深夜徘徊ってのは、とても楽しい。
昼間とは違う空気が流れていて、なんだかわくわくします。
貴方と私の
星が綺麗だった。
確かそんな理由で、外に出たはず。
夜、外を出歩くのはとても好きだ。たまに何かしら理由をつけて外に出る。
別に家が嫌とかそんな理由じゃなくて。
ただ単に夜の空気とか、路面に映る影とか、そんなのが妙に興味をそそられるだけ。
近くを一周して、思う存分街頭で照らされる自分の影を見まくって。
それから、一息つくために公園に行った。
で。ブランコをこいでた。
ら。
「……なんだろ、アレ。」
公園の端っこの方に、ゆらゆら揺れる、白い影。
伸びたり縮んだり、せわしなく動き回ってる。
だがしかし! あそこには街頭が一つも無いので、揺れてる物体があることが解るだけ。
「幽霊?」
いや、いくらなんでも、こんなごくフツーのところに現れたりはしないだろう。
じゃぁやっぱり人?
キコキコゆられてると、白い影が動いた。
ふーん、出てくのか…な………。
「こ、こっち来てる!?」
え、何? 幽霊と初顔合わせ?
ビビリながらも、しっかりと白い影を凝視する。
ザッザッザッザ
足音が聞こえる。
とりあえず、足はあるらしい。
脂汗をたらしながら、ずーっとそのまま睨み続ける。
ザッザッザ……ザ
目の前まで来てやっと、実は白いジャージを着てた、背の高い男であるらしいことがわかった。
本当に人間だと確認してから、息を吐く。
「なんだ、人かぁ……。」
「なんだ、人かよ。」
……ハイ?
「「なんだと思ってたワケ?」」
「「……あれ?」」
どうやら。彼も薄暗いところで、ひとりでに揺れるブランコを見て、幽霊と思ったらしくて。
近づいてやっと、全身真っ黒の私がこいでた、という事がわかったらしい。
隅っこの方に居たのは、筋トレするのに人目につかない場所の方が落ち着くから、だったらしい。
「なんだよ。同じ事考えてたのか?」
「だって。薄暗いところで揺れてる白い影、って言ったら幽霊しかないでしょ?」
「夜にひとりでに揺れるブランコがありゃ、幽霊か変人かって相場が決まってるだろ?」
一呼吸おいてから。
「「―――何ソレ。」」
もう一呼吸おいてから。
「「…っぶ! ははは!」」
面白いぐらいハモって、ついつい長く話してしまう。
相手も同じらしくて、同じようになんでもない事を話し続けた。
「え、ちょっと待って。同い年!?」
「なんだよ。その驚き具合。」
「だって、老けてる!」
「喧嘩売ってんのか。」
「売ってないって。」
「まぁ、お前も大概ガキっぽいけどな。」
「喧嘩売ってる?」
よくよく後になってから考えると、同じような事を言って、同じような返し方をしてたような気がする。
居心地が良くて、普通に話せるのがものすごくびっくりした。
だって、初対面だし。
会ってから一時間もしてないし。
でもまぁ、楽しければ良いかな。なんて思う。
「そういえば、名前聞いてないよな」
「そういえば、言ってないわね。」
くすっと、笑いあってから、もう一呼吸。
「私は―――」
「俺は―――」
それが、貴方と私の第一歩。