先日…



いつもの様に



怒り狂う母が



私に紙の手提げかばんを渡した。



銃撃の様な母の怒り口調に圧倒され



紙かばんの中を問う勇気も
母の前で覗く勇気も無く



ただ無言で受け取った。



母と別れて



気持ちが沈静化したころ



紙かばんの存在を思い出し



上から中を覗いてみた。



記念写真?



ちょっと分厚いアルバムっぽいものがある。



開いてみると



鑑定書だった。



そして



その紙かばんの底の



アクセサリーケースの中には



ダイヤモンドの指輪が入っていた。
 


昭和の時代に



父から母に贈られた



ダイヤモンドの指輪だった。



そして



1枚のメモ用紙に



『何にも 親らしい事出来ず ごめんね

私の形見です。』



そう書かれていた。