き合ってる頃と関係は変わらないのかもしれない。

すらすらと読める作品ばかりでした。
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