大晦日




彼と連絡を取りはじめてから



12日の時が過ぎた。



毎日の様に会ってるからか…



もう、何ヵ月も一緒に居たように感じる。




彼は私が動く度に



『へぇ。。。』と不思議そうに見る。



どうやら…1年以上前から



私を見た彼は



私の事を人間に思えなかった様で



『花にしか見えなかった』と言う。



だから私が動く動作のひとつひとつに



『へぇ。。。食べるんだ』とか



『へぇ。。。へぇ。。。』を繰り返す。



そしてメール苦手な彼は



私にメールをくれる。



そんな彼が…言ったひとことに



何故だか胸がキュンとする。



『おまえのキスは美味しい。

いつまでも…キスしていたい。

おれは…いつか

おまえを抱くんだろうな…』と。



彼のこの言葉は



決して強引ではなく



お互いの想いの延長線上にあり



なければなくても



気持ちは深まって行く。と言う意味が



感じられる言葉だった。



何だか…『抱かれたい』



そう思った。



でも



抱かれるまでには



まだまだ時間が必要だった。














お互いに…




彼の身の上を少し知った私は



1人で暮らす彼の事が



心配でならなくなった。



何年か前に



心臓病の発作が起きた彼は



近所の人の通報によって



救急車両で運ばれた過去もある。



その上



立場的に危険な身の上を持つ彼を



私が守らなくてはいけない様な



そんな気持ちを抱いていた。



と、言うことは



彼の家を知っておかなきゃいけない。



そう思うと居ても立ってもいられず



大まかにしかわからない



彼の家を探しに出掛けた。



何となく…予想した場所をウロウロすると



彼の車を発見。



私は意外と簡単に



彼の家を見つけてしまった。




一方、彼は



私の家族事情を知ると



私の身の上を心配し



何かあったときには



すぐ駆けつけてやらねば



と言う気持ちから



私の家を探していたとか…



私達はお互いに



お互いの素性を心配し



お互いの家を確認した。



それはお互いに知らしめた訳ではなく



お互いの想いから



考えが重なったのだ。



もう



離れられないかも知れない。



時は…



大晦日を迎えていた。






命に制約…




毎日毎日会ってるのに



会いたくて会いたくて



仕方がない。



仕事をしていても



『今日も彼は待っているのかな…』



そんな事ばかり



考える様になっていた。



そして夕方になり



私を待つ彼のもとへ



急いだ。







ついに
彼に聞くときが来た。



『なぜ

来年の今頃

俺はこの世にいるのか

なんて言うの?』

と。



すると



彼は言った。





『俺は今まで壮絶な人生を歩んできた。

と言うことは味方も多いが

敵も多い。

その敵から命懸けで

生きなきゃいけない事も少なくなかった。

実際に

家の前まで

出刃包丁を抱えたヤツが

来た事もあるし

ボコボコに殴られて

病院へ運ばれた事もある。

そして俺のだちや仲間で

もう永遠の眠りについたやつも

沢山いる。』



と…



彼の言った意味が



初めてわかったけれど



彼の命に何かあったら…



私はどうなるんだろう。



そう思うと



不安を感じてならなかった。






危険な身の上




『来年かぁ。来年の今頃

俺はこの世にいるのかな…』



彼が言ったひとことが



たまらなく気になって…



色々悪いことを妄想してしまう。



私は次、彼に会ったとき



それについて聞いてみる決心をした。



彼は何か大きな病気を抱えてるのだろうか?



命に制約のある何かがあるのだろうか?



気になって
気になって



胸騒ぎは膨らむばかりだった。



なぜ…




外見は凄く怖い…



ビビるくらい



脚がガタガタするくらい



怖いあなたなのに



私にとても優しくて



『顔写メくれ〜』って言うから



自分の中でマシなのを



1枚送った。



すると



過去に言われた事の無い反応が。



『写メ見て思ったけど

俺にとって

今のお前は

顔がどうこうじゃなくて

その存在がいとおしい。』



とか。



そんな



彼に抱きしめられると



身体がふわりとする。



私が



「ずっとずっーと

離れたくないね」と言うと



彼が言う。



『そんな事できるかな。

来年の今頃

俺はこの世にいるのかな…』



私は



すぐ彼に



その言葉の意味を



聞けなかったけど



何だかとても



不安な気持ちを



抱いていた。



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