*アナトミストとホムンクルスの譚。
*魂の形を模索する人間と人型の譚。
*ダークファンタジー的な要素含有。
*魂と世界の構造への見解例の一つ。
【:†解剖学者と瓶詰め人間の夢†:】
(世界とは自己を把握する為の手段で)
(同時にそれを定義付ける為の鬼札だ)
『箱庭の解剖学者』は夢を見る
不可視の魂の形を掴む夢を見る
形の有るものには魂が宿るのに
その輪郭を解くと消えて仕舞う
バラバラバラバラバラと開いて
何度も何度も確かめて試みても
温もりは消え去り酷く固くなり
全ての外殻は例外無く塵となる
外殻の輪郭が一度崩れ始めると
魂は脆く不可視の世界に消える
不可視の世界は夢に続いている
夢とは魂が見せているお伽噺だ
ならばそこへ行けば良いだけだ
そして夢に辿り着く為の手段に
『箱庭の解剖学者』は宵の底で
目覚めが遠退く為の毒を煽った
◇
『フラスコの住人』は夢を見る
自分の知らない世界の夢を見る
ガラス越しに伸ばした手の感触
冷たく無機質な透明な光沢の膜
ペタペタペタペタペタと叩いて
何度も何度も触れてなぞっても
瓶の中は脈動や胎動とは程遠く
区切られた空間は空虚なままで
外殻の冷たい輪郭の向こう側を
魂は光で彩った世界を見つめる
目に見える世界は光の集合体だ
光とは魂が見せている幻想郷だ
ならばそこを求めれば良いのだ
そして光へ辿り着く為の手段に
『フラスコの住人』は夢を見る
朝日が遠退く為の夜の明晰夢を
◇
『箱庭の解剖学者』は出会った
擬似的な外殻を纏った魂の姿と
『フラスコの住人』は見付けた
世界を内側から拓く光の片鱗を
お互いがお互いの探し求めてた
魂と世界の存在の証明なのだと
死者の国に程近い夢の狭間では
絶え間無く繰り広げられる討論
隔離された世界の扉の鍵が開き
光と結び付いた魂は構造を得る
(世界とは自己を確立する為の手段で)
(同時にそれを位置付ける為の証明だ)
◇
はい。皆様こんにちは♪
未完成品の中で何から消化して行こうかと思考した末に手始めに創作文的作詩から綴って見る事にしました燈乃さんです。
そしてやはり見事に寝落ちして仕舞いこんな時間帯……布団の魔力って凄い(ヲイ)
さてさて。今回載せた創作文的作詩は、『解剖学者(アナトミスト)』と『瓶詰め人間(ホムンクルス)』のほんのり仄暗いお話です。『錬金術師(アルケミスト)』でも良かったんですが、ダークファンタジーならばと思い、こんな感じになった次第です←
今回の作詩のイメージは『形有るものはいつかは壊れる』と言う言葉から。存在の外側(外殻・肉体・可視)と内側(魂・意識・不可視)を分け隔てて見たり。そこから、自己の構築要因(夢)と世界の構築要因(光)を結び付けて見ました。自己は記憶から夢として再認識され、世界は視野から取り込んだ光を脳が情報として処理していると言う意味合いが有ります。なので夢と光。
人間の認識している『世界の危うい様で儚い処』を、ほんのりダークファンタジー風に仕上げてみました。『見えるもの』よりも『見えないもの』で溢れる世界。認識と言う行為は、考えれば考える程怖い部分何ですけどね。突き詰めるとキリが無い。果てが無い。追求するとひたすらに混沌。
脳の認識している『無意識の当たり前』程、混沌が日常化している気がするなと。
ある種の『暗黙の了解』や『禁忌』めいた雰囲気を、『二つの異なる存在の視点』から、『夢は死に一番近い場所で見る世界』と言う怪談めいた説を、個人的な独自の解釈や思考を交えてお届けしてみました。
……はい。そんなこんなで、今回は何だか久々に創作文的作詩を載せた気がします。未完成品リストにも未々手掛け途中の作詩が転がっているので、夢小説や他の作品と同時進行で完成させて行きたいですね。
ではでは、今回はこの辺で☆
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