しょう太…12才の誕生日




2月18日



しょう太の誕生日の土曜日



午前中、仕事だった私は



しょう太が行き帰りしやすい様に



家の近くにある工場の駐車場で



しょう太と2時に待ち合わせた。



少し早めに着いた私は



しょう太が来ると思われる道を



見つめていた。



約束の時間が近づくと



自転車に乗るしょう太の姿を発見…



ニコニコしたしょう太は



自転車にロックをかけると



私の車に近づいた。



「しょう太…

お誕生日おめでとう。

今日は助手席に乗ってもいいよ?」



そう言うと



しょう太は嬉しそうに頷き



助手席に座る。



「シートベルトしてね。」



『うんっ』



しょう太とのドライブが始まった。



そして



「しょう太。

手袋持ってきた?

ネックウォーマーもしてるね。」



私達は…先日から約束していた



アイススケートに行く事にした。



しょう太は2回目…
私は初めてのアイススケート。



何度か初心者コースを回ったが…



私には素質が無いようだ。



しょう太は見る見るうちに



何となく滑れる様になった。



二人でキャーキャー言いながら



滑ったり転んだり…



しょう太は凄く楽しんでいた。



あっという間に夕方になり



閉館の時間になった。



帰りの車の中で



しょう太は歓声をあげた。



『あーーーーっ

楽しかったぁ!

凄く楽しかったぁ。

お母さん、また来よう』



空は少しずつ闇に近付き



しょう太を送らなければならない時が



迫っていた。



しかし



私にはもうひとつ大切な事を



しょう太に果たしてやらなければならない。



それは



誕生日ケーキを買いに行くこと。



近場にケーキ屋があるが



夕方は早めに閉められる事が多い。



恐る恐る覗くと



運の良い事に



まだ閉店しておらず



しょう太にケーキを買うことができた。



ホッとした。



せっかくの誕生日に



ケーキが買ってあげられなかったら



きっとその夜は



自分を責めて泣くんだろうな…



そんな空想とは裏腹に



数字のロウソクも買い



しょう太に持たせることができた。




自転車の置いてある場所へしょう太を送ると



家のすぐ近くまで



車でしょう太の行く道を照らした。



別れ間際にケーキを渡すと



しょう太はニコッと笑い



『じゃぁね!』と言って



家の道を入って行く。



涙ひとつ見せず



別れたしょう太だったが



家に入って行くしょう太の顔は



凄く悲しそうに見えた。







しょう太…



成長したなぁ。



もう、涙ひとつ見せなくなって…



大人に近付いて居るんだよね。



そう思った私は



その夜



家に帰ってから泣き止まなかったしょう太を



知らなかった。










うぶ声…




2月18日は…



しょう太の誕生日。



誕生日とひと言で片付けてしまえば



誰にもある毎年のイベントに過ぎないが…



あの日、あの時を思い出すと



そんな簡単な言葉では



表現できない。



しょう太が生まれる時の陣痛や



しょう太がこの世に生まれた瞬間。



そして



私の人差し指を握りしめる指



お乳を飲みながら



私を見る瞳…



全てが



いとおしい。



そんなしょう太を



つい最近の事の様に思い出す。



しょう太…



私のお腹から生まれてくれて



ありがとう。











10の評価




日頃…



よく彼が言う。



『これは10点満点の何点だ?』



うれしい事も



イヤな事も



こんな風に聞いてくる。



道行く若い男性を示しても



『あの人は…ケン子から見て

10のうち何点だ?』とか



『職場の新しい女の子と

初めて顔を合わせたけど…

あれは2の下だな。』とか






そんな先日



彼がこんな事を聞いてきた。



『ケン子…

俺は何点だ?』と…



私は顔の評価だけで



「9かな…」と言った。



すると



ついに



私の事も



『ケン子は…

全部トータルして

8だな。』とか。



あれから…



下がってるのかな



私の評価って。











アルコール嫌い




最近…



寂しくなると



飲酒する様になった。



アルコール大嫌い。



お酒なんてマズい。



そう思っていた…



と言うか



今もそう思っている。



なのに



寂しくなると



飲酒する。



飲酒すると



少し心が軽くなり



さっきまで流れていた涙も止まる。



そして



少しだけ



楽になる。



明くる朝…



私が飲酒した事に気付いた彼が



『昨夜は眠れなかったみたいだね。

お酒飲むより

眠剤を飲んで寝た方がいいよ。』



って言うけど…



私は寝るために飲酒したんじゃない。



心を軽くしたいから



少しでも寂しさから逃れたいから



飲んだの。



私の寂しさなんて



誰にもわからない。



わかってと



言うつもりも



ない。






就職




職場が決まった。



決まったと言うか…
決めたと言うか…



以前から声をかけて頂いていた



地元の医院。。。



長い道のりだったが



私の素性を明かした上で



ドクター
奥さん…共に



受け入れて下さった。



それも



重要書類以外の呼び名を



旧姓で名乗る事も



承諾して下さった。



片道16q
時間25分



登校中のしょう太を見るためだけに



選んだ職場。



2月13日から



ついに復帰。。。



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