貴女を何度恨んだことでしょう
貴女を何度呪ったことでしょう

貴女を何度罵ったことでしょう
貴女を何度憎んだことでしょう

それでもこの命が消え去るまでは
私は貴女がこの世に産んだ娘です

貴女を何度怒ったことでしょう
貴女を何度嗤ったことでしょう

貴女を何度妬んだことでしょう
貴女を何度苦しめたのでしょう

それでもこの命が消え去るまでは
私は貴女がこの世に授けた娘です

ずっと昔に途切れた筈の臍の緒が
見えないところでグルグル捩れて

次第に小さくなる貴女の背中に
背負われていた頃の面影を見る

私の世界での初めての嫌われ役は
痛みと傷を背負って愛してくれた

泣き腫らした後の冷えた心の私を
抱き締めてくれたのは貴女でした

アルバムに写る貴女と私の軌跡
こんな理不尽な命との奮闘記を

大切に抱えては『宝物なのよ』と
貴女は誇らしく微笑むのでしょう

貴女と何度笑ったことでしょう
貴女と何度泣いたことでしょう

貴女と何度唄ったことでしょう
貴女と何度喜んだことでしょう

それでもこの命が消え去るまでは
私は貴女がこの世に産んだ娘です

貴女と何度手を繋いだでしょう
貴女と何度共に歩いたでしょう

貴女と何度年を重ねたでしょう
貴女と何度命を見送るでしょう

それでもこの命が消え去るまでは
私は貴女がこの世で愛した娘です

貴女をこの世で母に持った娘です
貴女にこの世で愛を習った娘です

私は、あと何度、あと何年まで
貴女を笑顔に出来るでしょうか







喜怒哀楽愛憎相半と相反故に万感。
故に血は水よりも濃く。時に呪い。

故に。私は自己として成立出来る。
此処に多大なる感謝と懺悔の声を。