翌日出店を控えた金曜日。
焼きあがった物を見て胸に浮かぶ「やるだけやった…。十分に努力した…。」という謎の満足感。
クッキー類が案外余裕ができたので、次の週はひとまず生地作りに費やせそう。イベント終わりの月曜日は特段予定もないのでいろいろ買い物に行くのと入金に行くのと、三月の会計のまとめ。これが一番時間がかかりそう。
未来の予定はいいんだよ。
今日焼いたのは依頼品の長物と、詰め込んだ後で発覚した品薄商品。もしもワンチャン今回の出店で品切れを起こした場合のバックアップができない奴だけ焼いた。とりあえず。
これなーー。これなァ!! この週末のイベントが売れないとただただ商品が余るっていう最大のデメリットが…。
あー…。売れてくれ。補充したいレベルで売れてくれとは言わない。ただ、ただ。ほどほどでいい。それなりに売れてほしい。特に桜のお菓子とか。
去年履歴を見てちゃんと把握して持ってきたんだ!! できるはずだ。できるはずだ…!!
でも去年は軒並み食品系が売り切れたから居残ってた自分が売れただけの話。今年同じように売れるとは限らない。
「それを思うと野外出店って博打と一緒ね。」
「否定はしない。条件次第でバフデバフが付くしなぁ。でもここまで博打になるのは今回のイベントぐらいだと思う。」
「そう?」
「花見にかこつけたイベントだから、まず桜の開花具合。満開ならバフ1個。」
「おお。」
「散ってたらデバフ1個。」
「おお…。」
「気温でバフ、天気でバフ、あとは直前の報道なんかでマイナス報道があったらデバフ。」
「じゃぁ今回はバフ3つ?」
「天気のバフがかかりきってないのと、満開バフってよりは散り初めのデバフが入ってるから多分2個ちょいぐらい。」
「ふーん…。」
「でも今回食品系出店が多いから、自分に限り一般的なお店が多い場合デバフがかかる。」
「なんなのアンタの店。」
「イロモノ系食品専門店。」
「なんでそんな店にしたの。」
「うるせえやい。」
ええいええい。いいんじゃい。私はこの店と心中する。末永く続けるのだ。細く長く続けるのだ。