夕べ降った雪は思ったほど残っていなくて、ほっとした。ただ寒さが尋常ではなかった。道路の雪が溶けていたので、健康サロンへ出かけ、オークションの品物を発送してきた。周りを見渡したら雪は我が家の周りだけ異様に多くて、別世界だった(笑)。
帰り道に寄り道して、以前原稿書きに使っていたカフェに寄った。考えてみたら、この二年あまりは外でゆっくりコーヒーを飲むこともなかった。去年は姉たちと出掛けること以外、ほとんど家で過ごしていたし、気落ちして何もする気にもならなかったのである。
こんな風に一人で出掛けることが出来るようになったということは、両親を亡くした悲しい気持ちが少しずつ自分のなかで落ち着いてきたのだろう。何かに折り合いをつけて前進することは容易いようで難しい。けれど、時が解決していくのをじっと待つのも大切なんじゃないだろうか。本当にもう少しなのかもしれない。
昨夜観た作品は『母べえ』(2007年)
日中戦争が泥沼化しつつあった日本。川口に住む野上家は、ドイツ文学者の滋(坂東三津五郎)と佳代(吉永小百合)、そして二人の子どもたち長女・初子(志田未来)、次女・照美が貧しくとも慎ましく楽しく暮らしていた。お互いを「父べえ」「母べえ」「初べえ」「照べえ」と呼び合う仲睦まじい家族。ところが昭和15年2月、滋が治安維持法違反で逮捕されてしまってから、佳代たちの苦難の日々が始まる。そんなある日、滋の弟子・山崎徹(浅野忠信)が訪ねてくる。徹は滋に代わって手助けをかってでる。
山田洋次監督の映画は久しぶりに観ました。地上波でやったばかりですがDVDで鑑賞。この作品は故・黒澤明監督のお抱えスクリプターとして活躍してきた野上照代さんの自叙伝『父へのレクイエム』を映画化したものです。日本が次第に戦争に向かっていった暗い時代に生きたある家族の姿を描いています。とにかく美術が細部にこだわっていて、本当にその時代にタイムスリップしたんじゃないかと思うほどリアルでした。いわゆる“赤狩り”で投獄されてしまった夫。そんな中でも必死で家庭を守る妻。そして辛いのに天真爛漫に過ごす子どもたち。体制に立ち向かうことなく、その困難な状況に耐え強く生きる家族を通し、日本もそんな時代もあったのだと思いました。周囲の人たちの温かさにも、どこか懐かしい光景でしたね。しかしまあ、吉永小百合の演技は素晴らしかった。彼女の出演作品は今まで幾つか観てきましたが、この作品は飛び抜けて良かったですね。なんか神がかりのようなものを感じました。家族や隣人を思いやる気持ち、今の日本人は思い出すべきです。きっと世の中が変わっていくはずだから…。
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