残業…




そろそろ仕事が終わろうとしている頃



近くの歯医者から急患が来た。



どうやら歯の治療中に



銀歯が喉の奥に転がって



食道の入り口で止まっているとか…



急遽、胃カメラの準備を始めることになった。



当然…帰宅時間は遅くなる。



ギクギクしながら帰宅すると



母はいらいらモード。



予想的中…と言ったところだ。



今日、朝から始まっての



1日中の不平不満を



一部始終…私にぶつける。



疲れた心身に



かなり…こたえる。



たすけて…








研修旅行




しょう太が今朝から



小学校の研修旅行に行った。



朝、家を出発する直前に



私に手紙をくれた。



そう簡単には開けない様に



二つ折りにした手紙の四隅は



ホッチキスで止められている。



嬉しいようで…



不安だった。



しょう太が居ない夜を



2晩も越えないといけないなんて…



そう。私は



いつもしょう太に助けられて



この家で暮らせている。



そのしょう太が居ないなんて



怖くてならない。



しょう太からの手紙には



涙が出る様な事が綴られていた。



泣きそうな事が沢山あった今夜…



早く…



早く帰って来て…



しょう太。









イイカオ




母は外面がいい。



決して自分の本心を見せず



キバをむき出しにする事はない。



人当たりは良い様に聞こえるが…



それって…



良いことなのだろうか?



今日は…母の姉である伯母が来た。



伯母は…母と違って



他人にイイカオを見せない。



全身の自分でぶつかって行く…



初対面は良くないかも知れないが



伯母の本来の姿は



私にとって耀きを放つ…



何故なら全ての人に均等に響くから。



母の生き方は



敵を作ることは無いかも知れないが



その分、自分が溜め込んだ



全てのストレスを



私に当たることで解消するなんて



私にしてみれば



たまったもんじゃない。











病名



疲れたドクターが



カルテを事務員に手渡しながら



時々、言う。



ドクター:『この人、病名つけといて。』



そして事務員が



事務員:「わかりました。」



事務員はドクターが出した薬や



施された処置内容を見て



疑いを予想した病名をつける。




もちろん、ドクターが出した検査指示によっては



○○癌の疑い…なんてのもアリ。



こんな感じでついた病名に



落ち込む人が居るとしたら…



かわいそうで仕方がない。







だい太の彼女




だい太が彼女と別れた。



だい太の初の彼女である



『ゆか』と



とうとう決別の時が来た様だ。



それは私が待ち望んだこと…



そもそも『ゆか』が



何かしら嫌なことがあると



会ったことも無いだい太に



『死にたい死にたい』と連発していることは



しょう太を通じて知っていた。



私はそれを知ってから



だい太が『ゆか』と付き合う事を



反対していた。



そんな夏休みの後半に



だい太が『ゆか』と会うと言う。



待ちに待った?ご対面である。



だい太は『ゆか』へのプレゼントを持ち



緊張した表情で待ち合わせの場所へと向かった。



夕方になり



帰宅しただい太は



なんとなく…すっきりしない顔で



私に言った。



だい太:「やぱ、会った後って…これからどうなるのかな?とか不安になるよな…」



と…



そのうち『ゆか』からメールが来た。



『私たち…もうダメだね。』と…



だい太は「何故?」と聞き返す。



すると『ゆか』は



『もう…無理。』



とか、失礼な返信を返してきた。



私はだい太に



もう、ゆかと付き合うのはやめる様にすすめたが…



だい太はまだ目を覚まさない。



別れるだの別れないだの…



メールを繰り返していた。



すると



どこらへんからか?



『やっぱりやり直そう』



『ゆか』が言ってきたらしい。



二人は復活し



また、メール三昧なだい太が始まっていた。



ところが…



今になって知った真実…



『ゆか』は…



毎日毎日、暇さえあると



『だい太くん、私より可愛い子と付き合ったら?私はブスだし。』



このメールにだい太いつも



「そんなことないよ。ゆかだけを想ってるから。」



と…



ところが…この言葉に『ゆか』は全然満足せず



だい太の言葉を否定し続けた。



流石にだい太に限界の時が来た様だ。



だい太から私に打ち明けてきた。



だい太:「お母さん…オレ、やっぱり…じゅりあちゃんを諦めない」



だい太が小学生の頃に好きだった同級生の名前が出てきた。



私が『ゆかは?』と聞き返すと



だい太:「オレ、もう疲れた。

毎日毎日夜中の一時頃まで

私は可愛くないから、他の子がいいじゃない?

こればっか。

そんなことないよ。ゆかだけ好きだよ。と言っても

全て否定するし。

この間、ご対面したときも
オレが話題を持ちかけても

首をひねるばっかでさ

うんともすんとも言わないし…

色々話題を振っても

首をひねってばっかで…

何も答えないくせに

私より可愛い子と付き合った方がいいんじゃない?

だけは言う口あるし。

もう、オレ、流石に限界だわ。」



だい太が言った。



私は…



『ゆか』とだい太の決別を



喜ばずには居られない。



胸が弾んだ。



「じゅりあがいいよ。

じゅりあだったら応援してあげる。」



そんな言葉が自然に唇からこぼれる。



でも…



でも…何故だろう。



なんとなくすっきりしない。



心の奥に何かがつっかえていて



晴れ晴れとしない。



いや、これで良いんだ。



これでいいんだよね。

































そんなだい太は
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