ともだちリスト




何年も前に



ある個人医院で

スタッフとして

巡り合ったUちゃん。



お互いにその職場をやめても



ずっと交流があった。



そんなある日…



彼女に連絡がつかなくなり



消息が知れなくなったと聞いた。



人伝えに聞いた話では



勤めていた医院の患者と恋に落ちたことが



旦那さんや家族にバレて



家を追い出されたとか…



それから後は



携帯を掛けても



繋がらなくなった。



きっと自分と繋がる全ての人と



今は連絡を取りたくないんだと



悟ったつもりでいた。



そんな彼女と



何度も連絡を取りたくて



携帯に発信してみたが



繋がる事は無く…



恐らく、携帯も変えたのだろう…



と、思っていた。



もう、繋がらない彼女の携帯番号を



削除しようとも思ったが



何となく消せなくて



そのまま残しておいた。



彼女と前回話したのは



10年以上前になる。



時々、彼女の笑顔を思い出す日々は続く。



そんな去年の年末



彼女の実家の前を通過した。



ただ、通過しようとしただけだったが



やはり、彼女と話しがしたいと思った私は



彼女の実家を覗く事にした。



玄関から声を掛けると



中年くらいの男性が出てこられた。



私は彼女との関係や
親しかった事を話すと 



彼女宛に書いた、私の携帯番号とメッセージを
渡して貰う様に頼んだ。

 

『どうしても、Uちゃんと連絡がとりたいんです。

たまには帰ってこられますか?』



尋ねると…
『毎週水曜日の午後は
帰ってると懐います。』



『それに
お正月にも帰りますので
このメッセージを渡しておきます

あ、なんなら携帯番号も
教えましょうか?』



意外な展開だ。



私は喜び、車に乗ると、早速携帯に登録しようとその番号を入れた。



すると



何故か…



私のアドレス帳に



当てはまる番号があると



表示される。



そう、彼女は携帯を変えてない。



と言うことは



彼女の携帯に私の着信履歴が残るはず。



私はその後、何度も発信した。



お正月、帰ってくると思われる彼女が



私からのメッセージと着信履歴を見て



電話をくれるかも知れない。



そんな風に思っていた。



けれど、彼女からは



メールも電話も来ない。



ラインの招待も送ってみたが



何も応答なし。



要するに



彼女は



私を避けている。



そう察した。



そして



私のともだちリストから



彼女の存在は



削除する事にした。



『Uちゃん

さようなら。』




生まれて初めての地獄の年越し




こんな年越し…



初めてだった。



冷たい大晦日は



そのまま冷たく私を覆い



暗闇へと引きずり込んだ。



最悪な
最悪な
年越し。



不機嫌な彼とは



別々の部屋で



彼は不機嫌なまま



私は泣きながら



新年がズタズタと足音を立てる様に



私を襲った。



今までには経験した事のない



年越し。



去年は手を繋いで



神社へ詣ったのに



今年は天と地の差…



地獄にしか感じない新年の



始まり始まり。







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