尋問



ちゅう太に色々聞くために



夫がちゅう太を座らせ



ちゅう太に問い詰める。



ちゅう太は黙ったまま



うつむいていた。



私は少し離れた場所で



うつむくちゅう太を



時々チラリと見ていた。







結局、ちゅう太は夫に責め立てられたまま



夫からの一方的な約束の元に



とりあえず話しは終わった。



私は夜…布団に入ると



ちゅう太にちょっとだけ話を聞いたが…



ちゅう太の表情は



何だか…胸に隠し秘めた思いが



沢山ある様な顔に見えた。







暴かれる真実



ちゅう太のカバンの中には



妖怪ウォッチのカードが沢山入っていた。



そして



そのカードの下から



まさに今日買ったと断定できる



ファミマのレシートが出てきた。



そのレシートは1000円札を払って



コロコロコミックを買い



お釣りを貰っていた。



そして



カバンの底から



沢山の小銭が



ジヤラジャラと



胸を切り裂く様な音と共に



現れた。








ちゅう太は



とうとう白状しなければいけない時が



やって来た。



知らないお金




ちゅう太がお金を持ってたって…



いったい何処から湧いてきたお金なんだろう?



家族の誰かから



貰ったお金だろうか?



とりあえず、家族に聞いて回った。



ところが誰も渡してない様子…



後はちゅう太に聞くしかないと思い



思いきってちゅう太を呼び出した。



ちゅう太は



『知らない』の一点張りで



認めない。



私たち夫婦は



一番やりたくない方法で



ちゅう太を問い詰める事しか



出来なかった。



それは



ちゅう太のカバンを



ちゅう太の目前で



調べると言う方法だった。







大変な惨事




その大変な惨事の前触れは



ちゅう太の友達のお母さんに出会った事から始まった。



買い物途中で出会ったそのお母さんが



私を見ると近寄ってきてこう言った。



『この間はありがとうございました。

うちの子がちゅう太くんに

ジュースごちそうになって。』



私は『は?』と思いつつ



とりあえず『あ、いえ。』としか言えなかった。



私はちゅう太にお金など渡しておらず



人におごれる様なお金を



ちゅう太が持っている事なんて



全く知らなかった。






中途半端な私は…




中途半端な私は…



貧乏クジを引いて



今の夫と結婚した。



結婚した当初は



そんな事は思わなかったけれど



夫が大企業から自営にとらばーゆした時から



私の人生は少しずつ



崩れ始めた。



その日暮らし
その月暮らしな
夫の収入を繕うために



過労な職場に転職し



その頃の倍近い給料を稼ぐ私も



そろそろ疲れてきた。



子供と向き合う時間も



以前より少なくなり



思春期を迎えつつある



ちゅう太としょう太の



心と身体の変化に



気付いてやることさえ出来なかった。



そして



大変な惨事が巻き起こる事を



知らずにいた。



前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2015年01月 >>
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31