雲の上




『ケン子…

郵便、来てたぞ。

はい、これ。。。』



毎月、月末に来る明細。



以前、だい太が使っていたスマホの月払いが



まだまだ続く。



これは、ここ数ヶ月前に



だい太がスマホを自分で契約し



新しい機種に変更した。



しかし、それまでの別会社のスマホには



まだローンが残っていて



私はそれを毎月支払う。



解約すれば多額な解約金が発生するだろうから



コツコツと払っている。



幽霊スマホ?



箱の中で眠っているのに



毎月、請求金額を支払わなくてはいけない。









そんな明細が届いた時…



宛名の名前を見て



いつも、思う。



誰への郵便?



宛名を見てもピンと来ない。



彼の名字と私の名前。



その名前を見るたびに



雲の上にいる様な



変な感触。



裏の仕事




日曜日…



彼に連れられて



隣の県へ行った。



着くと私は



彼の両親の住むアパートで



彼を待つことになった。



所要時間はわからない…



どこへ行ったのかもわからない



ただ彼は



私にひとこと言って出た。



『裏の仕事してくるから。』



滅多に見ない作業服姿…



戦闘体勢で



彼は出て行った。







面白くない…




面白くない仕事…
面白くない職場…



最近、ようやっと覚えた仕事…



だいたい、個人医院なのに



内容がややこしくて



なかなか一人立ちできない。



流れが複雑だし



雑のようで決まり事が多い。



半年過ぎて、何となく一人立ちしつつあるけど



完璧に一人立ちした訳じゃない。



歳が下の子から指図され



私がかかわってない患者へのミスも



頭ごなしに責任を背負わされる。



面白くない仕事…



ドクターも私に色目を使い



他の職員への対応とちょっと違うのが



鬱陶しい感じもする。



気細なドクターだから



手出しはしてこないけど…



私が往診当番の時に



色気付いて香水プンプンさせるのは



やめてほしい。



給料も前の医院より五万も少ないし



ただ、潔癖症な職員が居ないのが



唯一の利点かな。



誰も野放図で…



少々ホコリが舞ってようが
整理整頓されてなかろうが



気にする人は居ないから



適度に片付ける私が



きれい好きとされている様だ。



そこらだけは



まぁ、楽っちゃ楽かな。






でも、きたないやり方の上部の職員は



患者から貰った頂き物を



上部の数名で内緒で持ち帰ったり



下っぱより沢山持って帰ったり…



そんなコソコソがうざい。



たまに患者から
『どうだった?食べた?美味しかった?』



そう問われると




「美味しかったです。

ありがとうございました。

いつも、すみません。」とか



食べてもないし
存在すら知らない物のお礼を
言わなきゃいけなくなる。



あほくさ。



バカみたい。



こんな職場面白くない。
やめたい。








そう思うけど…



待てよ。。。



私がここの職場を選んだのは



朝や夕方の通勤途中に



通学中の子供たちと
バッタリ出逢うのが目的なんだ。



一昨日の朝も…



慌てて通学する
ちゅう太としょう太にバッタリ出会い



別れ道で…




私が見えなくなるまで



手を振ってくれたんだっけ。



私はそれだけでパワーを貰う。



仕事に向かうパワーではなく



この世に生きるためのパワーを…
















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