らっきょ?




今夜はカレーライスにした。



最後までテーブルに残り



ゆっくりカレーを食べてるしょう太が



大声をあげる。



しょう太:『おかあさん?

カレーにらっきょが入ってた。

らっきょ、あげる』



とか?



『らっきょ』なんて入れてないぞ?



と思いながら



しょう太を見ると






んー確かに



らっきょに見えるね…笑



玉ねぎねぇ。。。


宿命




思い返せば…



父への想いは同情で結婚した母…



父とはお見合いで知り合い



父の生い立ちを不憫に思い



『私が助けてあげないと…』と言う気持ちで



結婚を決めたらしい…



私は…子供の頃から今
まで



父と母を見てきて



二人の性格と育ちは全く違い



華やかで賢い母と



溝に住む泥棒猫は



釣り合いもとれないだけか



お互いにストレスだと思って育った。



本来の母は



何処かの御曹司と結婚し



奥さまとしてきらびやかな生活をしてたに違いない。



それを父と知り合ったばかりに



溝を走り回るネズミの様な世界に迷い混んだ。



そして離婚を決心するたびに



何かに邪魔をされ



結局は最後まで溝ネズミのままだ。







そんな母が



昨日、真剣な表情で私に言った。



母:『私がお父さんと結ばれたのも

私の人生の修行だったと思うことにしたわ。

こんな人生を与えられたんだから

もう、その宿命に

逆らうのはやめようと思って…』



と。




母は…



一度しかない自分の人生を



父と私のために



捧げた。







手術




父は昨日の朝早くに病院へ入院し



そのまま午後には手術となった。



食道に2ヵ所ある癌を



内視鏡で切除するための手術だったが



思ったより進行していて



癒着を防ぐため



1ヵ所だけの切除となった。



もう1ヵ所は4月に延期とか…



そして



担当医から、もう先は長くないと



母に言われたらしい。



そして母が



私に言った。



母:『私はいつもこうなのよねー。

お父さんと離婚しようとすると

何かに阻まれてできなくなる。

昔から離婚を決心すると

こうなるの。』



いつもは憎らしい母の愚痴を



今日は何だか



とても不憫で哀れに思った。



















いってらっしゃい。



父は洗面でメイクする私に



父:『じゃ、行ってくる』



手紙の事には触れず病院へ向かった。



私は『頑張ってね。いってらっしゃい。』



そう言うと



外まで父を見送った。







父への手紙




母は…父の入院にイラついていた。



いつでもそうだ。



何かしらの出来事がある朝



イライラする母の様子は



昔から変わらない。



今朝も入院する父に向かって



服装が悪いだの

いつも同じズボンだの



ブツブツ言っていた。



その、母のブツブツは



父のためではなく



自分のプライドを保つために



父を追い詰める。



父はおとなしく母の言われた通りに動くと



私が洗濯機にかけた洗濯物を



干しに行ってくれた。



父は時々、私がかけた洗濯物を干したり



干した洗濯物を取り込んで畳んでくれたりする。



私はその行為に甘えながら



いつも感謝している言葉を



手紙に綴る事にした。








『お父さんへ

いつも洗濯物を手伝ってくれて

ありがとう。

いつも、とても助かっています。

今日から入院で大変だろうけど

手術したら良くなるから

頑張ろうね。

また退院したら

洗濯を手伝って下さい。

また面会に行くね。』



と…慌ただしい時間に書き



父の座るテーブルに折り畳んで置いた。













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