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私が…着の身着のままで家を飛び出してから



２週間の日々が過ぎた。



『30分…

いや、１時間したら帰ろう』



そんなつもりで飛び出した私は



もう…



後戻りできない程に



家を空けた。



彼は言う。



『思いきった事…したな。

でも、ここまで来たら

もう、家には帰るな。

このまま100日逃げきろう。』



その100日とは



離婚後…



婚姻できるまでの日数である。



婚姻届など…紙切れにとらわれたくない彼が



私との結婚を考えていた。



『俺は…

結婚なんて

紙切れ１枚の意味のない物だと

ずっと思って生きてきた。

だから、20年前に別れた

元嫁と結婚した時…

婚姻届と一緒に離婚届も貰っていた。

好きでも無い奴と

できちゃった婚だったからな。



でも、お前は違う。

結婚する事が

守ってやれる一番の方法だと

思ったから

結婚を考えているんだ。』



そう言うと



タバコに火をつけた。






もう…引き返す事はできない。



彼の部屋の大きな鏡に映る自分を見て



幸せと不幸の狭間をさ迷いながら



子供たちを抱き締めたい。



そんな思いを



頭の中から削除していた。



。

私は…



間違えているのだろうか？



私がとっている行動は



違うことだろうか？



自分に問いかけながら



数日が過ぎる。



子供を置いて出たことに



引っかかる自分が居ながらも



子供の為に



偽る人生もどうだろう？



そう考えながら



子供たちの身を案じていた。



そんな私は



生の路と
死の路…



二又に別れた路を



選択しているような



そんな気持ちでいた。



どちらにしても



どちらを選んでも



考えように寄っては



ズタズタな人生に突入したような



果てしない不安に襲われていた。



。

明くる日目が覚めると…



初めての朝が私を迎えた。



見たことのない彼の寝顔を



当たり前の様に見る。



『今日は仕事…どうしよう』



砕けた心を寄せ集めたが



仕事に向かえる程の修復は



とてもしなかった。



そして



職場に電話して



人生初の



休みを貰った。



その明くる日も…
またその明くる日も…



私は…仕事を休み



それと連動して



家にも帰らなかった。



。

私の意見など全く無視な周囲に



もう限界。



私は身の回りの手荷物を



一日分だけ握りしめ



家を飛び出した。



『30分…』



『いや、１時間したら…帰ろう』



それぐらいの決心で



家を後にした。



しばらく苛立ちと絶望の淵をさ迷い



たどり着くところは



彼の元しかない。



私は…



彼の家の近くから



彼に電話をした。



まさか近くに居るなんて思わない彼は



私の話をゆっくり聞く。



しばらく話をしていると



彼の近くに居ると勘づいた彼が



『もしかして…近くにいるの？』



そう言った。



私は…『うん。』と答えた。



すると彼は



『近くに居るのになぜ来ない？

早く…戻って来い。』



私は…彼の元へ行く。



そして



その夜は彼の家で



泊まる事にした。



初めての夜だ。



『明日の仕事はどうしよう？』



彼とそんな話をしながら



眠りについた。



。

責められる日々が始まった…



『なぜ離婚届を提出した？』

『まさか本当に提出するなんて』

『直ぐに復縁しろ。』



私は…自分の殻に閉じ籠った。



そんな４月３日…



夫の両親が来訪した。



夫の両親は



泣きつく訳でもなく



私に淡々と言った。



『あなたね、貴女は本当に優しい女性です。

親子以上に仲良くして貰って、本当に感謝してます。

どうかね、元に戻ってやってください。

お願いしますね。』



私の意見など聞かず…



一方的で



淡白な言葉の凶器を



私の胸に突き刺した。



その言葉に賛同する様に



私の両親らが



私の説得に入る。



私の味方ただったはずの



私の両親さえ



私には敵にしか見えなかった。



私は頭を抱え込んで



『どうか許して下さい。』



そう答えることしかできなかった。



。